≪手を動かさねばっ!≫

日常で手を使うことや思ったこと。染織やお菓子作りがメインでしたが、病を得て休んでいます。最近は音楽ネタが多し。

『グリーンブック』を観た。

2019-04-27 10:05:59 | 映画 (ネタバレ大嫌い)

しばらくまえのネタです。

わたしの誕生日に夫と観に行った。テーマは重いけれどコメディ仕立てなのだ。

  公式HP

そこからの引用
「時は1962年、ニューヨークの一流ナイトクラブ、コパカバーナで用心棒を務めるトニー・リップは、ガサツで無学だが、腕っぷしとハッタリで家族や周囲に頼りにされていた。ある日、トニーは、黒人ピアニストの運転手としてスカウトされる。彼の名前はドクター・シャーリー、カーネギーホールを住処とし、ホワイトハウスでも演奏したほどの天才は、なぜか差別の色濃い南部での演奏ツアーを目論んでいた。二人は、〈黒人用旅行ガイド=グリーンブック〉を頼りに、出発するのだが─。」


チラシの右、後部座席に座るのがドク。そのドクが映画の中で格好よく見えたり滑稽に見えたりする。そのさじ加減がよい。ドクの背負う何重ものマイノリティに胸が痛んだが、背筋を伸ばして生きてゆく姿勢に胸を打たれた。
チラシの左、運転席でハンドルを握るのがトニー。そのトニーの粗野な態度がドクと正反対で笑いを誘うが、トニーの背負っているものが見えてくるとそれなりに頼り甲斐があるように見えてきた。
トニーの妻のドロレスはいいキャラだった!

ドクの俳優は、この顔どこかで見たんだけどなあ? と思いながら観たのだが、あとで調べて笑ってしまったよ。『ドリーム』に出ていたマハーシャラ・アリ。なんで思い出さないんだろう?
そしてトニーの俳優には気づかなかった! ヴィゴ・モーテンセンは『ロード・オブ・ザ・リング』三部作のアラゴルン役じゃないか。ずいぶん面変わりして .... 。

巷の評は必ずしも手放しではないようだが、この映画は分かりやすく、重くなりそうなところは上手にくすりと笑わせてくれて、誕生日に観るにはとてもよかったと思う。

現代の日本だって、どの地方都市に行っても一見同じような店が並んでいるようだけど、中身をよく見たらけっこう違う。そして多層だ。
自分の属する世界だけが全てだと思わず常に相対的に見て人と接していけるようになりたい、あわよくば友情を得たりしてみたい、などととつらつら考えたのだ。


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『判決、ふたつの希望』を観た。

2018-11-08 15:07:22 | 映画 (ネタバレ大嫌い)

シネマテークたかさき で『判決、ふたつの希望』を独りで観た。

一体どういう話なのか、HP から引用する。
「レバノンの首都ベイルート。その一角で住宅の補修作業を行っていたパレスチナ人の現場監督ヤーセルと、キリスト教徒のレバノン人男性トニーが、アパートのバルコニーからの水漏れをめぐって諍いを起こす。このときヤーセルがふと漏らした悪態はトニーの猛烈な怒りを買い、ヤーセルもまたトニーのタブーに触れる “ある一言”に尊厳を深く傷つけられ、ふたりの対立は法廷へ持ち込まれる。
やがて両者の弁護士が激烈な論戦を繰り広げるなか、この裁判に飛びついたメディアが両陣営の衝突を大々的に報じたことから裁判は巨大な政治問題を引き起こす。かくして、水漏れをめぐる“ささいな口論”から始まった小さな事件は、レバノン全土を震撼させる騒乱へと発展していくのだった……。」



この映画の背景を少し垣間見える記事が BuzzFeed にある。 

長い歴史の中で多くの民族が関わってきた土地だ。イスラレルを核として大きな問題がずっしり横たわっている。宗教の違いや難民という立場からいくつかグループに分かれるのだが、そのグループがまとまるのにエコーチェンバー現象とフィルターバブルというのが大きな力を果たしている。
エコーチェンバー現象というのは、自分と同じ意見ばかりエコーのように帰ってくる閉じたコミュニティにいること。フィルターバブルというのは、インターネットの検索エンジンが使う人の好みを学習して好まない情報をシャットアウトしていき、フィルターによってまるで泡のなかに閉じ込めらたようになること。

つまり、情報の取り込みによって己のグループが正しくてそうでないグループをどんどん非難するするように人々の気持ちが傾いていく、ということなのだ。

いま世界中が難民受け入れを拒否する方向に動いている。今まで積極的に難民を受け入れていた国でも選挙によって方向転換の民意を示される例が増えてきた。そのことを単純に良し悪しいうのは乱暴だと思う。
なにより人はまず動物なんである。身内とそうでないものに分け縄張りを守ろうとするのはもう本能なんだと思う。その一方で、他者を助けようとする本能もヒトだけのものではない。
どのような工夫をもって対処すればいちばんおさまるのだろう?

難民が来なければよい、それならば、難民が発生しなければよい、というのは簡単に思いつくのだが、そもそもヒトはアフリカで進化して以来ずっと移動し続けてきた。たぶん、その土地を後にしなければいけないのは弱い方だったろう。移った先に先住者がいた場合、何が起きたか?
ああ根深いね。

わたしも群馬の山奥に越してきて子供を産んで育てたけれど、もともと住んでいた人たちは温かく受け入れてくれたけれど、彼らとの違いを痛感することは多々あった。もともと住んでいた人たち、と一括りにするのは危ない考えだ、と感じたこともあった。ひとごとではないんである。


この映画について言いたいことはいろいろあるけれど、ネタバレしちゃうのでここらで止める。
最後に一つだけ。 あの終わり方はよかった。


チラシのコメント。



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『リメンバー・ミー』を観た。

2018-04-10 09:35:14 | 映画 (ネタバレ大嫌い)


すっごいよかった!

この間の第90回アカデミー賞で長編アニメーション賞および主題歌賞を受賞したピクサーの作品。
映画.com の説明が簡潔なのでリンクを貼る。


メキシコの祝日「死者の日」にギター少年ミゲルが死者の国に行ってしまう。それというのも音楽の道を家族に反対されているから。
どうして反対されると死者の国に行かなきゃいけないのかは映画を観てください。

家族と己の道、という普遍的ともいえるテーマを
メキシコ色強く(メキシコの人から見るとステレオタイプなのだろうか?)ミゲル個人の物語として生き生きと描いている。

少なくともわたしには見慣れないメキシコのデザイン、独特でカラフルな色彩に引き込まれる。
切り絵を飾るのは中国に似ている!?って思ったら中国系列移民の影響だとか。
ガイコツがこんなに可愛くなってしまうなんて。以前観に行った『古代アンデス文明展』の死生感とどこか通じるなあ。

アメリカの作品でありながら、主人公のミゲルの顔が日本人の基準から見ても充分かわいいところに感心してしまった。その顔が3バージョンあるのだが、ガイコツ扮装なんてかわいくてしょうがない。

死者の国の煌びやかで眩惑される造形は素晴らしかった。
もうぜったいディズニーランドにこのアトラクションを造るべきだ、って思ってしまった。ホーンテッドマンションの高いところから見下ろしながらくだって行くあそこを『リメンバー・ミー』バージョンでやってほしい。

ストーリーは分かりやすくテンポよく進み、主人公の気持ちもサブキャラの気持ちもよく分かるんだけどでも!って感情移入できて、時々あっと思いもかけない風に話が動いたりして、飽きさせない。

そして音楽。
ギターってこんなに心動かす音色だったんだ、って思いましたよ。
ラッパがにぎやかなメキシコの音楽、陽気でちょっとほろ苦くて、いいなあ。
映画が公開されてから日にちが経ったせいか近場では吹替えしか上映していなかったのだが、吹替えは素晴らしかった。
ミゲルの歌!石橋陽彩くんが上手い!
うっかり動画のリンクを貼ろうかとおもったが、いやここは映画で観てください。

映画の原題は"Coco"でミゲルのひいお祖母ちゃんのことなんだけど、
邦題と両方大事なキーワードなので、見終わってしみじみ思い出すのにいいです。


ちょっとマイナス発言。
前座の『アナと雪の女王』短編が鬱陶しかった。
金がかかっているのに何でかねえ、こんなことしちゃうかねえ。
ピクサー映画に乗じてディズニー映画を売り込むつもりが、『リメンバー・ミー』が全然よいからとんだ恥さらしって感じよ。

そんなことは頭から払い落として『リメンバー・ミー』の余韻に浸ろうっと。

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『ドリーム』を観た。

2017-12-25 12:52:42 | 映画 (ネタバレ大嫌い)


シネマテークたかさき で『ドリーム』を家族4に人で観てきた。

シネコンなどで封切りでかかっていたときには日程も場所も都合が悪かったのだが、
ちょうど子供の冬休みの始まるタイミングで近場で上映されると知って
久々にシネマテークたかさきに行ったのだ。
子供たちを連れて行ったのは初めてだ。

このブログを改めたら、最後に行ったのが 7年まえの『フローズンリバー』 だったという。
ああ、あれもよい映画だったなぁ。
シネコンではなかなかかからないような映画をかけるこういう映画館って、
地方都市の良心 ってかんじですな。


で、この映画ですよ。 ネタバレも何も、
黒人分離政策、ソ連に負けるなのアメリカで、ソ連が先に有人宇宙飛行を成功させる中
さらに努力を尽くしてマーキュリー計画を成功させる、その陰には
優秀なアフリカ系女性たちがいた、という話ですよ。

肌の色や性差でとことん差別されている彼女たちが
めげずに あるときは正攻法で、あるときは変化球で、あるときはじっと耐え
己の能力を発揮し周囲を変え 皆の役に立っていく。
爽快で、ああわたしもがんばろう、っていう気持ちにさせてくれる。

差別は酷いけれど、温かい人間関係にも恵まれていて、
やっぱりそういうものがないと人間がんばれないよな、って思う。
もちろん温かい人間関係を得るためには本人の振る舞いも大事なわけで、
仕事が大変なのに、大事な人たちには思いやりやユーモアを忘れない態度をとれる
ってすごいな、という見方もできる。

作り方によってはいい子のイヤミな映画になりかねないところが
ぜんぜん違うんだよなぁ。

アメリカでは『ラ・ラ・ランド』よりヒットしたのに、
この映画が 有名俳優がケビン・コスナーだけとか、
若くてセクシーな美男美女が出てこないとか、ラブロマンスメインじゃないとか、
そういう理由で日本でかかる映画館が少ない、というのはがっかりだ。
でも、主人公のキャサリンを夫はすごく可愛いらしい、といっていた。
うむ!

ウィキペディアによれば、映画を分かりやすくするために多少の誇張はあったようだが、
それも飲み込める範囲内だと思う。


音楽もたいそうよかった。
ファレル・ウィリアムスが音楽を担当した。
ファレルといえば「ハッピー」ですな。
時代に合ったテイストをつけつつもファレル節で、もっと聴きたい!
って思うところでもう消えてしまうんであった。

マイルス・デイビスの So What を使ったり。
何度も出てきた Take5 みたいだけれど5拍子ではない曲も気に入った。
ちょっと探したらこの映画の音楽についてこんな YouTube があった。
ファレルだけじゃなかったんだね。


ひとつだけ気に入らないのは、邦題。
原題は『Hidden Figures』。 隠された人たち、という意味なのに
ドリーム では安直だよなぁ。

そもそもこの映画を観たい!と思った原因は
ラジオで町山智浩氏がこの映画を紹介していたのを聞いたからで、
それを文字起こししたものがあったので、リンクを貼っておく。 


来年2月あたまにはもうDVDが発売されるらしい。
スクリーンを見逃した方はぜひこちらもお薦めする。



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『モンスターズ・ユニバーシティ』 を観た。

2013-07-15 18:35:48 | 映画 (ネタバレ大嫌い)
磁器婚祝いイベントの一環として、下宿中の長男も誘って、家族全員で観た。

モンスターズ・ユニバーシティ  ← ディズニーのオフィシャルサイト


ピクサーの映画の中で、わたしは 『モンスターズ・インク』 が一番好きなんである。
最近のピクサーはハズシの割合が高くなってきたなぁ、とため息をついていたが、
『モンスターズ・インク』 のつづき、というか前日譚?だったら、やっぱり観ようかな? というわけだ。


面白かった!
もちろん 『モンスターズ・インク』 を知らなくてもそれなりに楽しめると思うけど、
やっぱり知っている方が、いちいち納得がゆく。
ランドールが同級生で、しかも後日譚につながるあれこれってこういうことだったのか?って、分かるし、
あら、このモンスターの若いときってこうだったのね、とか、ニヤニヤと出来るし。

サリーが若かったときのキャラ作りが秀逸。
もちろん主役のマイクも、ただの調子のよいうるさいやつ、ってだけじゃなかったんだね、ってことが分かる。
やたらと前向きな思考はちょっと疲れないでもないが、それでも十分納得できる。
そういう掘り下げがたいそうよかった。

小ネタも、ストーリーがしっかりしていればよく映えるし、ちょっとしたポスターとか、いちいち笑える。

3Dで観たけれど、絵の緻密さがハンパでない。
一見きれいなだけに見えるんだけれど、そんなもんじゃなくって、
きれいなトーンの範疇でいながら、質感はリアルで、写り込みとかレンズによる歪みとか、ピントの合っている部分の移動とか、
これは何度も見てみたい、と思わされる。
アクションも、嘘っぽいアニメの範疇にあるようで、でも不自然ではない、という微妙なバランス。

音楽ももちろんニヤニヤできる。
場面場面に合った○○っぽいかんじ、っていうのが上手で。

つまり、ストーリーも小ネタも絵も音楽も、みんないいのだよ。


観に行ってよかった!


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