昨日(18日)のデモでは、セ広場に集まり、それから市役所まで行進して抗議した。昨日は心配されていたサッケ(Saque=本来の意味は「引き出す」だが、この場合は侵入・商品の強奪)もおこり、家電店などからテレビなどが盗まれた。市役所のそばには昨年12月に開店したダイソーもあるが、被害がでていなか心配だ。早々に店じまいするなどの対策をとっていればいいのだが。
(心配が的中し、やはりシャッターを無理やりこじ開けて侵入して荒らされていた=ニッケイ新聞)
*セ広場に集まった人数は5万人
*侵入・強奪、破壊による逮捕者52人
平和的というのがスローガンだが、通常、こういうデモは衝突がおこり、その矛先が店に向けられることが多い。またそれを目当てにどさくさで物をとろうという「便乗組」もいるからやっかいだ。
今回のデモ、示威行動、政治的にはよくわからない状況だと思う。バス代は市の管轄でサンパウロだと直接抗議されているのは、PTのハダッド市長。地下鉄は州で野党のPSDBのアルクミン知事。これまでのデモ、示威行動ではブラジル共産党や労働党の旗が振られ、真っ赤になっていたものだが、今回はちょっと違う。デモ隊には支持する党の旗を持ち込まないという暗黙の了解ができていて、それでも持ち込もうとする人間が取り上げられたり、乱闘がおきたりしているという。
野党、与党ともにどう対処したらいいか戸惑っている状況ではないだろうか。月曜日、サンパウロでジルマ大統領、ルーラ元大統領とハダッド市長が集まって「対策会議」をしたと報道された。ルーラにしたらハダッド市長は、宿敵マルフとも手を組んで当選させた子飼いといってもいい存在で、ジルマ後の大統領にもという筋書きまで引かれているそうだから、子供の一大事に親と姉さんが集まったようなもの。そして、そこにもう一人参加したのが、ジョン・サンタナという選挙参謀というかマーケッター。ルーラの再選とジルマの3年前の選挙のマーケティング面での総指揮をとった人物である。何が話し合われたのかはわからないが、今回のデモにマーケティング的にどう対応したらいいかのオリエンテーションだったことは間違いない。
その結果、ジルマの演説は非常に柔らかく参加者に理解を示すものどころか、彼らの行動はブラジルの誇りとまで言い切っている。しかも、その演説は鉱山関係の新しい規制を発表するセレモニーで、何ら公共交通とは関係ない場だ。マスコミを通じてこの騒ぎが、自分やPTのイメージ低下に結びつかないようにするためのイメージ作りのためだ。訳の分からない失言、妄言で世界の非難の的にされるどこかの国の政治家と比べると、数段上手で戦略的だといえるだろう。