≪手を動かさねばっ!≫

日常で手を使うことや思ったこと。染織やお菓子作りがメインでしたが、病を得て休んでいます。最近は音楽ネタが多し。

セットインスリーブみたいなトップダウンのセーター ざっくり紅系

2015-06-13 21:53:24 | 編物


インカ猫セーター が大作でくたびれたので、
太い糸でざっくりさくさくととメリヤスで編める自分のセーターを編んだ。
出来上がったのは少しまえなんだけど、端糸の始末を投げ出していたもので、今ごろアップ。


長い題名で分かる人には分かると思うが、
日本ヴォーグ社 セットインスリーブみたいなトップダウンのセーター  ← アマゾンへリンク
が元ネタである。
セットインスリーブみたいで、トップダウンに編んでいって、しかもとじ・はぎがない、というのがうりである。

うしろ:


普通、セーターを編む場合は裾からが多い。
裾からだと最初は増し目減らし目がない場合が多く、慣れてきてから袖ぐりで減らし目に入り、
各パーツが揃ってから、最後に袖と身頃を合わせて仕上げていく。

裾から編む方法だと、じゅうぶんに糸を用意していない場合、
糸が足りるかどうかという心配をしながら編むことになる。
染めのロットが異なると同じ色番でも多少色味が変わる場合もあるので、糸は多めに準備するのが肝要である。

しかしケチなわたしの場合、糸が足りるかハラハラしながら編むことが多い。
それが首から編んでいく方法だと、最後に裾を編むことができるので、
糸が足りなくなりそうなら少し着丈を減らせばいい、ということができて、
ハラハラはするものの、なんとか服に仕上げることができるのである。

また、編み物をしているのに、仕上げに縫い物 (とじ・はぎ) をしなくてはいけない、
というのはけっこう億劫なものだが、この本だとそれもない。


ということを鑑みて、この本は素晴らしいのである。
いや、トップダウンの本なら今までにもいくつかあったけど、
丸ヨークでもラグランでもなく、セットインスリーブみたいな袖の生え方である、というところが
画期的なんである。
首の後ろ左右にも立体的な増やし目がある、というのはかなり着心地がよいのではないか?
そして、元々の情報発信源が ラベリー だという。 これはおもしろそうだ!!


本に載っている元ネタのレシピは 「太モヘアのふわふわセーター」 だが、
ゲージも違うし丸首ももっとなだらかにしたかったので、
いつものとおりあれこれアレンジして編んでしまった。

作り目は少なくて首回りからどんどん増やし目していくのだが、
最初は輪で編まないし、ねじり増し目も右に左にと向きがあるし、けっこう頭を使った。
各段の総目数がいくつになるか全部計算して編み図に書き加えて、毎段編むたびににちゃんとチェックした。
いよいよ輪になるという段階では、編み始めの位置を変えるし、
両脇は1目ずつ裏編みを入れることで、糸の色を変えるときにできる段違いを目立たせなくさせるし、
細かいところに対する工夫に感心した。

後ろの肩アップ:  首からの増やし目がよく分かる。


首の後ろアップ:  首の後ろの増やし目が分かる。


編み上げて伏せ止めしたら出来上がりのはずだが、
場所によっては伸びやすいところとかがあって、裏からちょっと引っ張ったりして仕上げる必要はあった。
とじ・はぎがなくても、それくらいは仕方がないのだろうけれど。


糸は残り少なくなってセールになっていたものをユザワヤで安く求めたので、
紅色は6玉しか手に入らなかった。
セーターにする分には足りなさそうだったので、仕方がなくよく似た糸の
白系3玉と炭色系1玉を手に入れたのだ。

それらの糸でメリヤス編みのデザインにしたのだが、全部メリヤス編みだとちょっと単調な気がしたので、
色を変えるときにだけ裏編みを入れてみた。
テキトーな横縞がカジュアルな感じになって、気に入った。
また、炭色の部分の胸のところはメリヤスに少しだけ裏編みでジグザグ模様を入れ、
裾や手首のところは鹿の子編みにして、アクセントにした。
最小の労力で最大の効果がでた、と思う。




使った糸はまたしてもユザワヤオリジナル。
プリマ・ラナはベルギーのメーカーのようだ。 検索しても出てこないんだけど…。
この紅色はパラダイスという糸。
ウール44%、アクリル41%、モヘア12%、ポリエステル3% である。
柔らかい糸で、少しだけ加えてある色が青や黄色にグラデーションしている。
モヘアの毛羽もキラキラして暖かそうな感じ。 まあそういうわけでけっこう気に入った。



白系と炭色系は、同じユザワヤオリジナル、プリマ・ラナのリサという糸。
組成や 重さに対する長さ (後述) はパラダイスと同じだ。

パラダイスやリサは、何本か撚り合わせた糸ではなく、甘撚りの単糸のいわゆるロービングヤーンである。
だが、ただの甘撚り単糸ではない、ハイテク糸だった。
糸に芯が入っているのだ。
これで撚りが戻ることによって糸が伸びて解けて切れてしまうということを防いでいるのだと思う。



たぶんリサの方が先に販売されたんだと思う。
芯に対する撚りの掛け方が少々きつかったのか、編みながらちょっと芯に対して身が余ってくるのが困った。
そこを改良したと思しきパラダイスは少々撚りが甘くて編みやすく、また嵩も高いのだ。

この糸はとても軽い。
わたしの手がきついとはいえ、14号棒針でメリヤス編みが透けない程度の極太の糸が 40g で 88m もある。
むかしのウール100% の太い糸は本当に重くて、
この太さの毛糸でこういうセーターを編めば、重くて着るのがイヤになっていただろう。
しかし、このセーターは 300g ちょっとしかないのだよ。
そこらへんもハイテク糸っぽい。


着てみたら、ふわっと軽くて、糸が甘撚りのせいか柔らかく、パターンのおかげでよく身に添って、とても着心地がよい。
すっごく気に入った!!
このパターンでもう1枚編みたいよ。
景色がすっかり灰色になる冬にはこれくらいの色が元気が出るし温かい気分になれるし、
いまから寒くなるのが楽しみだ。

そのまえに暑くなってしまうけれど…。



  このセーターについて ravelry にアップしました。  → 




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