≪手を動かさねばっ!≫

日常で手を使うことや思ったこと。染織やお菓子作りがメインでしたが、病を得て休んでいます。最近は音楽ネタが多し。

チェンバロを手に入れた。

2022-08-18 09:14:08 | 音楽

昨年12月に 浜松市楽器博物館 に行って 鍵盤楽器の歴史 を知り、俄然 興味が湧いたところでチェンバロの出物があったので、エイヤと手に入れてしまった。
今はヒストリカルなチェンバロの方がメインだが、40年ほどまえはモダンな構造の東海楽器のスピネットやこのアトラスのチェンバロが出回っていたようだ。

今はなきアトラスピアノ社製の1978年頃のチェンバロ C-140 だ。

楽器の下はすぐさま物置きになるなあ。譜面やチューニングハンマー等を収めた小さい棚と、トロンボーンと 大正琴と 埃よけに布で包んで紐で縛った小さいアコーディオンです。

蓋を開ければ響板のローズが見える。

木工家の夫によると、このチェンバロの外側はみなチークの突板(つきいた)が貼ってあるらしい。
このチェンバロを譲ってもらったときには蓋はくすんだ感じだったのだが、夫が蓋を外して軽く磨いて塗り直してくれた。ぐらついていた脚も直してくれた。木工家がうちにいると何かと便利だ、ありがたい。

↓桜のスツールも夫の手によるものです。丸山木工房 です、どうぞよろしく。

ナチュラルキーにはローズウッドが、シャープキーには象牙が貼ってある。
1オクターブの幅がピアノより約1cm狭いので、楽だ。


↓譜面台とジャックレールを外した様子。
チューニングピンもジャックも2列あるし、弦のブリッジがずれていることからも分かるが、8フィートとそのオクターブ上の4フィートの弦が張られている。
4フィート8フィートといってもそういう弦を指しているわけではなく、パイプオルガンを模している。8フィートで弾けば譜面通りのオクターブが鳴る。4フィート単体で鳴らすことはなく、8フィートと音を重ねて絢爛な音色にする。

鍵盤の両側にある 棒アイスの棒のような金属製のレバーを左右に動かすと ずらりとジャックのささっているジャックガイドが左右に動き、プレクトラムが弦に触れる位置と触れない位置に動かせるのだ。プレクトラムが弦に触れない位置でもキーを押せばジャックは上がるが、弦を撥かないので鳴らない。
↑写真の下の方に写っているレバーはリュートストップといって、小さなフェルトを8フィート弦に押し付けて独特な音色にするもの。

パラパラ弾くくらいならピアノは調律師を1年に1度呼ぶくらいで済んでしまうが、チェンバロはそうはいかない。どんどん音程が狂うので自分でチューニングしなければならない。
そしてやっぱり平均律ではなく古典音律でチューニングしたいとなると、使えるメーターは限られている。
普段は蓋を全部開けないで鍵盤の上の部分だけ開けるのだが、そこにメーターの脚を掛けると具合がよい。


↓これがジャック。長さは9.5cm程度。これがすべての弦に対して1個ずつ対応している。
奥の30と書いてあるジャックについているプレクトラムが純正で、手前の28についているプレクトラムはわたしが作った。
このチェンバロを譲ってもらったときに、替えのプレクトラムももうなくなっちゃったけど、ほら、ペットボトルを切ったこれで代用できるよ、と渡されたものを切って調整してセットしたのだ。なんとか使っています。


↓ジャックの裏側。タングを押さえる細いバネが見える。
チェンバロのキーを押すとジャックが上がってプレクトラムが下から上に弦を撥く。
キーから指を離すとジャックが下がる。そのときにタングがひょいと後ろへ倒れて タングについているプレクトラムは弦を撥かずにジャックが下がり、プレクトラムが弦をよけるとタング裏のバネによってタングは元の位置に戻って、その結果プレクトラムは弦の下に入る。
  その様子の分かりやすいレゴハープシコード動画
ジャックが下に戻ったとき、ジャックについた赤いダンパーフェルトが弦をおさえてミュートする。


↓アップ。赤いダンパーフェルト横の透明なプレクトラムが見えるかな? 後ろでピンボケなのがチャック付き小袋に入った 替え用のペットボトルの切片と、なんとなく残している折れたプレクトラムの根元。根元の断面はスイッチマークのように 丸にスリットの入った形で、タングの孔にぴったり収まるようになっていた。


久保田彰『図解チェンバロメンテナンス』を手に入れた。ネットでもいろいろ知れるのだけれどね、やはりちゃんとまとまった本が欲しいので。


久保田彰『図解チェンバロメンテナンス』を参考に、ヴォイシングブロックという大層な名前のついた木っ端をプレクトラムの下に当て、デザインナイフで厚みを削ぐ。
プレクトラムでキーを押し下げる抵抗、音の大きさがずいぶん変わる。


ニッパー、ヴォイシングブロック、デザインナイフ、替えのプレクトラム。


ジャックのあたまにタングの傾きを調整するネジがついているので、小さなマイナスドライバーで回す。

このネジとかジャックの下についた大きめのネジ(エンドピン)はモダンチェンバロ特有のものだそうだ。

ヒストリカルなチェンバロはおろか、他のチェンバロをちゃんと弾いたこともなくいきなりこのチェンバロを手に入れたので、チェンバロってこういう音がしてこういう弾き心地、という基準が己の中にないんである。そしてレッスンを受ける予定もない。あ、これはアコーディオンも同じか。モダンだヒストリカルだというレベルではない。
まあそれでも五感を澄ませて、少しでもよい演奏が出来るようになんとか調整、練習したいものである。


 

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4 コメント

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はじめまして (ふらっと)
2022-10-22 20:51:07
こんばんは。
趣味でチェンバロなど
古典的鍵盤楽器を弾いているふらっとと
申します。
プレクトラムの削り方が書いてあるサイトは
ないかしらと探していたら
こちらのブログに行き当たりました。
ななな~~~んと、ペットボトルで代用なさるとは!
言われてみると、確かに
いい具合の柔らかさ・厚みかもです!
いい勉強になりました、
ありがとうございました。
私はカラスの羽根を削って
プレクトラムにしています。
Unknown (fuiriyamabuki)
2022-10-22 22:01:06
ふらっとさん はじめまして、ようこそおいでくださいました。
ちょっとだけブログを拝見しました。チェンバロに足鍵盤つきクラヴィコードにオルガン、素敵です!
わたしも三十余年まえに3年ほどパイプオルガンを習っていました。いいですよね❤️

チェンバロのプレクトラムにペットボトル、はチェンバロを譲ってくれた方が持たせてくれたのです。プレクトラムの幅にハサミで途中まで切り込みを入れて、でも元は紙マッチのように繋がっている状態で。
それをちまちま切り分けて使っていましたが、ちょっと柔らかすぎる気がしました。

それで厚さ0.5mmのデルリンシートを買いました。
すべって切り分けるのがちょっと難しいな、ということで、木工家の夫がささっと治具を作ってくれました。
https://mobile.twitter.com/fuiriyamabuki/status/1583798150447308800

ひょんなことでクラヴィコードを手に入れてしまいました。あんまり弾いていませんけど。
https://mobile.twitter.com/fuiriyamabuki/status/1543513391091703808
フレッテッドって弾いていて変ですね!
ふらっとです (ふらっと)
2022-10-23 07:11:44
おはようございます。
続けてツイッター拝見しております。
まさかオルガンを作られたとは驚愕です!
例の本、私も存じ上げてはおりましたが、さすがに実行することはできずです。
素晴らしいだんなさま、尊敬申し上げます。よろしくお伝えくださいませ!
ご病気されていたのですね。どうぞお大事になさってくださいね。
Unknown (fuiriyamabuki)
2022-10-23 16:59:55
ふらっとさん、こんにちは。
楽器って作れるものなんだなあ、って思いました。
でもポルタティーフオルガンの片手だけっていうのは欲求不満になりますね。
足鍵盤つきオルガンが欲しいのですけれど、置き場がない。
じゃあせめて両手のみ1段鍵盤で音も小さめのゲダクト、っていうのが山野辺氏宅にあったので、それならちょっと欲しいと思いましたが、やっぱり置き場問題です。
自宅じゃないところに楽器を置くとダメなんですよ。少なくともずぼらなわたしはダメです。
人の生活している環境じゃないと、家と同様で傷むんです。あうー

病気は日常生活で気にならないです。
このご時世にこんなにのんびりのほほんと生きてられるってすごい、ってレベルで優雅に生きています。
夫さまさまです。よろしく伝えました😸

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