「ゆとり教育」の先に…自信も失った若者たち
リンクが切れてる場合は下の引用へどぞ。
諸般の事情によりあまり触れたくないのですが。
えー。とても日本らしい現象ですね。
「ゆとり」教育がはじまった時点で、
こうなることは予想されていたと思うのですが。
(私だけが予想していたわけではないです。たぶん。)
有馬先生のおっしゃることも大変よくわかるのですが、
この方法を推進するには、かなり大きな権限を持った機関が
教師の配置人数や役割、その進捗状況の把握などをトップダウン
でやらないとできないと思います。
しかし、日本ではトップは絵図を示すだけで、実際に目的に
リーチする方法は現場に委ねられます。
「ツチノコつかまえてこい」といわれても、各自が勝手に
その辺の山へ登って探したところで時間の無駄だと思うのですが。
・ツチノコとはどういう生き物か
・ツチノコはどういう生態であると予想されるか
・誰がどこを探すか
・捜索者の時間調整と探索範囲割り当てと捜索期限
・見つかりそうになく、時間がない場合何を優先するか
・作業終了トリガを日時で区切るか、捕獲頭数で区切るか
・誰が命令し、誰が責任を取るのか
つまり、
どういう教育内容を、どういう手段を用いて、どのような人員配置で、
どのような時間配分で、どのように進捗評価をして、どのような軌道修正
を加えていき、最終的な到達地点をどこにして、誰が責任を取るのか。
そこまで上部組織が詰めた上で落としこまなけりゃ、現場だって暇じゃ
ないんですから、夏休みの工作レベルの授業になるのは仕方ないでしょう。
で、
「時間を減らしたら、教える側が何もしなくなってしまったのが実情。
できた余裕が現場でまったく生かされず、マイナスだけが出てきた。」
と言われても、そもそも余裕のないカリキュラム組んでるんですから、
数時間減ったところで何も変わりはしません。
(つかこの先生現場で教えたことあるのかね)
全国回っても同じことですよ。現場を見て気がつくこともないでしょう。
見に来るとわかればきちんとしたもの見せなくちゃと頑張ってしまうのが
日本人ですから。
(というかとりあえず部活は教育活動であるとまず認めれ)
それから、
「『ゆとり』には、地域社会と大人が土日は時間のゆとりを持って
子供たちと過ごし、子供を鍛えてほしいという意味も込めていた」
込めるのは自由ですが、土日の時間のゆとりを持ってっていうところ
の根拠はいったいどこから来ているんでしょう?
大人にもゆとり労働が採用されましたっけ?私は聞いたことないですが。
反対に、生徒たちの言う、
「授業で習うことが社会で役に立たないから、学習意欲・関心が低下している」
これも問題がずれていますね。特に「社会で役に立たない」は、
現在アメリカで「社会に直結する安易な知識だけ教えていていいのか」
という問題になっていることです。正反対ですね。
困った時は人のせい、ってただの泥仕合じゃないかと。
なお、学力が下がった原因は、中学までのカリキュラムは削ったのに
大学入試に必要な到達度は変わっていないため、高校のカリキュラム
に無理が生じて理解度が下がったことと、そもそも大学受験生の減少
のため大学受験時の敷居が下がったためだと思っています。
前者はともかく、後者は大学を減らさない限りどうにもなりませんね。
なんだか、戦時中の「大和魂さえあれば戦争に勝てる」と言われた
最前線の兵士が、竹槍で戦争するような悲哀を感じてしまいます。
日本という国はいつになったら気がつくんでしょうね。
「絵図」と「結果」を結ぶ間には、計画と実行が必要なはずですが、
つくづく日本人という群体はそこがヘタだなぁと思います。
個人レベルではとびぬけた人もいらっしゃるんですけどね。
そういうとびぬけた人をトップに据えると今度は、途中経過で皆が
理解できないことが起こったらすぐ叩いて追い出す。
誰か解決法考えてください<(_ _)>
特に緒方さんあたり(-_-;
引用ここから。
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「未来像…学力低下はさらに進む!!」。昨年12月下旬、福島県相馬市から県立相馬高校の2年生14人が、元文部大臣の有馬朗人氏(77)を東京に訪ねてやってきた。
生徒たちは研究発表の資料を携えていた。「学力低下の要因の1つは『ゆとり教育』」「授業で習うことが社会で役に立たないから、学習意欲・関心が低下している」「教員の質も問題だ」…。資料には有馬氏を詰問するかのような学力低下の“分析結果”が並んでいた。
物理学者で東大総長も務めた有馬氏は、平成8年に「ゆとり」「生きる力」を打ち出した中央教育審議会の当時の会長だ。
生徒たちは、理数教育を推進する「スーパーサイエンスハイスクール」活動の一環として教育の科学的考察に取り組んだ。きっかけは、昨年12月上旬に発表された「生徒の国際学習到達度調査(PISA)」の結果で、「日本の順位がまた落ちた」という報道だ。
「学力は下がっていない」。きっぱりと反論する有馬氏に、生徒は目を丸くした。熱弁は2時間近くに及んだ。
有馬氏は内心ではこう嘆いたという。「自分たちが悪い教育を受けてきたと思っている。過度の『学力低下』批判が、子供たちの自信を失わせた。学力の問題より、こちらの方が大変なことではないのか」
◇
「お前、ゆとりだろ」。ネットの掲示板などで相手をおとしめるため使われる言葉だ。昨年12月、巨大掲示板「2ちゃんねる」のユーザーが中心となって投票した「ネット流行語大賞」では、銅賞に選ばれている。
中教審委員として前回と今回双方の指導要領改定に携わり、私立有名進学校を経営する「渋谷教育学園」の田村哲夫理事長(71)は、ゆとり教育の目指したものについて「教育の目的は不測の事態への適応力をつけるための訓練。高めるには知識などの学力が3割、意欲や思考力などが7割-が心理学の定説だ。前回の改定は、学力訓練に注力しすぎた教育をただすためだった」と位置づける。
だが、「時間を減らしたら、教える側が何もしなくなってしまったのが実情。できた余裕が現場でまったく生かされず、マイナスだけが出てきた」と、今回、30年ぶりに授業時間増に転じる理由を説明する。
「『ゆとり』には、地域社会と大人が土日は時間のゆとりを持って子供たちと過ごし、子供を鍛えてほしいという意味も込めていた」と有馬氏は言う。
「答申後、文部省(当時)の役人とともに全国を回ればよかった。ゆとりの意味はこうだ、とていねいに説明すべきだった。後悔している」
◇
今年1月16日、東工大のシンポジウムで有馬氏は、ここでも「学力が下がっていると言われるが、全く下がっていないことを証明する」と言い切り、「理工系学生の学力・学習意欲の低下が問題化している」と“弱気”なあいさつをした主催学生を勇気付けた。
有馬氏は、昨年10月に文部科学省が発表した全国学力調査の結果などを引用し、小学校6年生の漢字で「(魚を)焼く」と正しく書けたのは70・9%で昭和39年調査の33・8%を大幅に上回ることなどから、「義務教育段階での知識型学力は落ちていない」とする。
一方で中学で学ぶ2次方程式を解ける大学生が3割しかいない例をあげ、「大学はガタ落ちだ」とも認める。
学力が身についていない。応用型の国際学力調査などで成績が伸びていない現状は否定できない。
冒頭の生徒たちは有馬氏の説明を受け、氏家由希子さん(17)は「ゆとりが目指したものを知らなかった」とし、「有馬先生の考えが、親や地域の人にどれだけ浸透していたのか。納得いかないところもあった」とも。
「学習指導要領が改定されるなら、本当の狙いがちゃんと分かるようにしてほしい。でなければ誤解が二重になっていく気がする」。佐藤恵里香さん(17)はそう話した。
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引用了