安い税金と小さな政府を切望するふきあえずのブログ

安全で暮らしやすい日本をつくりたい
そんな想いを綴っていくブログにしたいと思います

紙幣のルーツは金の預り証…現代貨幣制度はどうやって生まれたのか?

2019-04-20 22:10:43 | 政治
お金のルーツについては諸説あるものの、近代貨幣制度の原型にあたるものは、一体なんなのでしょうか?
その答えは、中世ヨーロッパに見ることができます

中世においては、ギルドと呼ばれる様々な職人、商売人の組合のようなものがあり
新参者やよそ者を排除したり、価格を統制したりしていました
ギルドは国王などから商売における権限を与えられ、社会的なシステムを構築していたと言われています
日本にはあまり見られない欧米人の傾向として、シェアを独占し、価格統制によって値段を釣り上げようとする傾向がありますが
その傾向性も、もしかするとギルド制度の名残りなのかもしれません

宋の時代の中国にも紙幣はあったらしいのですが、こちらの方は中央集権的で権力集中のための道具としての色彩が強く
やや近代貨幣のモデルとしては毛色が違うように見えます
どうやら近代貨幣制度のモデルは、欧米における金細工職人たちのギルドによって作られたものであるらしいのです
最初、中世ヨーロッパでは、お金として金が使われていました
しかし、金属貨幣は重く、加工の必要があり、実用性は今一つであったのですね
そこで金細工職人たちが目をつけたのが「金の保管」を商売にするということです

彼らは金細工を生業にしていたことから、沢山の金を預かり、顧客の必要に応じて加工していたはずです
そのうち、重くて持ち運びが不便で物騒だということで、商売人たちが金を預かってくれる保管庫を探していたと思われます
そういうことで金細工師たちは金を安全な保管庫で預かっていましたが、その際に預り証を発行しておりました
その預り証が、おそらくは近代紙幣の原型だと考えられます
商売人たちは重くて不便な金の代わりに預り証を交換することで、支払いに代え始めました
おそらくは、預り証の単位を重さごとに細かく分類して、今の紙幣のように使われていたのではないかと思いますね
近代でも、ブレトンウッズ協定によって、アメリカのドルが兌換紙幣として金との交換を制度化し基軸通貨となりましたが
それも、この中世における金預り証が金との交換を約束された証書であったことと発想を同じくしているものです
紙幣の価値の裏付けが、金との交換にあったということですね

中世の金細工職人達は、こうして金の預り証を発行するようになったのですが、ここで彼らは新しく商売を考え出しました
預かった金を引き出す人はほとんどいない、ほとんどの人が預り証の受け渡しで「支払い」に代えている、という現実を見て
新しい商売を考え出しました
それが、預かった金を貸し出して金利を取るという商売です
預かったものを貸し出して金利を取る、それは今の銀行の原型に当たりますね
そして、頭のいい彼らは、もう一段儲かる商売を考え出しました
それが、「存在しない金を貸し出す」という、当時としては間違いない詐欺行為です
彼らはそれを、借用証書と引き換えに預り証を貸し出すことで、その詐欺行為を可能にしました

結局、金を引き出しに来る人はほとんどいないので、預かった金に関係なく預り証を発行しても、誰も気がつかなかったわけです
この発想が実は、今の銀行の「信用創造」の発想の根底にあると思われます
今、民間銀行は自社金庫にお金があるかどうかに縛られることなく、お金を貸し出すことができます
ただパソコンで金額を通帳に書き込むだけで相手にお金を貸し出すのです
これは「無いお金を貸す」というもので、ギルドが行った預り証詐欺と発想はまったく同じです
しかしながら、このようにレバレッジを効かせた貸し出しによって、市場にお金が爆発的に回り始め
近代の産業革命などが加速していったこともまた事実なのです

近代の発展もまた、部分準備制度による信用創造にその原点があったのですね
産業が発展していくときには、それに伴って貨幣の量が飛躍的に増える必要があります
資本の需要が増えれば増えるほど、お金の量は増えていかなければ発展は止まります
産業が発達するときに、デフレ状態はありえないのですね

こういった発展の原点を考えることによって、今の日本に必要なものが見えてくるのではないでしょうか?
今の日本に必要なのは、政府によって食べさせてもらうような、ぶら下がり型の日本人じゃないと私は思います
資本主義精神を持って努力する日本人と、それを支える資金、資本
これに尽きるのではないでしょうか?



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Modern Monetary Theory 現代貨幣理論(MMT)は善悪を超越した純粋理論

2019-04-20 09:15:14 | 政治
何事にも”善と悪”、”表と裏”、”真実と嘘”の面が存在するように
世に流布される学説、理論にも、表の面と裏の面が存在します
現代貨幣理論という貨幣理論が、最近になって注目を集めつつありますが
この現代貨幣理論というもの、これは純粋な貨幣理論であり、本来善でも悪でもない
ですがこの理論、使い方によって、凄い薬にもなれば、ひどい毒にもなる、という代物だと思います


まずは現代貨幣理論の、その要点をかいつまんでご説明します

1 政府(中央銀行)の貨幣供給量(発行)は、市場の供給能力によって'のみ'制約を受ける
  
   わかりやすく説明します。その国において物を作ったりサービスを提供したりする場合に、物理的には必ず限界があります
   その物理的な供給能力に必要とする限度を越えてお金が発行されるとインフレになる、ということなのです

2 税金は貨幣の必要性を作り出す

   わかりやすく説明します。その国において「その通貨で税金を納付できる」ということが、その通貨をもつ最大のメリットになる
   例えば、日本であれば円によって税金が支払いができるように、「納税によって通貨の価値が作られる」という考え方です

3 徴税は「政府の資金調達手段」ではなく「加熱した経済を冷やす役割」にしかすぎない

   わかりやすく説明します。一般的には国の徴税権は国の予算獲得手段だとされています。しかし、現代貨幣理論では
   税金は経済を調節するための一手段にしか過ぎない、と考えます
   具体的には、国民から税金を多く取れば経済は冷え込み、税金を安くすれば景気が良くなる、というように景気調整の役割が税金なのです

4 国債は政府の「資金調達手段」ではなくて、「過熱した経済から余剰資金を取り除く役割」にすぎない

   国債は一般的には政府の資金調達手段と思われていますが、現代貨幣理論によると、貨幣発行能力のある政府には
   資金調達のために国債を発行する理由はありません。したがって、国債は過熱気味の市場から余剰資金を吸い上げ
   金利を上げて市場を冷やす役割に過ぎない、と考えます

5 失業という現象は、政府が税を集め過ぎ、市場への還元が少なすぎた場合に起こる

   税金は市場を循環する資金を減らし経済を冷やします。少なくなった市場資金が結果的に雇用を減らすのだということなので
   その場合は政府がもっと資金を供給せよ、と考えます

6 通貨発行権を持つ国家はデフォルト(債務不履行)におちいることはありえない

   通貨を発行できる主体は、その国の通貨建ての借金に困ることは理論的にありません
   逆に言えば、通貨発行権をECB(欧州中央銀行)に奪われた今のEU諸国(イタリアなど)ならデフォルトの可能性がある、とういことです


はっきり申し上げまして、これらの主張は、主流派経済学者たちが”絶対に”受け入れられないものですね

そもそも、この説に立脚すれば、いわゆる「国の借金」などというものは、まったくの論外にしか過ぎないものになります
以前にご紹介いたしました、アパ・ラーナー博士の機能的財政論も、基本的には同じ考え方に立脚します
税金や国債は、市場に流通する貨幣の量を調節する機能にしか過ぎない、というのが、その考え方の中心理論ですね

私がこの現代貨幣理論をご紹介しましたのは、日本の今の現状において増税するということがどういうことであるのか?
それを多くの人に知っていただきたいからです
人々がデフレで苦しんでいる時に、わざわざ増税で追い討ちをかける正当性が、どこにあるのか?ということです

この現代貨幣理論は、純粋な理論であり、実は薬にも毒にも変化する危うさを内包しているものだと、私は最初に申し上げました

アメリカでは社会主義者であるバーニー・サンダース議員やアレキサンドリア・オカシオ-コルテス議員などが
この現代貨幣理論の信奉者として知られています
次回からは、MMTで考えられるメリット、デメリットにも、しっかりと焦点をあてて考えてみたいと思います

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