≪手を動かさねばっ!≫

日常で手を使うことや思ったこと。染織やお菓子作りがメインでしたが、病を得て休んでいます。最近は音楽ネタが多し。

イリアーヌ・イリアス ライブに行った。

2024-07-08 18:03:39 | 音楽

高崎芸術劇場 ELIANE ELIAS ☜ 公演情報

昨年も 高崎芸術劇場でブルーノート東京サポートでリチャード・ボナのライブを観た が、今回のブルーノート東京サポートは大御所美魔女のイリアーヌ・イリアスが来る!
見逃す手はないでしょう。


イリアーヌ・イリアスはグラミー賞とラテン・グラミー賞の双方を獲得し、また全米ジャズ・チャートとブラジル音楽チャートの両方で首位を獲得した世界的なアーティストだ。
ピアニストでもありヴォーカリストでもある。彼女のピアノ演奏やボサノバの歌を生で聴きたいと思っていたのだ。


始まるまえ。写真☟だとハレーションしちゃっているけど、ステージの上で光っている文字は BlueNoteTokyo とある。
ボナのときと同じだな。
ピアノがステージの中央にある。向かって右側にドラムスのセットがあるが、なぜか左側にもスネアがある。ドラムス担当のほかにパーカッション担当のメンバーは書いてなかったけどなあ。


予定時刻より5分ほど遅れてイリア―ヌはステージに現れた。スリットの深く入ったロングスカートがよく似合っていた。
ボサノバの歌って柔らかくて決して張り上げない声だけど、生で聴くと思いのほか迫力があった。

'VOCÊ' という曲のまえに、VOCÊは英語でYOUだけれど、日本語では何と言うの?と観客に英語で尋ねた。
あなた! と何人か答えたけれど、ああな?? よく聞き取れないわ、というジェスチャーで終わって曲に入った。
観客とのやり取りはたいていどのステージでもあるけれど、どっしり優雅な雰囲気は今までわたしは味わったことがなかったな。

イリアーヌが歌うときは最初は歌詞をポルトガル語で歌って、その次に英語で歌うことが多かった。意味が分かりやすいからね。
でもやはり言語のリズムが違うから、ボサノバはポルトガル語だよなあ、と再認識した。

イリアーヌのピアノは骨太だった。歌はボサノバで優しいけれど、ピアノは力強い。ボサノバらしい部分も多いが、ソロはジャズがゴリゴリしていた。
支えるメンバーはマーク・ジョンソン(ベース)、リアンドロ・ペレグリーノ(ギター)、ラファエル・バラタ(ドラムス)で、マーク・ジョンソンがイリアーヌの夫だ。
そういえば、まえにライブで観たステイシー・ケントはサックスの夫を だんなー、と言ってうけていたし、グレッチェン・パーラトもドラムスが夫だったっけ。
ドラムがとてもよかった。どういう曲なのか、どういう局面なのかが分かりやすくなるように音が入ってくる。
上手い人って沢山いるのねえ。

ドラムスのラファエル・バラタが、くだんのピアノの椅子の奥のスネアに移る。ギターも移動する。
「ボサノバはアパートの一室で生まれました。」とイリアーヌが言って、爪弾くギターが静かに鳴り始める。スネアはブラシだけ。
ボサノバっていいなあ、ボサノバを大事にしているんだなあ。しみじみ伝わってくる演出だった。

そのあと元の位置に戻って迫力のある演奏だ。
観客を飽きさせない演出にベテランの技を感じた。

ブルーノート東京ではなく高崎芸術劇場で観ることが出来てよかった。

ところで、イリアーヌ・イリアスの名前ってガリレオ・ガリレイみたいだね。


終わったあとのステージ。



終わって外から眺める。
上から2枚目の写真の同じ青い電子ポスターが3枚並べてあるのがちらと見える。





 
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桒形亜樹子チェンバロリサイタルに行った。

2024-06-18 17:14:35 | 音楽

今年も松本市音楽文化ホールでの桒形亜樹子氏のチェンバロリサイタルに行った。
わたしはこれが3回目になる。

今年のテーマは「バッハの家族愛」~愛妻アンナ・マグダレーナと天才長男フリーデマンの音楽帳を紐解く~ だ。
プログラムを開くと、バッハの家族愛~「え、これもあれもバッハでなかったの?」とあるけれど。

アンナ・マグダレーナはJ.S.バッハの後妻だ。16歳年上の4人の子連れと結婚かあ。
『アンナ・マグダレーナ・バッハのクラヴィーア小曲集』をピアノで練習した人は多いと思う。曲集はやらなくても、ト長調のメヌエットを弾いたことのある人は多いんじゃんいかな。
この音楽帳は大バッハがソプラノ歌手の妻に贈ったといわれているが、大バッハ自身の曲だけでなく前妻との息子のカール・フィリップ・エマヌエルの小品やクープランやペツォールトのクラヴサン曲が無記名で載っている。
有名なト長調のメヌエットが実は大バッハ作ではなくてペツォールト作だった、というのは最近はだいぶん有名になったね。
まあそこら辺が、「え、これもあれもバッハでなかったの?」というわけですね。


今回のリサイタルも 前々回 同様、2台のチェンバロが舞台にある。
左の焦げ茶色のがホール所有のファン・エメリック製作 フレミッシュ様式2段鍵盤チェンバロで、右が島口孝仁2000年製作の Paskal Joseph Taskin 1769 モデルだ。
島口チェンバロなのは前々回と同じだが、今回は2段鍵盤なのが違うな。
最初の2曲だけホールのチェンバロを弾いて、残りは島口チェンバロを弾いたのも前々回同様だな。ホールのチェンバロより島口チェンバロの方がキラキラした音がするんだよ。
ホールのチェンバロはヒストリカルを完全に踏襲したとはいえず、半分モダンなんだそうだ。
古楽が世に知られ 演奏する人が増え 新たに楽器が作られる過程で、ヒストリカルのレプリカが作られるまえにモダンな楽器が作られたのだが、その名残りが1984年製にあるんだな。



後半は『ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集』からだ。
ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハは前妻との間に出来た長男で天才だそうだ。この音楽帳は演奏の練習のためというよりフリーデマンの作曲のためのものだそうだ。音楽がバッハ家の家業で、演奏だけでなく作曲も親が子どもに仕込むんだな。
ちなみに前述のカール・フィリップ・エマヌエルは次男。
『アンナ・マグダレーナ・バッハのクラヴィーア小曲集』と違って『ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集』っていう楽譜は見たことがないなあ。(入手しました。)

大バッハではない作曲家ではシュテルツェルンの組曲を桒形氏は演奏したのだが、組曲最後のトリオは大バッハが作曲して しれっと組曲におさめて息子の音楽帳に載せてしまった。
そこらへんが「え、これもあれもバッハでなかったの?」ですね。

また、フリーデマンの音楽帳には大バッハ作曲のプレリュードとファンタジアが載っているのだが、これらはインベンションと3声のシンフォニアの初期稿なのだ。また、平均律クラヴィア曲集の初期稿も載っている。
ピアノで大バッハに取り組むなら最初にインヴェンションを勉強することが多いから、知っている人も多いだろう。もっと進めばインヴェンションやシンフォニアよりも難しい『平均律クラヴィア曲集』も勉強する人は多いと思う。フリーデマンも練習したのかなあ、と思うとなんだかほっこりします。
後に世に出したものと微妙に違う初期稿の演奏を聴くのはなかなか油断のならない体験だった。

アンコールは『アンナ・マグダレーナ・バッハのクラヴィーア小曲集』よりアリア。これは『ゴルトベルク変奏曲』のテーマのアリアとそっくりなのだが、ちょっとだけ違う。
ちょっとだけ違う大バッハの有名な曲つながりですね。


今回のコンサートのテーマはバッハだったが、ひねりがきいた内容でたいへん興味深かった。大バッハについてわたしの知らないことが知れてとてもよかった。
桒形氏の演奏は心地よかった。
残念なことに、チェンバロの音量は大ホールにはちょっと物足りないと思った。

今年も松本市音楽文化ホールのチェンバロ講座が開かれるのだが、初回優先で過去に講座を受けたことのある者の枠は2つしかなかった。幸運なことに当たりくじを引くことが出来た。やった!今年も桒形先生のレクチャーが受けられます



 
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桒形亜樹子 フランソワ・クープラン 第1オルドル全曲演奏、第2オルドル全曲演奏リサイタル に行った。

2024-05-20 14:25:36 | 音楽

住所でいうと東京都杉並区下高井戸、最寄り駅なら京王線桜上水駅または井の頭線西永福駅の スタジオ ピオティータ で桒形亜樹子氏がフランソワ・クープランの『クラブサン曲集』第1オルドルを全曲演奏する、というので行ってきた。さる1月13日のことである。

チラシによると、桒形氏はフランソワ・クープランの『クラヴサン曲集』全4巻の全曲録音を行っているらしい。桒形氏の長いキャリアを経て 満を持して、という感じだろうか。

桒形氏のコンサートは 2022年2023年 のどちらも5月末に松本市音楽文化ホールで行われたものを見たし、昨年はホール主催の桒形氏が講師を務めるチェンバロレッスンを受けた身としては、スタジオ ピオティータでのリサイタルは見逃せないでしょう。

調べたところによると、スタジオ ピオティータは隠れ家的な小さいところだそうだ。
狭い会場なら がぶり寄りでチェンバロ演奏が聴ける、と楽しみにしていたのだ。


それで1月13日、雪がちょっと心配な日に行った。チラシやHPのアクセス地図が複雑で ちゃんと時間までにたどり着けるか心配だ。
スマホの地図アプリを頼りにするも、やっぱり迷う。アプリが入口側ではない方を示すんだもの。
うろうろして、なんとかたどり着いた。
住宅地にある小ぎれいなお宅にしか見えませんでしたよ。これはちょっと、個人情報的に写真を撮るのもためらわれる。というわけで、写真は撮っていません。

玄関で女主人に迎えられ、靴を脱いで上がり、チケット代を支払う。なんと、地下に階段を下りてゆくと会場がある。
開いた扉を入るとすぐにチェンバロがある。どうやら舞台側?から入るようだ。
部屋の反対側を向くと新幹線のように3脚と2脚に椅子が並べられている。6列だから、(3+2)×6=30脚だ。椅子は両側の壁にぴったり寄せられていて、間の通路も狭い。
部屋のいちばん奥にはグランドピアノがある。ピアノを使うライブなら椅子は反対向きにするんだろうな。
地下だが明るい。どうも庭を掘り下げて半地下にして外光を採り入れる仕様のようだ。

迷ったせいで、ライブが始まるまでさほど時間の余裕がなかったが、みなさん奥ゆかしいのか がぶり寄りの席は空いていたので、遠慮なく座った。


桒形氏のライブはひと味ちがうと思う。合間合間に作曲者や曲などについて話す事柄が興味深い。他の演奏家も話さないわけではないけれど、ここまで情報量がある人はわたしは観たことがない。だいぶんレクチャーっぽいっていうんですか。
生演奏を聴きにきているのだから、演奏があれば話はなくてもいいじゃないか、という考え方もあるとは思うけれど、演奏をより深く楽しむのに 言葉による情報があった方が楽しいと思う。桒形氏はほんとうに詳しいし最新の研究のアップデートも早いしとても楽しそうに話されるし。
せっかくの情報、聞いただけだとするっと忘れる自信があるので、プログラムにメモした。書いても忘れるけど、書かないよりはマシなので。
写真👆の黄緑やピンクの紙のプログラムにはフランス語と日本語が書かれている。フランス語はファクシミリ版(手稿譜や初版楽譜などをそのまま写真製版して再現し、出版した版)をコピーしたものだと思う。


それでやっと本題、フランソワ・クープランの『クラヴサン曲集』の第1オルドルについて。
『クラヴサン曲集』は第4巻まであって、オルドル(英語ではorder、組曲)は通して27まである。第1巻には第1~5オルドルが含まれている。
書きためていた曲を出版したのだろう、1、2巻は詰め込みまくった内容なんだそうだ。
第1オルドルはト短調の組曲で、前半は舞曲、後半は表題付きで、18曲含まれる。
写真👆の左の黄緑の紙のファクシミリ版で標題をよく見ると、同じ行にあってもコンマで区切られていたりするので、14行でも14曲ではないのに注意。
表題つきの小品を この時期のヴェルサイユのクラヴサン音楽では「ポルトレ(肖像)」というらしい。桒形氏はキャラクターピースと言っていた。クープランの表題はほのめかしが多くて思わせぶりで、当時のクープランのことを知らないと何のことやら分からないのだが、これは誰のことを指しているだろう、という研究家の推理を桒形氏は披露してくれる。曲調と表題が真逆だったりして、クープランのお茶目さを指摘する。
他のオルドルはそうではないが、第1オルドルだけ楽譜に装飾音がいっぱい書いてあるそうだ。装飾音がないと全然つまらないけれどどう入れたらよいのやら、と思うのはわたしだけではないと思うので、第1オルドルだけでも書き込んでくれているのはとてもありがたい。

当時、組曲を演奏するまえに、プレリュードを即興したらしい。しかし、第1オルドルと同じト短調のプレリュードを『クラヴサン奏法』にクープランは残しているので、桒形氏はそれを一番最初に弾いた。
もの悲しさと煌びやかさのある曲で、組曲への期待が高まる。

第1オルドルは18曲あるが、ほとんどが1、2分の短い曲で、さくさく進む。
組曲はト短調なのだが時折ト長調に変化して、ハッとさせられる。
前半の舞曲にはイネガル、もしくは跳ねたリズムが多いな、と思った。
「ノネット(金髪と栗毛)」という曲はいきなり長くのびる音が入ってびっくりする。そのフレーズが何度も出てくるのが面白かった。
その次の次の「マノン」にも長くのびる音があって、まえの「ノネット」を思い出させられる。
「魅惑」は高音が出てこない曲だった。高音が出てこなくてもモサモサしないのは高い倍音の多いチェンバロだからだろうな。ピアノではこうはいかない。クープランの有名な曲「神秘のバリケード」はチェンバロで練習したことがあるが、高音の出ないところが似ているな、と思った。
全体に低音のGが効果的に響いてグッと来た。迫力がある。チェンバロの低音ってあまり意識したことがなかったので、面白かった。
華があって煌びやかで哀愁があって、クープランの世界にひたることができた。


・・・・・・・


お次の第2オルドル全曲演奏は3月24日だった。1月のときに比べたらもう春だ。
今回は迷わずにスタジオ ピオティータにたどり着けた。前回と同じがぶり寄りの席に座ることが出来た。

桒形氏が言うには、今回このチェンバロはヴェルサイユチューニングで調律されているそうだ。現在は A=440Hz とか 442Hz あたりが普通で、バロック時代は約半音低い 415Hz とか色々使われていたそうだ。わたしもうちのチェンバロは 415Hz にしているが、このスタジオ ピオティータのチェンバロのヴェルサイユチューニングはもっと低い 390Hz。約全音低い。
ゆるい絶対音感持ちのわたしだが うちのチェンバロを弾いていて 415Hz にだいぶん慣れた。しかしさすがに全音低いと、桒形氏が弾いているキーと違う音に脳が解釈してしまって混乱し、参った。
第1オルドルのときもヴェルサイユチューニングだったかは分からない。

今回も第2オルドルのまえに『クラヴサン奏法』にあるニ短調のプレリュードを桒形氏は弾いた。
第2オルドルは全部で23曲ある。「ディアーヌ」のあとに目次にない短いファンファーレがあるそうだ。前半が舞曲で後半がキャラクターピースなのは第1オルドルと同様だ。
第2オルドルはニ短調で哀愁を感じさせられるけれど、時折明るいニ長調が現れてハッとさせられる。って第1オルドルのときも書いたっけ。最初に長調だなとはっきり思わされるのは「アントニーヌ」で、ゆったりしている曲調とあいまってホッとする感じだ。
「ガヴォット」とそれに続く「メヌエット」が似たテーマなのは意外でもなんでもないが、その後もなんとなく似たテーマが続くのが組曲っぽくて、切れ目に注意しないとどの曲を演奏しているのか見失いそうだ。
「テレプシコーレ」から後半が気に入った。
「ガルニエ」は低音ばかりで高音がない。第1オルドルの「魅惑」と同じタイプだな。
キャラクターピースは誰かに捧げただろうと思われる曲が多い。捧げた相手がレッスンした令嬢とかが多いのがショパンとかと同じだなあ、と思ったが、クープランの方が先でした。
最後の曲「パピヨン(蝶々)」が、えっ、これで終わり !? という感じで、クープランがニヤニヤしている気がした。
23曲もある第2オルドル全曲をいちどに聴いて、圧倒された。

合間に話されたことでへーと思ったこと。
現在 楽譜は縦長だが 昔は楽譜は横長だった。縦長の楽譜を初めて出版したのがクープランなんだそうだ。横長の楽譜はオルガンだけに残っている、と。ああ、確かにオルガンの楽譜は横長だ。
なぜそうしたのかというと、譜めくりをできる限り減らすためだそうだ。
納得! ピアノはペダルで音をのばせるからその隙にめくることも出来るけれど、チェンバロってなんだか片手ですら鍵盤から離すタイミングが意外とないんだよなあ。
斯様に桒形氏はお話が興味深いです。



桒形氏は note に記事をアップされている。
そこにフランソワ・クープランの『クラヴサン曲集』について記事がいくつかあるので、そちらを読めばわたしのメモよりも詳しい桒形氏のコメントが読めます。
また、影踏丸氏も詳しい記事を note にいくつもアップされている。
自力で情報を集めるのには最低でもフランス語が出来ないといけないので、フランス語の出来ないわたしは日本語で書いて下さる方々に感謝しきりだ。
いつか『クラヴサン曲集』から何か弾こうと思うなら、桒形氏や影踏丸氏の記事をちゃんと読みなおそう。


・・・・・・・


わたし的には、2年ほどまえにひょんなことからチェンバロを手に入れたのが始まりだった。
中野振一郎氏のレッスン動画 を見て 中野振一郎『チェンバロをひこう』という楽譜を手に入れて、最初に取り組んだのがジャン=フィリップ・ラモーの「優しい訴え」だった。ラモーはフランソワ・クープランより15歳若いが、2人ともフランスのバロック音楽の立役者だ。
「優しい訴え」の譜面は一見やさしい。だが、弾いてみると間がもたない。装飾音を入れないわけにはいかない。譜面だけでは装飾音をどう入れればいいのか分からないので動画を見るが、分かったような気がしても弾いてみるとどうにも腑に落ちない。装飾音を入れても入れなくてもどうにもこっぱずかしくておしりがモジモジしてきてしまう。
YouTube や Spotify などで色々聴けばそれなりに面白いと思えるのだが、自分で弾くとなにかおかしい。妙な苦手意識がクープランやラモーに出来てしまった。
しかし、チェンバロを勉強するのにヴェルサイユを避けるのはあまりにも愚かだ。まず聴いて慣れることから始めよう。
現在わたしはイギリスルネサンスのフィッツウィリアムバージナルブックを弾こうとしている。
いつかクープランを弾こうと思えるための下地づくりにこの桒形氏の全曲演奏リサイタルは格好の機会なのだ。
目指せ、コンプリート!




 
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国立音楽大学楽器学資料館へ行った。その1(パイプオルガン)

2023-12-17 18:01:24 | 音楽

国立音楽大学楽器学資料館 というところがあって、そこで「世界の音階と音律」というのをやっている、というのを 真三@創作垢のツイートあらためポスト で知った。
ここのところ、チェンバロのチューニングでヴェルクマイスターⅢを練習している身としては、これは行ってみたい、と思ったのだ。

しかし、今回もカメラを持っていくのを忘れてしまった。資料館内は撮影不可なので油断した。
わたしのスマホの望遠レンズは傷がついてぼやーっと激しくソフトフォーカスになってしまう。それで広角レンズで撮ると、こう歪んでしまうのだ。すみません。


国立音楽大学楽器学資料館の入り口。くにたちおんがくだいがく です。こくりつ じゃない。地名です。老婆心です。
案内板、っていうんですか、アレが譜面台なのが音大っぽいかも。



入ってすぐのラウンジのショーウィンドウは撮影可。
これは、ポルタティーフオルガンじゃないですか!!
ちなみにこれは望遠レンズの方で撮った。すっごく加工してこの程度。

ポータブルなパイプオルガン。後ろのふいごを動かして空気を入れ、キーを押してパイプを鳴らす。

キャプション。

なぜかもっと小さいポルタティーフオルガンが国立音楽大学楽器学資料館の所蔵楽器目録に載っていて (下へスクロール) 、ショーウィンドウ内のものは載っていなかった。



資料館の中に入ったらもう撮影できないのに、入ったところ(ロビー)の受付脇に水オルガンが設置してあった。撮りたかった!
  👈 下にスクロールすると所蔵楽器目録詳細欄に水オルガンが出る。もうちょっと大きい写真だと分かりやすいんだけどなあ。

オルガンの操作するところの手前に透明な水槽がある。水の張られた水槽に一回り小さい透明な水槽が伏せてある。その上方には空気が入っていて、そこから管がオルガンにつながっている。伏せた水槽の上方にポンプで空気を送り込むと、小さい水槽の中の水面は外側より下がる。
オルガンのキーを押すと、対応するパイプ(笛)に空気が送り込まれて音が鳴る。小さい水槽の上方の空気がパイプに流れることで小さい水槽内の水面は上がっていく。外側の水槽の水面と同じ高さになれば空気の流れは止まり、音は止まる。
水圧を利用することでパイプに送られる空気がある程度一定に保たれるというのがミソ。

ヤマハ楽器解体全書 パイプオルガン誕生ストーリー ギリシャ時代に原型が誕生 参照

その後 ふいごが利用されるようになった。
パイプオルガンの音の鳴る仕組みはかなり昔に出来たけれど、ピアノのような鍵盤の発明はもっと後代だ。音律やら半音やらの進歩を待つから。
ということを反映してか、展示されている水オルガンのキーの並びはピアノのような鍵盤状にはなっていない。

水オルガンの名前はオルガンの歴史を調べるとたいてい見るけれど、実物は初めて見た。国立音楽大学楽器学資料館の水オルガンは水槽が透明で分かりやすいのだ。資料館の人が動かして鳴らしてくれて、興奮する!! とても納得できました。



パイプオルガンのパイプというのは素材や形状で音色が違う。素材は金属のものと木のものがあるし 管が閉じているものもそうでないものもある。笛のように音の出るもの以外にリード管というリードが振動するものもある。驚くほど種類がある。ネット上の百科事典 があるくらいだ。分かりやすい写真がなかなか見つからないが、ごく一例
水オルガンのまえを通りすぎ受付横の扉から展示室に入ると左側に、バラエティーに富んだパイプが何種類もささっているオルガンが展示してあった。これは見た目にも楽しい!
資料館の人に声をかけると説明して鳴らしてくれた。鳴るともっと楽しい!
パイプ音色見本オルガン(とよぶことにする)は所蔵楽器目録に見当たらないなあ。
その音色見本オルガンも水オルガンも マナ・オルゲルバウ社 製とオルガンに記されていた。
マナ・オルゲルバウ社は東京都町田市にある日本のビルダーだ。



展示室の扉の右側にはバレルオルガンというのがあった。barrel organ は翻訳すると手回しオルガンだ。樽オルガンではない。
ハンドルを持ってぐるぐる回すと曲が流れるオルガンなら、可愛らしく装飾されて下に車がついている移動式のものが路上や人の集まる広場でにぎやかしているシーンを動画などで見たことがある人は多いと思う。ひょうきんな音色がカーニバルっぽいパイプオルガンだ。

このリンクのようなストリートオルガンは紙に孔を開けて曲がプログラムされているのに対し、展示されているバレルオルガンはオルゴールのように円筒に突起をつけてプログラムされている。
オルガンの上の板を開けると中に大きなバレルが見える。上の板の内側には曲名が書かれた紙が貼られていた。10曲くらいあったと思う。突起を読み取るピンに対して円筒を横に少しずらすと、別の曲が鳴るそうだ。後述の動画に円筒部のアップがあるので、見ると分かるかもしれない。

まあそういうわけで、バレルにプログラムされているからバレルオルガンというのだろう。手回しオルガンのうちの紙に記録するタイプを紙に記録するという意味の名前にして、両方をまとめて手回しオルガンということにすれば、もうちょっと分かりやすくなると思うんだけどな。専門用語ではあるのかしらん? あ、でも手回しじゃなくて蒸気機関で動くものもあるらしい。それはどういう名前にすればいいのだ !?

楽器学資料館に話を戻す。ここのバレルオルガンの筐体の向かって左脇には、鳴らすパイプのセット数を変えられるレバーもついていた。
そういえば、このオルガンには車がついていないなあ。とはいえ、それほど大きくはないから、その気になれば移動させられるな。
  👈 下にスクロールすると所蔵楽器目録詳細欄にバレルオルガンが出る。
  👈 このバレルオルガンのデモ動画。筐体は落ち着いたデザインだが、音色は愉快で、そこがやっぱりストリートオルガンの血を感じる。パイプオルガンといえば教会の厳粛なイメージだったりするけど、対極にある 世俗的で賑やかで楽しいストリートオルガンも実はパイプオルガンなのが、興味深い。



バレルオルガンの横にはパイプオルガンの仕組みが見てとれるようなオルガンがあった。筐体に納まるべきパーツが剥き出しだ。
ふいごにキーにトラッカーにストップにスライダーにパイプ。パイプは金属製のものと木製の開管と閉管の 合計3セットあり、それぞれに対応するストップも3個ある。
さすがに風箱は閉じている。空気が抜けたら音がでないから。

ヤマハ楽器解体全書 パイプオルガンのしくみ パイプに風を通して音を出す楽器 スクロールして「音を出す仕組み」を参照

このオルガンも所蔵楽器目録に見当たらない。音色見本オルガンとセットでパイプオルガンの仕組みが尚よく分かる 素晴らしい模型なのに。
しかし写真はちらりと見ることは出来る。上述したバレルオルガンの所蔵楽器目録詳細(再掲)の写真右に写っている。また、上述のバレルオルガンの動画(再掲)の始めと終わりにも左側に写っている。目を凝らしていただければ嬉しいです。
音色見本オルガンも 動画の終わりにはちょっと写っている。オルガン上部のパイプが色々ささっているところが透明な樹脂ケースに覆われているやつだ。この動画を撮影したときは、展示場所が異なっていたんだろうな。



ポジティブオルガンもあった。顔のまえまでパイプが立っていてけっこう背が高い。ペダルなしオルガンという風情。
ドイツ語読みでポジティフということもある。持ち運び可なオルガンという意味だが、一人じゃムリだな。一人で動かせるならポルタティーフ。
ポジティフオルガンって、もっと背が低くて 箱形 なイメージの方が多いかな。ペダルつきのものもある。
  👈 下にスクロールすると所蔵楽器目録詳細欄にポジティブオルガンが出る。
  👈 このポジティブオルガンのデモ動画。いい感じ。 後ろにバイブルリーガルオルガンが見える。



ペッタンコで小さな、バイブルリーガルオルガンというものもあった。
ふいごがよく見える。というか、並んだ2つのふいごがメインで、鍵盤は取ってつけたかのようだ。
リーガルオルガンはリードが鳴るんだけれど、パイプオルガンのパイプの一種であるリード管が並べてあるもので、ハーモニカのようにリードが並べてあるものとは違う。リードオルガンやアコーディオンは 中に大きなハーモニカが入っているような構造で、これらの系統の方がリーガルオルガンより新しい。どちらの系統にしても、低い音が 笛よりも小さくても鳴らすことが出来るので省スペースだ。
  👈 レガールオルガンの説明動画。 レガールはドイツ語読み、リーガルは英語読みだ。
そういえば、リード管も形の違うものが何種類かパイプ音色見本オルガンにささっていた。
  👈 下にスクロールすると所蔵楽器目録詳細欄にバイブルリーガルオルガンが出る。
  👈 このバイブルリーガルオルガンのデモ動画。チャルメラのような音色。
なんでバイブルなのかというと、この楽器は二つに折りたたむと分厚い聖書に似ているから。
折りたたみピアノって最近売っているけど(ORIPIA とか)、アイディアはずっと昔からあったんだ。それどころか、折りたたみチェンバロ (影踏丸 折りたたみチェンバロ:イタリアのチェンバロについて8(173) も結構あったらしい。マジか。 とはいえ、さすがに巻ける鍵盤(ロールピアノ)はなかった。



ここまで国立音楽大学楽器学資料館で見た ポルタティーフオルガン、水オルガン、音色見本オルガン、バレルオルガン、パイプオルガンの仕組みが見てとれるオルガン、ポジティブオルガン、バイブルリーガルオルガン、と7つのパイプオルガンの仲間を挙げた。
なんとバラエティに富んでいることか!

もしかして国立音楽大学ってパイプオルガンに力を入れているのかしら。国音には大きなオルガンがあるし オルガンを学べるコースもあるし、そうなんでしょうかね。


写真が撮れなかったのが残念だ。それぞれ個性的な姿なのでぜひリンク先に跳んで動画を見ていただきたい。なんなら国立音楽大学楽器学資料館に行くとよい。水オルガンはぜひ動かしてもらうとよい! 一般人の見学は要予約の水曜日だけなんだけどね。



   国立音楽大学楽器学資料館へ行った。その2(チェンバロ、クラヴィコード、スクウェアピアノ) へつづく




 
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国立音楽大学楽器学資料館へ行った。その2(チェンバロ、クラヴィコード、スクウェアピアノ)

2023-12-17 18:00:47 | 音楽
国立音楽大学楽器学資料館へ行った。その1(パイプオルガン) よりつづく


パイプオルガンで思わず熱くなったが、もちろん資料館には他の楽器もある。
リードオルガンもいくつもあったが、そのうちのひとつ、純正調オルガンがあった。浜松市楽器博物館でも見た なあ。ずいぶん変わった鍵盤のリードオルガンです。
  👈 下にスクロールすると国立音楽大学楽器学資料館の所蔵楽器目録詳細欄に純正調オルガンが出る。1936年製作。


他には歴史的なピアノとかチェンバロとかクラヴィコードが何台も置いてあった。
さわれるものもあった。

さわれるチェンバロやスピネットのプレクトラムは革だった。革プレクトラムのチェンバロを弾くのは初めてです。
ちなみに、スピネットは弦が鍵盤に対して斜めに張られているチェンバロの仲間である。

皆がさわれるチェンバロのプレクトラムが羽軸なわけないが、デルリンでもないんだな。やっぱり革の方が羽軸より丈夫なんだろうな。ピアノを弾きなれている音大生がいきなり羽軸プレクトラムのチェンバロを弾いて プレクトラムが無事とは思えない。
革プレクトラムチェンバロの弾き心地は、そんなに軽くないな、という感じ。デルリンでも削り方で軽さがすごく変わる、ということを松本市音楽文化ホールのチェンバロとうちのものとの比較で知ったので、一律にデルリンならこう 革ならこう、といえないけど。
歴史的な楽器の保全より音大生が使えることを優先しているんだな、と革プレクトラムで感じました。
どのチェンバロやスピネットをさわったか、所蔵楽器目録を見ても思い出せない。ちとくやしい。


クラヴィコードが何台もあったのが嬉しい。浜松市楽器博物館にはクラヴィコードが1台しかなかったしさわれなかったので、山野辺氏製のものや松尾古楽器製のクラヴィコードとタッチや鳴りがどう違うか興味があったのだ。
さわれるクラヴィコードには譜面が置いてあったので、弾いてみた。うん、クラヴィコードはそれほど違いを感じなかった。単にわたしが分からなかっただけかもしれない。チェンバロは レッスンを受けた おかげで色々と感じられるようになったけれど、クラヴィコードは弾いた時間も短いし どこに注意してどのように弾く楽器なのかも今一つ分かっていない。それで違いに気づかなかったんだと思う。
まあそれでも、軽いタッチのチェンバロでニュアンスを出す弾き方に腐心した成果が出て、クラヴィコードは小さい音なりに歌ってくれました。クラヴィコードって可愛い楽器だね。うちの子も弾いてあげなくっちゃ。

  👈 下にスクロールすると所蔵楽器目録詳細欄に さわらせてもらったクラヴィコードが出る。1983年製作、そんなに古いものではない。古さという博物館的価値よりも、実際に演奏出来てそれを音大生に体験させる方を重視してしているんだと思う。
  👈 動画ギャラリーにリンク。クラヴィコードの10分講座が見られます。かなり丁寧な説明で、フレッテッド(共有弦)とかショートオクターブの説明を実際に音を出して説明してくれている。

さわれるクラヴィコードやチェンバロの譜面台には易しい譜面が載せてあったが、その他に、楽器にふさわしいものを弾くように、という注意書きがあったのが面白かった。
まずは時代が合った曲がふさわしいよね、それは納得。でもまあ敢えて違う時代のものを弾いてみる、っていう行為はいかにも「芸術」っぽい気もするけど。


国立音楽大学楽器学資料館のさわれないクラヴィコードはけっこう大型で、低音は1オクターブ高い音と複弦になっていた。その特徴は 浜松市楽器博物館のものと同じ だな。
  👈 下にスクロールすると所蔵楽器目録詳細欄にアンフレッテッドのクラヴィコードが出る。これも1983年製作。




他には沢山あるピアノの中でもスクウェアピアノがいくつもあったのが興味深かった。


細長い長方形の箱を横に置いた感じがクラヴィコードで、それに似ているピアノがスクウェアピアノ、でだいたいあっていると思う。
そこそこ小型で持ち運ばれたりしたクラヴィコードもあるが、そういう可愛らしい風情のスクウェアピアノがあった。脚/台がないから余計にそう見えるのかも。ピアノとは思えない。
  👈 下にスクロールすると所蔵楽器目録詳細欄に小型スクウェアピアノが出る。1787年製作。Piano carre とあるから、運べるピアノという意味だね。



小型でクラヴィコードにもピアノにも見えないスクウェアピアノに惹かれた。スクウェアピアノといえば横長な長方形なもののイメージがあるが、これは幅と奥行きがだいたい同じくらいに見えた。
まだ修復がすんでおらずハンマーはついていなかった。これの修復がすんだら、ぜひ資料館の人に音を出してもらってそれを観たい。
  👈 下にスクロールすると所蔵楽器目録詳細欄に小型のスクウェアピアノが出る。1845年製作。

製作者のロバート・ウォーラムはイギリスのピアノ製作者で、18世紀後半から19世紀に小型のアップライトピアノも製作した。グランドピアノの素早い連打を可能にする機能をそのままアップライトピアノのアクションに採り入れることは出来なかったが、その代わりになる機構を発明し長く使われた。ウィキ

小型のピアノの普及は、まず 弦が水平に 且つ鍵盤に対して横向きに張られているスクウェアピアノから始まったが、その後 グランドピアノを立てて床面積を減らす発想で弦が垂直に張られる背高のジラフピアノやキャビネットピアノが現れ、やがて弦は縦方向だが2方向に斜めにずらして重ねて張ることで高さも減らしたアップライトピアノにとって変わられた。
とって変わった、といっても各々に特徴が違うから、用途要望に応じて同時期に重複して存在していた。
ロバート・ウォーラムはスクウェアピアノ、キャビネットピアノ、アップライトピアノやグランドピアノ、と多様なピアノを製作したそうだ。

キャビネットピアノとはなんぞや、ということで、国立音楽大学楽器学資料館の所蔵楽器目録にあるもののリンクを貼る。
  👈 下にスクロールすると所蔵楽器目録詳細欄にブロードウッド&サンズのキャビネットピアノが出る。1843ー1852年製作。
ブロードウッド&サンズはロバート・ウォーラムと同じイギリスメーカーで沢山ピアノを製造した。ブロードウッド&サンズは現在まで存続していてイギリス王室御用達メーカーだ。
キャビネットピアノは戸棚のように背が高く上辺は平らで、前面にはひだをとったピンクの幕が張られている。幕の周囲は木の枠で、幕は妙に舞台っぽい。前面が木の板ではなく布というのが響きに重要なのだろうか?
なんと、幕の内側の上方にアクションがあるらしい! 西野智也 ピアノ講座第4回【アップライトピアノ】
鍵盤からずいぶん離れているのに操作性が劣るわけではない、と資料館の人は言っていた。マジか!
  👈 動画ギャラリーにリンク。キャビネットピアノには直に行けないが、スクロールすると下に出るボタンで2ページ目に行くとある。解説とともに音も聴けます。高音の鳴りは今ひとつだが中低音はよい響きだ。



  👈 下にスクロールすると所蔵楽器目録詳細欄にクレメンティのアップライトピアノが出る。この形はキャビネットピアノじゃないんですかね?何か理由があるのだろうが訊きそびれた。
クレメンティって、ソナチネアルバムに曲が収められいるよね。懐かしい。むかーしピアノレッスンで教わったなあ。
1752年ローマ生まれのクレメンティはオルガンやチェンバロを弾いた。14歳にイギリスに渡り、23歳の頃にはロンドンでチェンバロ奏者となっていた。29歳にウィーンでモーツァルトと競演した。30歳の頃にはロンドンに戻り、その後ピアニスト、ピアノ教師、作曲家として名声を上げる。出版にもたずさわり、ベートーヴェンの曲を出したこともある。またピアノ製作にも関わった。ウィキ
上手く商売していたようですよ、と資料館の人の談。



国立音楽大学楽器学資料館のHPに、よく似たブロードウッドスクウェアピアノの動画が3台アップされている。
1791年から1830年までのもので、それはモーツァルトからショパンまで含む、ピアノがどんどん発達した時期なのだ。似ているけれど、ダンパーペダルがなかったりついたり、音域が拡大していて、時代の流れを感じることができる。
  👈 動画ギャラリーにリンク。キャビネットピアノに直に行けないが、スクロールすると下に出るボタンで3ページ目、4ページ目に行くとある。
説明とともに、製作時期にふさわしい曲の一部が演奏されます。このピアノならベートーヴェンが美しく弾けます、ってセールストークで売られたのかも。



  👈 下にスクロールすると所蔵楽器目録詳細欄にスタンウェイの1869年のスクウェアピアノが出る。
ハンマーの弦に当たる位置が弧を描いている。
これはスクウェアピアノの最終形です、と資料館の人が言っていた。幅も奥行きも大きくなって、グランドピアノに迫る。小型なピアノを求めるならアップライトピアノでいいし、大きくて表現力を求めるならグランドピアノでいい。
アップライトピアノの普及によって歴史に消えていったピアノに、製作者の奮闘を感じます。



浜松市楽器博物館でも思ったが、国立音楽大学楽器学資料館もオルガン、チェンバロ、クラヴィコード、ピアノ等々、鍵盤楽器が充実しているなあ。
鍵盤楽器は大型の楽器が多いから目立つのかなあ。



   国立音楽大学楽器学資料館へ行った。その3(オンド・マルトノ、テルミン) へつづく




 
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