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≪手を動かさねばっ!≫

日常で手を使うことや思ったこと。染織やお菓子作りがメインでしたが、病を得て休んでいます。最近は音楽ネタが多し。

トーハクで『正倉院展』を観た。

2019-12-27 22:43:46 | 展覧会に行った話

神田古本まつりステイシー・ケントライブ の晩は宿をとって、翌日はまたトーハクに行った。どう考えても混む『正倉院展』である。
正門でチケットを確認してもらって速足で奥の平成館を目指す。
見えてきました平成館。30分遅れでもうこんなに人が並んでいる。オープン前に着かなかったらこんな感じだ。わたしが並んでいる間もどんどん列の後ろが長くなっていって、平成館まえの広場の広さに初めて納得した。

外がこうなら中の混み具合も予想通り。夏に科博で恐竜博を観た ときといい勝負だよ。客層はあきらかに恐竜の方が若かったけど。

特別展だから写真は撮れないよなあ、混んでいて疲れるし荷物は少しでも軽い方がいいよなあと思い、カメラもロッカーに入れてしまったので、写真を撮ってよいレプリカの螺鈿紫檀五絃琵琶や螺鈿紫檀阮咸の写真を撮れなかったのが残念だ。しかしあんなに人が多いと角度とか選んでられないし仕方ないよ、とか負け惜しみをいっておく。

チラシ。平螺鈿背八角鏡 とか 白瑠璃碗 とか 螺鈿紫檀五弦琵琶 とか 竜首水瓶。

今回の展示で一番見たかったのがこの鏡! しかしこの鏡は後期展示なんであった。とがっかりしたが大丈夫、類似の鏡が正倉院に7枚あって、前期にはその中の平螺鈿八角鏡にいちばん似ている平螺鈿背円鏡9号が展示されたから。(正倉院のHPの鏡に直にリンクができなかったので、正倉院宝物検索 で「調度」と「金工」にチェックを入れて検索ボタンををタップ/クリックすると見つかります。)

平螺鈿背円鏡9号は夜光貝の宝相華(ほうそうげ、天上世界の空想の花)がこれ以上詰められないほどみっしり配置されていてゴージャスだ。その華の上のアクセントは琥珀で裏側に彩色してある。背景にはトルコ石とラピスラズリが散りばめられている。華はどちらかというと暖色系、背景は寒色系と分けられている。材料、細工が一流なのもさることながら隙のないデザインが素晴らしい。ほんとうに美しい美しい鏡(の裏側)だった。遣唐使が大事に持って帰ってきたこれらの鏡は唐の偉大さを殿上人へ雄弁に伝えただろう。

竜首水瓶は普段はトーハク法隆寺宝物館2階に展示されていて見物客もまばらなので、今回のように混んでいるときにわざわざ観なくてもよいのだよ。2018年6月にアップした記事 にこの水瓶の写真を数枚載せたのでどうぞ。ギョロ目がいいです。

そして琵琶。今回の『正倉院展』には琵琶は前期と後期に1面ずつ出品された。わたしの見た前期はチラシの螺鈿紫檀五絃琵琶、後期は紫檀木画槽琵琶(2号)である。(正倉院には5絃の琵琶が1面、4絃が5面、あわせて6面あるようだ。これも直リンクできないので 正倉院宝物検索 で「琵琶」と入れて検索ボタンををタップ/クリックすると見つかります。)
2014年10月にトーハクの平成館で開催された『日本国宝展』で琵琶を観た覚えがあるのだがとうぜん写真も撮れず記憶があやふやだったのだが、いま調べてみたら 楓蘇芳染螺鈿槽琵琶 だった。このときも混んでいたなあ。

螺鈿紫檀五絃琵琶の表の捍撥の部分の螺鈿の柄が、ラクダに乗る楽師で琵琶を弾いている(ただし4絃)というというのが面白い。
裏の螺鈿は平螺鈿背円鏡に負けない美しさだ。写真↓ 煌びやかな裏面だけでなくペグも短いネックも側面(磯)も螺鈿だらけ。むしろ演奏して傷つけてはいけない、という感じ。

螺鈿紫檀五絃琵琶は本物のほかにレプリカが2面展示されていた。平成に作ったレプリカと明治に作ったレプリカ。写真に撮ってよかったものは明治のものだった。
明治期に正倉院のものをいろいろ修復したが、今から見るとまずい部分がある。圧力をかけて拓本とってしまったり甘竹簫を全然違う復元したり。銀薫炉も下半分が明治の復元で、毛彫の文様の躍動感が出ていない、などと評されている。復元した職人には気の毒だが、後世に誹られるのは恥だなあ。

螺鈿紫檀五絃琵琶のほかに螺鈿紫檀阮咸という胴が丸くてネックが長い4絃の楽器のレプリカ展示されていた。裏の螺鈿はオウムが2羽点対称に向かい合っている美しい柄だ。表の捍撥には阮咸を弾く女性とそれを聴く男女3人が描かれている。同じ楽器の演奏の図、というのが螺鈿紫檀五絃琵琶と同じでなんか面白い。
ああやっぱりレプリカの写真を撮れなかったのがくやしい。
琵琶のフレットが4つしかないのが不思議に見えた。5絃琵琶は5つだね。しかし螺鈿紫檀阮咸のフレットはもっと気になった。途中が抜けたような配置なんである。そのままスケールになっているのだろうか。これらの楽器で一体どのような音楽を奏でたのだろう。


特設ショップで買ったもの2つ。螺鈿紫檀五絃琵琶の裏面の螺鈿のアップを印刷したチケットケース。ちょっとパールっぽい光沢が入っていてそれが螺鈿の貝の光沢に似ている。
もうひとつは紺牙撥鏤碁子(碁石)の柄の缶バッジ。この碁石は象牙製で染めてあるらしい。碁石は白黒だけかと思っていたのでびっくりした。

正倉院の宝物は素晴らしかった。しかし如何にしても人が多すぎる。夕方に行って空いていた、という話も聞いたのでそちらを狙いたいところだが、前夜に予定を入れて昼過ぎには帰る予定の身には無理だよなあ。

   トーハク本館で観たもの少々 へつづく


 

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