作家の柚木麻子さん命名の「忘れパスタ」とは、『友達とのおしゃべりや読書、パソコン仕事の隙間につるりとすすり終えてしまうそれらは、口当たりが良くて安心できる味だけれど、夜になるころには食べた記憶さえあいまいになっている。そんなインパクトの薄い美味しさが私の舌に一番合う。』と書いている。
略
ここで誤解がないように述べておきたいのは、忘れパスタとは決してまずいパスタでも安っぽいパスタでもないということだ。びっくりしない味わいで、量がちょうど良くて口当たりがいいから、印象に残らないだけなのである。
中略
実は、人を不安にさせないよう考え抜かれているものとは、なにげなく見えて、いずれも温かくて品があり優秀で知性に溢れているからこそなのだ。
27年8月1日(土)日経新聞≪プロムナード≫より
・・・・・・・・切り取って、手帳に挟む・・・・・・・・