2014年4月の消費増税前後の
主要メーカーの動き
トヨタ自動車 |
2014年1~3月に13年12月計画比1割程度増産 |
三菱自動車 |
日産と共同開発の軽の新型車を休日返上で生産 |
ホンダ |
14年度1年間に過去最多となる6つの新型車を発売 |
ルネサスエレクトロニクス |
自動車向け好調で一部工場で年末年始の休み短縮 |
エスビー食品 |
増税前にカレールウやレトルトカレーを増産方針 |
小林製薬 |
春夏商品の投入時期を増税後の4月上旬に遅らせる |
レナウン |
反動減に備え紳士服で低価格品を3月に売り出す |
トヨタは14年1~3月、1日あたり1万4000台前後の国内生産計画を取引先の部品メーカーに示した。13年12月は約1万2500台(計画値)だった。小型ハイブリッド車「アクア」などの生産を増やす。期間従業員の採用も13年11月末時点で4100人と8月末に比べ1割増やした。
小型車「フィット」の販売が好調なホンダは14年1月に埼玉製作所寄居工場(埼玉県寄居町)と鈴鹿製作所(三重県鈴鹿市)でそれぞれ休日を2日ずつ返上して工場を稼働させる。
軽自動車メーカーもフル生産が続く。スズキは軽を生産する湖西工場(静岡県湖西市)で14年1月に3日間の休日出勤を実施、新型の多目的スポーツ車「ハスラー」などを増産する。三菱自動車は日産自動車と共同開発した軽の新型車の発売を14年2月に控え、水島製作所(岡山県倉敷市)で14年1月に3日間、休日出勤する。
自動車業界の増産は部品メーカーにも波及する。ルネサスエレクトロニクスは自動車向けマイコンやパワー半導体の受注増に対応し、熊本川尻工場(熊本市)の年末年始休業を前年度より2日短縮し3日にする。
短期間に買いだめの動きが出る日用品では、花王が「アタック」などの衣料用洗剤、乳児用紙おむつ、生理用品の増産を始めた。1997年4月の消費増税時は3月の最終週に日用品の売れ行きが3割伸びた。ユニ・チャームも紙おむつや生理用品の在庫を3月までに2週間分積み増す。
家電量販店では年明けから駆け込み需要が本格化するとみて、在庫確保をメーカーに働きかけている。メーカーは高額のテレビや冷蔵庫などを中心に増産する見通しだ。
一方で反動減の影響を抑えようと主力商品や目玉商品を増税後に発売する動きも出てきた。ホンダは14年4月から1年間に同社として過去最多となる6つの新型車を発売する。富士重工業も主力車「レガシィ」ワゴン車の後継車「LEVORG(レヴォーグ)」の発売時期を14年4月以降にすることを決めた。
小林製薬は例年は2月下旬から3月中旬だった新製品の投入時期を4月上旬にずらす。3月以降にドラッグストアやホームセンターで駆け込み需要を狙った特売が本格化する可能性が高く、乱売に巻き込まれないようにする。エステーも消臭芳香剤の新製品の発売を3月上旬から1カ月ほど遅らせる。
97年4月の消費増税後には大きな反動減に見舞われた業界が多い。反動減の影響を最小限にするため、企業は増税前後で2段構えの工夫を凝らしている。