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時間のことを考える、その間も時間が流れて…この循環論法に出口は? 時間とはなんだろう? とはなんだろう 松浦 壮 ←講談社ブルーバックスHP
この本を書くこととなった動機について、クスッとしてしまうような言葉であっさり書かれている。おススメである。
「時間」って、なんなんでしょうね? っていう本の導入が素晴らしい。素人がすんなり入っていける。
高速移動している物の上では時間の流れは遅くなる、というのは相対性理論で有名な話だが、今やそれが身の回りにありふれている現象だということを、寡聞にしてこの本で初めて知った。GPS である。
位置情報は最低3機の人工衛星で割り出せるのだが、受信機と 高速移動している人工衛星の時計のずれを補正するためにもう1機の人工衛星の情報を加えなければならないそうだ。
「アインシュタインは一般相対性理論を作り上げた後、宇宙には見えない次元が隠れていて、私たちが目にしている重力と電磁気力は高次元の宇宙に働く重力が別の形で顕れたものなのだろう、という仮説を立てて、ふたつの力を高次元の重力として統一しようと試みました。
結果から言えばこの試みは失敗したのですが、現代の視点から見るとその理由ははっきりしています。実は、光(と物質)には、ミクロレベルにもう一段階深い特性が隠れているのですが、アインシュタインの時代にはそれがまだわかっていなかったのです。」p.161
というわけで、ミクロな視点の話になっていく。
光は粒子か波か?確率分布だよ、という有名な話があるけれど、この本の説明はとても分かりやすかった。
たとえばグラスを叩いた瞬間にはいろいろな波が一斉に生じるけれど、ほとんどの波は元々の振動とグラスを回り込んできた振動が相殺してすぐに消える。だけどグラスを回り込んできた波とその場所の振動がピタリと重なる波長の振動はすぐには消えない。
この説明を、量子が粒に見えるところが共鳴しているところ、と応用すると直感的に分かる。なるほど!
ここ最近、弦を振動させる楽器についてあれこれ触ったり調べたり考えたりしていたのが役に立ったよ。
あれっ? 時間は?
わたしたちが日常生活で感じている「時間」というものは幻想というか脳の特性による感じ方というか そういうもので、本質的なものではない。
と本のまえの方で述べられている。
時間だけを切り離すのではなく、重力や光や電子やあれこれと包括的に説明しようとしているのが現在の物理学なのだな。すごいな。
とはいえ、やっぱり不思議だよ、時間って
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