ふたばようちえん日記 2 (園長の雑記帳)

このブログでは、幼稚園で子どもたちとかかわる中で、園長が日頃考えていることや大切にしていることを不定期に綴っていきます。

こころが動く

2014-06-24 10:40:00 | Weblog
「子どもたちのこころが動くとき、子どもたちのこころが育ちます。」

 これは、子どもだったことがある誰もが経験的に知っている、まぎれもない事実です。だから、子どもたちのこころを動かしたい。ふたば幼稚園は、子どもたちのこころがまず動かされるところでありたいと思い、日々保育をしています。

 ふたば幼稚園が、自然が豊かな環境を作っているのも、友達とじっくりかかわる時間を大切にしているのも、絵画や造形活動に多くの時間を割いているのも、たくさんの絵本にふれあう時間を作っているのも、すべて子どもたちのこころが動き、こころが育っていって欲しいと考えているからです。
 
 ふたば幼稚園の園庭では、子どもたちは日々の季節の変化を肌で感じながら過ごしています。野の花を摘んで遊びながらそれらが季節ごとに移りゆく様子を感じたり、園庭の木々に成る果実の成熟を待ち望みつつ味わったり、虫や野鳥たちが来る時の季節感を味わったりしています。そこで感じた一日一日の変化は、子どもたちの感性の育ちの最もベースの部分を作っていくことでしょう。

 ふたば幼稚園は、遊びを中心とした自由活動の時間を多くとる保育を進めています。その中で、子どもたちは年齢に関係なく、お互いにかかわり合って遊んでいます。小さな子どもたちは、大きな子どもたちの遊ぶ様子を見てまねたり学んだりします。大きな子どもたちは、小さな子どもたちがいろいろなことがまだできずにいる様子を見て、自分の成長を感じたり、小さな子にいとおしさを感じたりします。優しさや思いやり、そして大きくなることへの憧れや物事への意欲は、こうしたかかわりの中で育っていきます。

 表現活動の基礎は、砂場での泥んこ遊びから。次は絵の具を指でもてあそび、色や形が広がることを経験する活動に入ります。しだいに、指や手の感触と描かれたものを目で見てコントロールする力とこころの動きがつながってきます。そして、大人から見て上手であることや望ましいことを意識させられる前から、表現したい気持ちが育ち、描くことが大好きになります。だから、絵を描く場面で「描けない」とか「下手だから」と言う子はいません。

 ふたば幼稚園の図書館には、今の子どもたちの育ちと今の季節感にぴったりの絵本があります。それらを教師たちが選び取り、子どもたちと味わいます。絵本の中に描かれた世界は、自分とは異なる視点を持ち違った感性を持った人が見た世界が描かれています。子どもたちはその人の視点から目の前の世界を感じることを通して、視野を広げ、今まで気づかなかったことに気づかされていきます。そこには、単なる知識の吸収とは別の次元の大きな学びと育ちがあります。

 子どもたちの中に、目に見える育ちを求めるのは簡単です。文字の読み書きや、逆立ちや跳び箱などの運動能力、楽器の演奏技術の習得など、この時期にそれらを身につけることを中心にした教育を行っているところはたくさんあります。それらは、同じことを繰り返すだけで容易に身に付けることができます。しかし、目に見えるものを育てているときは、目に見えないものは育ちません。そして、それらは後でいつでも身に付けることができます。

 幼児期という人生で最も大切な時期に何を育てるべきでしょうか。ふたば幼稚園では、後でどうにでもなることのためにこの大切な時を無駄にしてはいけないと考えています。それは、人生の幅を狭くしてしまうこと。目に見えないものを育てるのは、目に見えない分、わかりにくいかもしれません。人は目に見えるものを求めがちです。だからこそ、目に見えないものをいっしょに感じて欲しい。この大事なものを、親も子もいっしょに感じられるような幼稚園でありたいと思います。
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