ラブラドレッセンスの瞳

暗がりの、猫の瞳の煌めき。
地中深く、眠る石の輝き。

今年も花開く命

2009年12月03日 | 父の事全般
丁度一年前、去年のこの日に、父は皮膚癌の手術をしました。

初めての入院、初めての手術、しかも1ヶ月程も入院するという事で、我が家はバタバタしていました。

去年のこの日は水曜日だったので、手術前に会いに行き、歩いて手術室に一緒に行って見送り、先生によろしくお願いしますと頭を下げました。

結構時間もかかるし、私は家に戻って銀河と留守番、母は不安からか病院に残り、長い間待っていました。

手術が長引いて私も病院でやきもきしながら待ち、やっと終わって手術室前でお迎え。
先生方にありがとうございましたと頭を下げ、ベッドごと運ばれていく様子をまるでドラマと同じだとちょっと笑い。

父の意識は殆ど戻っていて、看護師さんの呼びかけにもハッキリ答えていました。

どうしてもおでこなので頭全体を痛々しく包帯やネットで覆って、とても可哀想に見えましたよ。

でもこれで治ると思えば・・・という思いで、後は良くなるだけという思いでいたので、悲しくも辛くもなかったです。
ちょっとホッとしたというか。

それまで長い間、何だかわからなくてひどくなる一方だったから。
もっと早く癌だと判明すれば、父はもう少しでも長く生きたかもしれないけど。


そんな去年の初めての手術の日、近所の四季桜が花を咲かせていて、写真を撮ったのを覚えています。

それを思い出して、今年も撮ってきました。



花が小さくて写しにくいのと、枝が遠いのでちゃんとした位置を確保出来ないという、適当な写真ですが



花の色がピンクが濃い目なのと真っ白なのが混ざっていて、どうしてこんな風になるのか不思議ですね。

もう少し日にちが経つとどんどん花が増えていくけど、今は中途半端な時期ですね。
来年になると見頃かな。


こうしてこの桜は今年もまた花を咲かせるけど、父はもういないんですね。

去年はまさか、写真を撮りながらそんな事になるなんて全く思っていなかった。

一度入院したり手術したりするのもいい経験になるかもしれない、治ったら入院生活の経験から、父の性格も少しは変わるかもしれない、何かがいい方向に変わる事を期待していたものです。

それは年明け早々に打ち砕かれてしまったのだけど。


当たり前のように毎年咲いている花も、いつかは咲かなくなる時がくるのでしょう。
でも短い人間の寿命から、それを目の当たりにする機会はとても少なく、人の死だけを経験する機会が増えるのでしょう。

そして私は、この桜が咲くたびに、この日を思い出すでしょう。


もう父は帰らないのだという事も。


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