花の形がユニークな「ヒアシンス」。子供の頃に水栽培をした記憶がある。ギリシア神話のヒアキュントスから名前をもらった。アポロンに愛されたために嫉妬されて殺された美少年が死んでこの花になったという。風信子という別名もあるが、これは「ユリ科の多年草のこと」らしい。この漢字からヒアシンスと読むのは難しい。俳句では夜香蘭のような和名も使われる。どれも五文字で使いやすいだろう。「大地より噴きてむらさきヒヤシンス/斎藤道子」
(2023年春 川崎市)
2023年春の花シリーズ
「ジャイアント・スノードロップ」(春の花シリーズ 23-01)
「セツブンソウ」(春の花シリーズ 23-02)
「ユキワリイチゲ」(春の花シリーズ 23-03)
「福寿草」(春の花シリーズ 23-04)
「ミチノクフクジュソウ」(春の花シリーズ 23-05)
「福寿海」(春の花シリーズ 23-06)
「ロウバイ」(春の花シリーズ 23-07)
「シナマンサク」(春の花シリーズ 23-08)
「八重寒紅」(春の花シリーズ 23-09)
「カラスノエンドウ」(春の花シリーズ 23-10)
「クモマグサ」(春の花シリーズ 23-11)
「スイセン」(春の花シリーズ 23-12)
「ペーパー ホワイト 」(春の花シリーズ 23-13)
「キズイセン」(春の花シリーズ 23-14)
「スイートアリッサム」(春の花シリーズ 23-15)
「ヒマラヤユキノシタ」(春の花シリーズ 23-16)
「クロッカス」(春の花シリーズ 23-17)
「ツルニチニチソウ」(春の花シリーズ 23-18)
「ムスカリ」(春の花シリーズ 23-19)
「キルタンサス」(春の花シリーズ 23-20)
「サクラソウ」(春の花シリーズ 23-21)
「ジャノメエリカ」(春の花シリーズ 23-22)
「芝桜」(春の花シリーズ 23-23)
「ネモフィラ」(春の花シリーズ 23-24)
「カレンデュラ」(春の花シリーズ 23-25)
ヒアシンス(ヒヤシンス)の基本情報
学名:Hyacinthus orientalis
和名:ヒアシンス(風信子) その他の名前:ヒヤシンス、夜香蘭、ダッチヒアシンス
科名 / 属名:キジカクシ科(クサスギカズラ科) / ヒアシンス属
特徴
ヒアシンスはチューリップやスイセンなどと並んで、春の花壇を彩るポピュラーな秋植え球根です。葉と花とのバランスがよく、均整のとれた草姿でボリューム感もあり、強い香りを漂わせます。ギリシャ神話にも登場し、古くから観賞されて数多くの品種がつくり出されてきました。日本では、10品種ほどが栽培されています。野生種の花は青紫色ですが、園芸品種は花色も豊富です。主にオランダで育成され、ダッチヒアシンスと呼ばれています。球根の表皮が花色と同じような色なので、球根を見るとおおよその花色がわかります。通常は1球から1本の花茎が出ますが、大きな球根では、さらに1~2本の花茎が伸びてきます。最近は、何本もの花茎が一度に出て咲く、マルチフローラタイプの品種も育成されています。
また、水栽培が容易で、すらりと伸びた白い根や、透明な容器とマッチした全体の美しさはヒアシンスならではのものです。
※科名:ヒアシンス科、ユリ科で分類される場合もあります。
基本データ
園芸分類 球根
形態 多年草 原産地 ギリシャ、シリア、小アジア
草丈/樹高 約20cm 開花期 3月~4月
花色 赤,ピンク,白,黄,青,紫 栽培難易度(1~5)
耐寒性 強い 耐暑性 強い(夏期は休眠)
特性・用途 香りがある,耐寒性が強い
季語「ヒヤシンス」について
【表記】ヒヤシンス
【読み方】ひやしんす
【ローマ字読み】hiyashinsu
子季語・関連季語・傍題・類語など
・風信子(ふうしんし:fushinshi)
・夜香蘭(やこうらん:yakoran)
・錦百合(にしきゆり:nishikiyuri)
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ヒヤシンスを含む俳句例
墨の香も孫に磨らせつ風信子/瀧井孝作
宇宙是れ洗濯板にヒヤシンス/攝津幸彦
室蘭や雪ふる窓のヒヤシンス/渡辺白泉
思ひ切り悪き女やヒヤシンス/高澤良一
春昼や村の床屋のヒヤシンス/田中冬二
遺失物係の窓のヒヤシンス/夏井いつき
ヒヤシンス束ねて胸に光置く/仙田洋子
ヒヤシンス水に根を張り卒業期/樋笠文
ヒヤシンス紫は祖母眠る色/入口久弥女
髪切つて逆らふ少女ヒヤシンス/中拓夫
ヒヤシンス湖照らむには春浅し/有働亨
ヒヤシンス獣のやうに夜は届き/櫂未知子
乳の香は風信子色汝の辺より/文挟夫佐恵
ヒヤシンス窓にかがやく沖の雲/中村信一
一筋の繩引きありてヒヤシンス/高浜虚子
ヒヤシンスにほふ三時の花時計/野入京子
ヒヤシンス高きを渡る風に和す/有馬朗人
ヒヤシンス二列に咲きて濃紫/城戸崎松代
ヒヤシンス吾が真髄を我と知る/見館定子
ヒヤシンス鴎の眸過ぎゆけり/千代田葛彦
俳句例:21句目~
ヒヤシンス日溜の色頒ち合ひ/小坂かしを
ヒヤシンス水栽培の根を張れり/若木一朗
入試地獄に水栽培のヒヤシンス/津田翠女
根も花もさらし学舎ヒヤシンス/二村典子
水栽培針の根降ろすヒヤシンス/高澤良一
脳病むに似てヒヤシンス凭れ合ふ/堀葦男
足裏のとげぬく女神ヒヤシンス/有馬朗人
味ききりし鏡の前のヒヤシンス/麻田ツル
銀河系のとある酒場のヒヤシンス/橋間石
ヒヤシンス空しか見えぬ窓なりし/麻生玲子
みごもりてさびしき妻やヒヤシンス/瀧春一
ヒヤシンス咲いて和らぐ啄木像/法本フミ女
ヒヤシンス彼の日の同じ藍の濃し/仁杉とよ
敷く雪の中に春置くヒヤシンス/水原秋櫻子
縁の日に映る葉裏やヒヤシンス/島村元句集
替へたての水虹色にヒヤシンス/平田はつみ
水にじむごとく夜が来てヒヤシンス/岡本眸
遠く見ゆ雪に影置くヒヤシンス/秋元草日居
園丁や胸に抱き来しヒヤシンス/島村元句集
ヒヤシンスなす髪揺りてよゝと泣く/林原耒井
俳句例:41句目~
いたづらに葉を結びありヒヤシンス/高濱虚子
午後の日の影重ねあふヒヤシンス/岡部六弥太
友二忌の土割つて萌ゆヒヤシンス/鈴木しげを
うつぶせに寝て父の夢ヒヤシンス/大木あまり
へろ~と咲きつかれたりヒヤシンス/永井翠畝
眼をとむるヒヤシンスあり事務の閑/日野草城
春来ぬと風憂かりけりヒヤシンス/水原秋櫻子
ヒヤシンス犬聞いてゐしわかるらし/中村汀女
大地より噴きてむらさきヒヤシンス/斎藤道子
ガーデンの女あるじやヒヤシンス/五十嵐播水
ヒヤシンスひしめき咲きて三株かな/星野立子
ヒヤシンスひとりつきりは夢見がち/鎌倉佐弓
ヒヤシンス妻亡きあとは地におろす/田村萱山
髪編みて輪ゴムでとめてヒヤシンス/西本一都
だまされたふりをしてゐるヒヤシンス/佐野典子
眼を伏せてほくろが媚びるヒヤシンス/日野草城