私が「目標を実現したいのなら、手段の選択を間違うな!」と言っているのを聞いた人もけっこういると思いますが、Change.orgによい実例があったので紹介します。
原文は長くなるので下で引用していますが、この署名の目標は、
・はだしのゲンを閉架から開架に戻してほしい
なわけで、そのための手段は、
・この文章を読んで多くの人に署名をしてもらう
ことなわけです。
で、問題なのは(3)の段落です。前半は(報道されたという)事実ですからよいでしょう。後半の「リビジョニスト達の圧力に松江市教委が屈したものといわざるを得ません。」ここが余計です。はだしのゲンを開架に戻すという目標には左派、右派の色分けは不要であるにも関わらず、自分が左派であることを明らかにし、右派を否定しています(否定された人は当然ながらまず賛同してくれません)。
この署名をするかどうか検討している人は、自分が左派である/右派であることを表明したいわけではありません。原爆が落ちた際の事実を自分の子供たちの代に生のまま伝えたい、と思っているはずです。余計な選択肢を追加すれば、Aという事案にYesと言ってくれるはずの人が、A事案はYesだがB事案はNo、となってしまい、トータルではNo、という結論が出てしまうわけです。
こういう手段選択のミスは、熱くなっている時や、本人にとって自然である時には気づきにくいものです。物事がうまくいかないなと思った時は、(何より自分のために)冷静になるか冷静な人のコメントを求めることをおススメします<(_ _)>
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以下引用。カッコ内段落番号ワタクシ。
「生きろゲン!」松江市教育委員会は「はだしのゲン」を松江市内の小中学校図書館で子どもたちが自由に読めるように戻してほしい。
宛先:松江市教育委員会
発信者:「はだしのゲン」は世界に誇る名作マンガだと思う人の集まり
(1)私は堺市で長年、学童保育指導員をしています。毎年、学童の子ども達にゲンの絵本版を読み聞かせたり、アニメや実写版のビデオ・DVDを上映してきました。学童にはずっと10巻セットを常備しており、多くの子ども達が自ら進んで手にとって読んでいます。1年生や2年生の子ども達が、ゲンたちが戦争や原爆で辛い目にあう場面で涙を流し、しかしそれでも苦難に負けず家族や仲間達と共に力を合わせて平和な世界を築くために明るく、たくましく生きていく姿に励まされています。何よりも「戦争はぜったいに起こしてはいけない!」と子ども達の心の中に平和の芽が育っています。
(2)朝日新聞の報道(http://digital.asahi.com/articles/OSK201308160095.html)によると、「12月の市議会教育民生委員会で審査した結果、「議会が判断することには疑問がある」と全会一致で不採択になった。複数の委員から「大変過激な文章や絵があり、教育委員会の判断で適切な処置をするべきだ」との意見が出たため、市教委があらためて協議し、閉架を決めたという。」とありますが、子ども達はしっかりと作者・中沢啓治さんのメッセージをまっすぐに受け止めています。
(3)また「はだしのゲンをめぐっては昨年8月、「ありもしない日本軍の蛮行が描かれており、子どもたちに間違った歴史認識を植え付ける」として、小中学校からの作品の撤去を求める陳情が市民から市議会にあった。」
(朝日新聞http://digital.asahi.com/articles/OSK201308160095.html)とも報道されており、この「決定」が「慰安婦はいなかった」「強制連行はなかった」など日本の戦争責任を「なかったことにしよう」とするリビジョニスト達の圧力に松江市教委が屈したものといわざるを得ません。これを放置・容認すれば、全国の小中学校にこのような「措置」が拡がるのではないかと危惧します。
(4)もうひとつ、昨年12月中沢さんが亡くなられた後(同時期?)にこの「措置」がとられていることにも大きな疑念を抱きます。なぜ作者が存命中に正々堂々と作者と話し合わないのか?「中沢さんの妻ミサヨさん(70)によると、中沢さんは生前、「戦争や原爆を食い止めるためには、子どもにも残酷でもその悲惨さを伝えるしかない。ゲンは子ども向けに描写をやわらげたが、実際の残酷さはあんなもんじゃない」と語っていたという。松江市教委の対応について、ミサヨさんは「信じられないし、悲しい。戦争や原爆の悲惨さや痛みがわかっていないのではないでしょうか」と話した。(朝日新聞 同記事)
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