コロナのおかげで、アスリートたちは練習が出来ず、このような不十分な状態でオリンピックをやるのは不適切だ。という声が高まって、オリンピックがほぼ一年延期された。アスリートたちに限らず、ボクたち演劇人も公演の機会がなくなれば、腕が落ちることは明白。なんとか、稽古や公演の機会を確保しなけりゃ。
ボクには、他のカンパニーと違うことをやろう、という気負いはない。他のカンパニーはもっと好きなことをすればいい、とは思うけど。ボクはただ、自分が「面白い」「好き」をやっているだけ。時には、やったこともないことをやりたい、と思って、大変な苦労を背負うこともあるけど。でも、そういうことを避けずにやってきたから、世界が広がってきたと思う。
これからも、もっと人間として深化して、もっと自由に、もっと自然に、作って行けば。独自なもの、今までなかったものが生み出せると思う。
俳優が舞台に立つ時、特別な人間でもあり当たり前の人間でもある。ここを取り違えると、人間とは思われない声音や体つきになったり、あるいは、わざわざ見る価値もない雑多な人間になる。
ボクがイメージする演技というものは、舞台上で、そのシチュエーションや相手を信じることができる。つまり、生活している（生きている）と実感できるものなのだ。セリフを覚え、段取りを覚えれば、それなりに見える。けれど、そこに生きている状態とは、全く別物だ。