子育てのカギ

2015-03-01 19:49:29 | 本と雑誌

子育てのカギは「自己肯定感」。
親子のパートナーシップを築きましょう

子育てが「カプセル」状態に陥っている。

 最近の子育てを見ていて気になるのは、親子の「密室化」が進み、それぞれの家庭が「カプセル子育て」をしているような状況になっていることです。昔は近所に世話焼きのおばあちゃんがいて、「あんた、そんな格好じゃ冷えちゃうよ」とか、「早くおうち帰んなさいよ」というように声をかけてくれ、地域ぐるみで子どもを育てるようなところがありました。10年ほど前には、3〜5人くらいでママ友が集まるサークルが盛んで、身近に相談できる人がいたものです。ところが、今では近所付き合いはほとんど見られなくなり、ママ友のサークルも全盛期の勢いは失った感があります。
 僕はラジオやテレビ、新聞、雑誌など、さまざまなところで子育ての悩み相談を受けていますが、身近に相談する人がいればすぐに解決するような悩みが本当に多い。個々の家庭や親子がみんなカプセル状態になって抱え込んでしまっているような印象を受けます。人間関係が外に開くのではなく、内にこもってしまった結果、親子の密室化が進んでしまっています。そうした「閉じた状況」の中では、子育てに一生懸命になるがゆえに「子どもを思いどおりに育てたい」、「いい子に育てたい」などの欲求が重なり、子どもを追いつめてしまうケースが生じやすいのです。行政と連携した保育支援施設やサービス、あるいは子育てをするママのためのサロンなども全国にあります。そうしたところを積極的に利用するなどして、育児の悩みや負担を抱え込まないようにする工夫が必要です。

 

親子ともに必要なのが「自己肯定感」
 世界的に見て、日本人は大人も含めて「自己肯定感」が極めて低い状況にあります。「ありのままの自分でいいんだ」という自己肯定感が欠如していると、子育てはなかなかよい方向に向かいませんし、よい親子関係も築けません。
 子どもが自立した大人へ成長していくうえで、自己肯定感はなくてはならないものです。そのために最も重要なのは、子どもに「自己決定」をさせること。例えば、朝、子どもと外出するときに、夕方から雨が降るという天気予報だったとします。子どもがお気に入りのいつもの運動靴を履こうとしたら、ママはつい「長靴にしなさい」と頭ごなしに言ってしまうかもしれません。そこを、あえて「夕方から雨が降ってくるらしいんだけど、どうする?」と、子どもに決定権を与えるのです。そうすれば、雨が降ったら、子どもが自ら長靴を選んだ場合には「これでよかった」と、自己肯定感がグンと高まります。たとえ運動靴を選んだ場合でも、自分が選択した結果なので、自分で責任を取る感覚が身につきます。
 こうした自己決定をする経験を重ねることで、たくましい自立した人間へと成長を遂げていくのです。自立の土台にあるのは、自己肯定感なのです。ところが日本では、あるがままの子どもを親が認めることや、自分のことを自分で好きになる、認めていくという子ども観、子育て観が浸透していない。僕はそのことを非常に危惧しています。
 子どもを自立へと導くために望ましいのは、親子が対等な「パートナーシップ」の関係を築くこと。親が子どもの目線になって一緒に考え、子どもの心に寄り添い、子どもの自己決定を尊重する。そうすれば、子どもの考えていることや気持ちが見えてきますし、子どもも自己肯定感が高まり、自立心も育ってきます。

自分が主体となって子育て本を選ぶ
 子どもには、2歳くらいから「イヤイヤ期」に入ったり、4〜5歳くらいから言語の理解力や表現力がグンと伸びたりと、発達段階がいくつもあります。育児についても、それぞれに合わせた対応のしかたのポイントがあり、そうした知識を子育て本から得るのも大切なことです。そうすることで、親の自己肯定感を高めることにもつながります。
近年、育児はママだけでなく、パパも行うのが当たり前になってきています。ただし、乳幼児期の育児においては、やはりママが子どもに接触することが圧倒的に多いのも事実です。この時期のパパの役割としてはママを支えることが重要になります。仕事で夜遅くなってしまった場合でも、「今日はどうだった?」とか、「大変だったね」と声をかけたり、労ったり、話を聞くだけでもママの精神的な負担はずいぶんと軽くなります。台所の洗いものや部屋の片づけなどを行うのもよいですが、ママのやり方がある場合が多いので、どのようにするかを聞きながら行うとよいでしょう。ママとパパがコミュニケーションを取りながら、力を合わせて育児を楽しめるとよいですね。
 そして、パパにもぜひ、子育て本を読んでほしいですね。育児に追われるママは、子育て本を読む時間が取れないことも。パパが代わりに読み、正しい知識を得たり、活用したりしてみましょう。今や数えきれないほどの子育て本がありますからどの本を選べばいいのか迷ってしまいそうですが、読むことで自分の心が落ち着きそうな本を選ぶとよいと思います。
 育児にパーフェクトはありません。どんなに頑張っても、うまくいかないことや、失敗してしまうことは出てきます。そんなときには、素直に「ごめんね」と言えるママやパパになれるといいですね。

以上。教育評論家 尾木ママ
朝日新聞&紀伊国屋書店共同企画 子育て本特集 より。


子育てハッピーアドバイス

2015-03-01 19:28:08 | 本と雑誌

「子育てハッピーアドバイス 大好き!が伝わるほめ方・叱り方」まとめ

  • 著者明橋 大二
  • 出版日2005/12/01
  • 出版社1万年堂出版

自己肯定感を育む

自己肯定感とは、存在するだけで自分に価値があると思える自信。能力や外見などに頼らない自信。これを持てる人間は幸福感を持つことができへこたれない。能力や外見を根拠にした自信は、自分や外部環境の変化により崩れやすい。

自己肯定感を育くむ親子関係

・ほめる
・愛情を示す
・共感、嬉しい事も悲しい事も一緒に喜び一緒に悲しむ
・良い所も悪い所も、成功も失敗も受け入れる
・子供のマイナスの感情(甘えたりわがままなど)を受け入れる

自己肯定感を育くむ具体的な行為

・スキンシップ
・ご飯を一緒に食べる、作る
・一緒に遊ぶ
・泣いたらよしよしする
・子供の気持ちに言葉をしっかり返す
・子供の話をしっかり聞く
・絵本を読む
・子供を丸ごと褒める

ほめ方

1. 間違いを指摘するのではなくて、できた所に注目して褒める

意欲が湧いて間違えた事もできるようになる。

2. やらない時はほっとく、やった時にすかさず褒める

やらない時にガミガミ言うだけなのは100%逆効果。

3. 子供の現状より期待しすぎないこと

親の期待が大きすぎると、子供への否定の言葉が増える。要求水準を下げて、できたことを褒めるようにする。

4. よその子と比較しない

成長スピードや性格、適性が違うのだから他の子との比較は意味がない。妬みや劣等感しか生まないので悪影響。比較するなら以前の子供本人自身と比べて、以前は○○ができなかったのに今はできるようになった、のように比べて褒めると良い。

5. 手のかからない、いい子は失敗を褒める

手のかからない、いい子は、失敗や怒られることを過度に恐れ、親の感情や空気を読み我慢している可能性がある。なので、そういう子の場合は失敗した時にほめる。失敗しても良いんだと安心感を与えて、失敗を恐れすぎずチャレンジ精神を持てるように育てるため。

6. ありがとうをその都度言う

子供が何かしてくれたらその都度必ずありがとうを言う。

叱り過ぎることの注意点

叱る行為で効果があるのは、基礎として信頼関係がある場合のみ。そのために、まず前述の行為で普段から親子の信頼関係を築いておく必要がある。叱りすぎると弊害が出る可能性があり、以下の注意点を意識しておくこと。

・叱りすぎると、子供が失敗や間違いを隠し、ウソを付くようになる。
・失敗や間違いを恐れすぎて臆病な子に育つ。
・思春期になって、叱られる恐怖がなくなった時にグレる可能性がある。

叱るよりもまず親が身をもって示す

子供は親の良い行動も悪い行動も、そっくりそのまま真似て育つ。口で言うより、子供にして欲しいことを、親自身がまず子供の前でしてみせる。

叱り方

1. まずは叱る前に子供の動きを止める

子供が興奮して騒いだり動き回ったりしている場合は、危険回避のためにも、まず子供を抱きしめて動きを止める。動きが止まったら目を見て伝える。子供から距離が離れた所から大声で叱るのは、伝わらないので意味が無いし、嫌悪感が残るので逆効果。

2. 行為を叱り、理由を伝える。

人格ではなくて行為自体を叱る。肯定文で伝える、「××するのはダメ」じゃなくて「○○してね」。その行為が駄目な理由もしっかり伝える。

3. 親自身の気持ちを伝える

「ママは嬉しいよ」「パパは助かったよ」「私は悲しいよ」など子供の行為に対して、親自身の主格で気持ちを伝える。「あなたは○○だ」とだけ子供に伝えるより効果的。

4. 根気よく繰り返す

子供は言っても言っても同じ失敗を繰り返すものなので、辛抱強く同じことを繰り返し伝えていく。

5. キレて怒った時は後でフォローする

つい感情的に叱った時には、後でフォローすることを忘れない。

6. 大声で反射的に叱るのは、危険や暴力など緊急時のみ

車道に飛び出す、火遊び、他人への暴力など緊急時は、大声で反射的に叱る。

以上。