≪手を動かさねばっ!≫

日常で手を使うことや思ったこと。染織やお菓子作りがメインでしたが、病を得て休んでいます。最近は音楽ネタが多し。

奥野良之助 『 金沢城のヒキガエル 』

2011-11-04 17:36:21 | 本 (ネタバレ嫌い)


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ガマの話なら、石居進『カエルの鼻』 という良著もあり、そちらも持っているが、このブログにアップするのは金沢城の方だ。


この本は最初どうぶつ社で出され、その後平凡社ライブラリーから出された本で、研究書というより一般向けの本だ。
研究書と一般書はどう違うのか、というと、そりゃ難しいかそうでないか、高いか少しは手が届く値段か、と思われるが、
まあ概してそうだけれど、最も大きな違いは著者のスタンスだと思う。
(とかずいぶん偉そうに書いたが、わたしが読んだ生物関係あたりの話なので、他のジャンルはどうでしょうね?)

『金沢城のヒキガエル』 では第1章で
奥野氏がどういった人間か、どうして金沢でガマを研究することになったのか、
ということが書かれている。
ずいぶんクセのあるお方のようだ。 彼には口げんかでは絶対勝てまい。
もうそこを読んだだけで、ああ、研究書じゃないんだな、とはっきり分かるわけだ。

研究書だと、このような方法でこうやって、とあるところを、
この本で、こうなってしまったのは、こうならざるを得なかったのは、とあるところが妙に真に迫っていて、
我を見せない研究というのは本来そらぞらしいものだ、と分かる。
今までは分かる人だけに分かった、そうならざる得ない部分、を門外漢に見せてくれるのがうれしい。


この本の副題は、【競争なき社会に生きる】 だ。
この言葉がどのような意味を持ってくるのか、ぜひ読んでもらいたい。



で、なぜ 『カエルの鼻』 ではなく 『金沢城のヒキガエル』 をとりあげたか?
という話に戻る。
『カエルの鼻』 はカエルの研究から分かったことを述べつつ、そもそも研究とはどういう風に臨むものか、
ということを書かれているのだ。
極端なことをいえば、『金沢城のヒキガエル』 はこうなってしまった、という話で、
『カエルの鼻』 はこうすべきだ、という話なのだ。

いや石居氏の話は決して煙たくない。 研究に対する態度にも感動を覚える。
理系を目指す人なら、早いうちにこういうことを一度は耳に入れておいた方が良いのだ。
奥野氏の研究に対する態度だってすごい。 ただそれを前面に出した書き方をしていないだけだ。
行間を読めば充分伝わる。
その上に、こうなってしまった、があるところがわたしはとても興味深く読めた。
(まあむしろ、「競争なき」に絡めた終章が人によっては煙たいかも。)



ふとしたときにガマに出会うと、そのどっしりした存在感に魅かれる。
人を見てもあわてて逃げ出すようなところが素敵だ。

写真↑: 9月30日、雨交じりの寒い夕暮れ、子供が学校帰りに見つけた。
      軍手が左右逆だよ。 ガマよりいぼいぼだ。




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5 コメント

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可愛いですな (カエル好きの折紙作家)
2011-11-05 16:21:02
いやぁ。カエル好きというからにはコメントしなくてはなりませんね。
昔飼っていたガマを思い出します。
餌取りに苦労しました。
見つけてきたガマはそのまま飼うのでしょうか?
それならばぜひ見に行かねば。

こちらは今オランダのユトレヒトです。明日はニューヨークに飛びます。
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カエル好きの折紙作家さん、こんにちは。 (斑入り山吹)
2011-11-05 18:13:03
お久しぶりです。お元気ですか?
ガマはかわいいですよねぇ!

飼うか? もちろん飼いません。
拾ったところへ帰してらっしゃいっ! ってやつですよ。

川の流れもはやいし、いったいどこで繁殖しているんだろう?と、不思議です。
返信する
おかげさまで元気です。 (カエル好きの折紙作家)
2011-11-06 01:05:01
ガマは本当に可愛いです。
凛々しい口元に、円らな瞳、時には縦に割れる黒目、一匹一匹個性があっていくら見ていても飽きません。
写真のガマは耳紋の位置からして女の子でしょうか。結構美人ですね。
以前、伊豆のカエル園に行ったのですが、すっかり魅入ってしまい、気がつかない内に、あまりの可愛さに感嘆の溜息が声になっていて、周りにかなり怪しまれましたが。
と、こんなことを書いていたらまた怪しまれますね。
返信する
カエル好きの折紙作家さん、こんにちは。 (斑入り山吹)
2011-11-06 08:49:24
ガマもいいけれど、カジカガエルもいいですよ。
パッと見は小石みたいで、その地味な感じはガマに似ています。
ある時期やたらと見ました。 何月くらいだったかなぁ?
伊豆のカエル園にいましたか?
返信する
カジカは鳴き声 (カエル好きの折紙作家)
2011-11-07 04:25:00
カジカガエルは見た目もさることながら、その鳴き声が素敵すぎます。
小鳥のさえずりの美しさと、鈴虫の鳴き声の清涼感を併せ持ったようで、夏に聞くとそれだけで涼しくなれますよね。
返信する

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