ふたばようちえん日記 2 (園長の雑記帳)

このブログでは、幼稚園で子どもたちとかかわる中で、園長が日頃考えていることや大切にしていることを不定期に綴っていきます。

子どもは共感されることによって育ちます

2017-11-01 15:53:03 | Weblog
 ご家庭で絵本を読まれるのは、どんな時ですか?寝る前だったりお子さんが読んでと持って来たときだったり、ご家庭それぞれのペースがあるでしょう。いずれにせよ、お子さんに絵本を選ばせると、同じ絵本を何度も持ってきませんか?親としては、またこの絵本?と思ってしまうところですが、そこに、子どもにとっての絵本の意味が隠されています。

 大人の感覚としては、いつもと違う本を読んで、新しい情報を知ったり、聞いたことがない物語を読んでこころを動かされたいと思うところです。同じ絵本では、このような刺激はないですから。ところが、子どもは同じ絵本を読んで欲しがるのです。

 絵本を読んでもらうと、子どもはそこに描かれていることにこころを動かされます。楽しかったり嬉しかったり、時にはドキドキしたり。その時子どもは、絵本を読んでくれている大人も、同じように楽しかったり嬉しかったりドキドキしたりしていると思っています。

 もしかしたら、読んでいる大人は、「またこの絵本かー」と思って冷めているかもしれませんが、子どもは同じ気持ちを感じていると思い、いっしょに同じ気持ちを感じていることに、この上ない居心地よさを感じています。同じ場所で同じ時間を過ごし、同じ気持ちを感じている。このことに、子どもは幸せを感じています。

 ですから、同じ絵本でいいのです。子どもは、新しい刺激よりも、共感を求めているのです。共感されることで、自分が思っていることや感じていることが受けとめられ、肯定されていることを確認し、安心しているのです。

 自分が思っていることや感じていることというのは、人間が最も認められたい存在の根源ともいえる部分です。デカルトが「我思う、ゆえという言葉を残しているように、思っていることや感じていることそのものが、その子がその子である証明です。共感するというのは、その子の存在をその根っこからすべて認め受けとめるということです。子どもが読んでと言って持ってくる絵本を読むことには、こんな意味があるのです。

 世の中には、思っていることや感じていることを認められずに育つ子もいます。そのような子どもたちの中には、親の前でいい子でいることに必死になっている子や、反抗して親の反応を試す子もいます。いずれのケースも、自分の存在そのものが認められていないという欠乏感があります。いい子でいようとすることも反抗することも、こころに空いた大きな穴を埋めてほしいからなのです。

 乳幼児期は、子どものこころが最も大きく育つ時期です。しっかりとこころが満たされ、自分が自分であることに自信を持って歩む子どもに育てていきたいですね。
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