この記事は月刊正論7月号から転載しました。
★高須克弥(たかす・かつや) 高須クリニック院長。昭和20年生まれ。昭和大医学部卒。同大学院修了。医学博士。学生時代から赤尾敏の信奉者
★赤尾由美(あかお・ゆみ) アカオアルミ(株)代表取締役 赤尾敏の姪。昭和40年生まれ。明治大文学部卒。共著に『国防女子が行く』(ビジネス社)
★赤尾敏(あかお・びん) 明治32年1月15日-平成2年2月6日 日本の保守政治家、元衆議院議員、大日本愛国党初代総裁。銀座数寄屋橋での街頭演説で名高かった。
克弥 先生は、こうおっしゃったんですね。「『北方四島を返してくれ』と言うからダメなんだ。露助(ろすけ)は『二島しか返さん』とか『一つしか返さん』とか言うに決まっとる。『千島列島を全部返せ』と言え。そうすれば、4つぐらい返ってくるかもしれん。『樺太も返せ』と言え。そうしたら、千島も返ってくるかもしれん」とね。
克弥 先生は「『満洲も返せ』と言え」って。
由美 それはまた大きく出ましたね(笑)。
克弥 「そういうふうに交渉すればいいんだ。誰か、そういうふうにやる人がいないのか」とね。あれは、素晴らしいですよ。僕、そうか、と納得しましたもん。それから、赤尾先生は「露助に騙されるな」「あれは、いかにも仲の良い振りをしてるけど、共産党は変わらん」とも言うわけ。僕、また「確かにそうだな」と思ってね。だから、若い頃は、いつも街頭演説する先生の追っかけやっていました、はい。
克弥 赤尾先生は、話のつかみがお上手なもんだから、極端なことをボンとおっしゃっても、じっくり話を聞いてみると、「なるほど…」と思わせるんですね。先生は、僕の心の師なんです。行動右翼として有名で、極端な言動をしてきたものだから、「赤尾敏先生を尊敬してる」というと、僕自身もすごく極端で変な奴と思われるんですが、先生は、自分の身を捨てて国のために尽くすということをしてきただけなんです。それは、すごく美しい行為なんだけど、一般の平凡な人から見てみると、変に思えちゃうんでしょうね。
克弥 赤尾先生が立派なのは、筋を通すんです。ああいう方が政治家になるべきなんです。自分を捨ててみんなのために尽くすのが本当の政治家なのに、今の人たちって、まず、自分の利益のために選挙に出てる感じがする。経済とか情勢見て、自分に得か損かでうまく立ち回るのが頭のいい者の処世術だと思ってるみたいです。
克弥 アメリカはカウボーイの国ですから、荒技ですもんね。いきなり、ヘリコプターで来て撃ちまくる攻撃法とか、現代にも通じますよ。ロシアも粗暴ですが、放射性物質のポロニウムで暗殺するとか、使うものが垢抜けてます。「国境なき医師団」の病院もアメリカに爆撃されてますよね。
克弥 僕、「国境なき医師団」にいっぱい寄付してるから、レポートを持ってきてくれるんですけど、こことここの病室に偉い人がいて、こことここだけやられて、助けに行った医療従事者たちをまた銃撃しに来た、って書いてありましたよ。まあ、アメリカが意図的爆撃を認めたわけじゃないから、誤爆だということにしても、きめ細やかではないですね。
第1回の対談でもお話ししましたが、赤尾敏先生の偉さは、戦後、みんな、アメリカは世界一知的でスマートな国だと思っている時から、そういうところが分かっていて、それでも、力は持っているからアメリカを重視したとこでしょうね。