≪手を動かさねばっ!≫

日常で手を使うことや思ったこと。染織やお菓子作りがメインでしたが、病を得て休んでいます。最近は音楽ネタが多し。

浜松市楽器博物館へ行った。その7(ピアノ以前)

2022-06-19 18:07:33 | 音楽
浜松市楽器博物館へ行った。その6(日本の楽器) よりつづく

浜松はヤマハのお膝元。ヤマハ以外にもカワイとかハーモニカの鈴木楽器とかギターの東海楽器とか東洋ピアノとか メーカーがいくつもいくつもある。でもやっぱり 頂点はヤマハで楽器はピアノ っていう空気をビシバシ感じた。
浜松市楽器博物館でもピアノやそれに連なる楽器のコレクションにいちばん力が入っているように見えた。初期のピアノが現代のものになっていく過程の展示も素晴らしかったのだが、それ以前に出現したピアノに連なるものを紹介する。

ピアノに連なる楽器の中でもシンプルな ハンマーダルシマー↓ ヴェネチア18世紀のもの。両手に棒をもって張られた弦を打つ弦楽器、打弦楽器だ。

動画 複弦だね。
浜松市楽器博物館へ行った。その3(弦楽器2など)でペルシャ起源の楽器が東西に伝播した例 私家版楽器事典「バルバット・・・東へ西へ」 のリンクを貼ったが、このダルシマーも同様にサントゥールが西に伝わったんである。私家版楽器事典「サントゥール ・・・東へ西へ」

ハンマーダルシマーに鍵盤がついていないのにピアノに連なる? あーそれは、弦をハンマーで打って音を出すところがピアノと同類なのだ。とはいえピアノは打った弦をフェルトでミュートする機能があるけどハンマーダルシマーにはそういう機能もないし、音色も違う。ちょっと遠めの親戚だね。


ピアノの何がピアノらしく見せているかって、そりゃ鍵盤でしょう⁉ でも実は鍵盤は要は操作端末なんで、キーを押して鳴る音の原理はなんでもいいんだよね。という話は 浜松市楽器博物館へ行った。その3(弦楽器2など) でもちょっと触れたっけ。
鍵盤がついている楽器ならパイプオルガンが古いんじゃないかと思うけれど、弦楽器で鍵盤がついた中ではクラヴィコードがシンプルな構造だ。
クラヴィコードはキーを押すと反対側が持ち上がりそこについているタンジェントという金属片が弦を突き上げて音が出る楽器だ。

浜松市楽器博物館のクラヴィコード等に手を触れることはできないけれど、音の出る原理を体験できるキーが置いてある。↑ 複弦だ。
有棹/ネックのある弦楽器で音を出す場合、普通は左手でネックを握り、指先でネックの表の指板の上に弦を押さえつけて、右手で弦をはじく。左手で押さえないと弦長いっぱいの低い音になる(開放弦)。ハンマーダルシマーは開放弦だね。
クラヴィコードは弦の途中(といってもだいぶん端)をタンジェントで突き上げるので音程を定める"左手"と弾く"右手"がタンジェントで兼ねられているようなものだ。ギターでいうタッピング奏法だな。これだとあまり大きな音が出ない。少しでも音が大きくなるよう複弦にするんだろう。
あれっ?弦長の真ん中でなければ打った箇所の両側で 弦の長さ/音程が異なるはずだ。そうです、両側が鳴る。
なんだけれど、ギターのタッピング奏法なら左手でヘッド側はミュートするし、クラヴィコードも短い側にはフェルトが挟んであってミュートされているので、鳴らしたい音だけ鳴る。

↑体験キーのキャプション キーの向こう側に直接タンジェントがついているので、キーの押し加減でビブラートがかかるんだとか!もっと試してみればよかった。
ところで"タンジェント"って三角関数の直角の名前だと思っていた。"tangent"には"接する"って意味があるんだね、納得。
↓クラヴィコードのキャプション

それでもって、ここら辺を回るときには既にだいぶん疲れてきて、楽器の写真を撮り忘れたんであった。


お次はチェンバロ。 ↓チェンバロの体験キーのジャック部分アップ

キーを押すことで 弦の下にあるプレクトラムという小さな爪/突起が上に動き弦をはじく。プレクトラム(元々は鳥の羽根の羽軸を削って作っていたが今はデルリン製)はジャックというパーツの上方にあるタングについているのだが、キーから指を離すとジャックは下に戻る。そして上からフェルトでミュートする。
ジャックが下りるときにまたプレクトラムが弦をはじいちゃうんじゃないのか?と思うのだが、それを巧妙に回避する細工があるんです!プレクトラムのついたタングがひょいと傾きプレクトラムが弦をよけるんです(よける といっても接しはする、が はじかない)。これを考えた人、天才だな!!!
ピアノ調律師:杉本由紀おやじのつぶやき「チェンバロの修理(調整)にお伺いしました」の図 が分かりやすいかな。
レゴハープシコード動画  プレクトラムが弦をよける動きの見やすい動画がなかなか見つからず、むしろレゴハープシコードの方が分かりやすいと思った。ミュートするフェルトはないけどね。

↑チェンバロのキャプション
打弦楽器のクラヴィコードと違ってチェンバロは弦をはじく楽器、撥弦楽器。弦がいっぱいあって開放弦なのが音の出る仕組みでいえばハープと似てるかな。チェンバロはダイナミクスがつけられないけど。
チェンバロはヨーロッパ各地で愛されて、各所で好まれる形になり名前もついた。


この華麗なクラヴァサンはキャプションによると、F.E.2世(パリ)1765 ↑↓
2段鍵盤だ。

このクラヴァサンを作った工房とその一族について↓


↓ヴァージナル 写真を失敗してキャプションが読めない。
チェンバロは弦が演奏者の目線と並行に張ってあるけれど、ヴァージナルは斜めに張ってある。それで楽器の奥行きを短くして省スペースをねらう(でも幅広になる、ホンマに省スペースか?) イギリスだとスピネットという。


↓これは別のヴァージナル 響板に丸い穴(サウンドホール)が開いていてそこに素敵な透かし彫り(ローズ)があるのがリュートっぽい。

浜松市楽器博物館にはチェンバロ類が何台もあった。もちろんピアノ類もリードオルガン類も何台もあったけど。

ピアノに連なる楽器、と題して述べたけど、クラヴィコードもチェンバロも ピアノとは違う楽器なんだということがよく分かった。

オマケ: マリー・アントワネットのためにドイツで製作された機械人形によるダルシマーの演奏動画。 ダルシマーで複弦なんだけれど、弦の張り方はチェンバロっぽい。素敵なローズもあるよ


   浜松市楽器博物館へ行った。その8(ピアノその1) につづく


 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 浜松市楽器博物館へ行った。... | トップ | 浜松市楽器博物館へ行った。... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

音楽」カテゴリの最新記事