姉から聞いていた、母の言動のおかしさを、
しっかりと確認するつもりで面会に行きました。
でも、最初に母の姿を見て驚いたのは、
びっくりするくらい、老け込んでしまっていたのです。
まだ、話せるようになって3日位しか経っていないので、
声はとても小さく、話し方もおばちゃんみたいに弱弱しく、
まるで別人でした。
“お母さん、よく頑張ったね”
そう言って、わたしは母のおでこにキスをしました。
感染が恐いので、マスク越しで。
“これは、友達からの元気になるためのキスだよ、頼まれたの”
母のためにお花を買っていったのですが、「花粉が心配」というので、
“そうだね、ばい菌がいるかもしれないね、じゃあ、気持ちだけ受け取ってね、元気が出るようにひまわり買ってきたんだよ、エネルギー貰おうね”
と言って見せました。
黙ってうなづいてその花を覗き込む母の姿は、かつての毒舌の母ではありませんでした。
今回のことで、母の左手は全く感覚がなく、わたしが手を握っていてもわからないと弱弱しく言いました。
反対の手の方は、感覚はあるのですが、物をつかむことが出来ず飲み物も自分で飲めないのです。
「夜にこれ、飲みたかったんだけど、お母さん手が効かないから飲めなかったの」
一生懸命話す母が愛しかったです。
目が覚めて、普通に動けると思ったら、両手が麻痺して不自由するとは思わなかったと、落ち込んでいるようでした。
“大丈夫だよ、お母さん頑張り屋だから、リハビリでよくなるよ”
手の麻痺はまだ原因がわかっていません。レントゲンとMRIを撮ると聞きました。
そして、母の記憶は、倒れる数日前からありませんでした。
覚えてる?と聞くと、気が付いたら病院だった、と答えました。
“ICUのみんなが一生懸命してくれて、お母さんは助かったんだよ、本当に危ない状態だったんだよ。主治医の先生と、麻酔科の先生方と、スタッフのみんなに感謝しないとね。お母さんも頑張り屋で我慢強いから、助かったんだね。本当に頑張ったね。”
我慢しすぎは、よくないね。
ぼそっとつぶやきました。
ああ、こんな母の姿は見たことありません。
しばらく話をしていたら、突然、
母:ほら、この間、静岡行ったでしょ。
(もしや、、、、)
私:ああ、そうだっけ。
母:そのときに、インターで、後ろのナンバーをチェックされたの、2ヶ所で。
父:静岡なんて言ってないよ、それは・・・
わたしは父を制しました。
私:静岡は去年お墓参りで行ったっけ。そのときのこと?
母:この間だよ、ねえ、○○(姉の名前)、この間の静岡、覚えているでしょ。
姉:ああ、そう、そうだったね。
母:前と後ろにナンバーがあるのに、後ろだけチェックされて、お母さん、心配で心配で、2ヶ所でチェックされたの。
姉:ああ、カードが使われてるんじゃないかって心配なの?
母:そう、そう、、そしたら、道路の向こう側にマックがあって、お父さんがこんなときにゴルフバック買ってて、、お母さんは早く出たほうがいいと思っているのに、、
私:お父さん、ゴルフバック買わなかったんだよ。
母:あなた、買わなかったの?
私:お父さん、ゴルフ今するの?もうやらないよね。お母さん、お父さん、見てただけだって。
母:見てただけなの?でも、買おうと思って見てたんでしょ?お母さん、早く出なくちゃと思っているのに、金縛りにあっちゃって、、、
私:金縛りにあっちゃったの?そう、だから、ゴルフバックどころじゃなくなったんだよ。
母:イタリア人と、二人の外国人が、やめてくださいって言ってるのに、ナンバーをチェックしていて、、ねえ、(姉に)、、ピーピーって警告の音がなっているのに、、、
姉:ああ、、、でも、カードは確認すれば大丈夫だから。
母:お母さん、心配で、心配で、あんた(私のこと)がすごい責められているから。
私:わたしが何で責められているの?
母:お母さんのゴールドカードを使って、すごい借金を背負って、、、
私:あたしがすごい借金を背負って、責められていたの?
母:そう。。
私:じゃね、お母さん、まず、お父さんはゴルフバックを買わなかったし、わたしはお母さんのゴールドカードは使っていないし、たくさんの借金も背負ってないし、大丈夫だから。カードは、○○(姉)が確認してくれるって、でも、使われていないから、大丈夫だよ。
母:・・・六本木・・・
私:六本木??
母:あんたが、○○(わたしの住んでいるところ)に家を借りてるのに、六本木ヒルズに家借りたって聞いて、そんな、身の丈にあった生活をしないと。。って。
私:六本木に家は借りれないよ、遊びにいってるだけだから、心配しないで。家は一つしかないよ。
母は、ひとつひとつを思い出すように話していました。
そして、話はときどき、飛んだり、また、もとの話にもどったりしていました。
まるで現実のように話す母ですが、わたしは思いました。
これは、昏睡状態のときと、意識不明の期間に見ていた夢なんだな、と。
主治医の先生や看護士さんが話をしていて、おかしいというところはないと報告を受けていました。
でも、姉は、身内の話やペットの話をすると、おかしくなると言っていたのです。
母は、現実と夢が混同しているようでした。
“お母さん、それはきっと夢を見ていたんだよ”
最初、そう言ったのですが、
じっと考えて、
「あれ?静岡、覚えてない?ほら、イタリア人いたでしょ」
と、姉にふったりしてるので、母の中では現実と思っているのかな、と感じました。
わたしが面会に行く前は、
わたしが白衣を着て、病院の中をうろうろしていると言ってたそうです。白衣で会いに来た、と言った翌日に、「フルールは面会に来ない」と言ったそうです。
そして、昨日の姉の報告では、
『今日は、静岡の話と、名古屋でわたし(姉)が結婚して、子供が3人いて安心したって言ってたよ』
でした。
母の心配事が、夢になって出てきて、それが現実と夢の区別ができなくなっているんだよ、と姉に言いましたが、
姉はそうだといいけど、、、とまだ心配のようでした。
顔面麻痺とか、ろれつが回らないとかはないので、
主治医の先生も脳梗塞の心配はないと言ってますが、
MRIの結果を待つばかりです。
わたしは、動かない手を気にしている母に、簡単なリハビリを教えました。
“手をね、こう広げて、動いても動かなくてもいいから、親指からイチ、ニィ、サン、シ、ゴ、ってタイプを打つみたいにするんだよ、意識だけでいいからね。今度は小指から指をあげていくの。動かなくたっていいんだよ、気持ちだけでね”
一生懸命わたしのまねをして、指を動かそうとしてました。
すると、薬指と中指がピクっと動きました。
“すごいじゃん、動いたじゃん、来たとき全然動かなかったのに!!”
母は嬉しそう。
「神経の先生が来た時は、動かなかったのに、今、動く」
“じゃあ、来週あたしが来るまでに頑張ってリハビリしてね”
そして、昨日の姉の報告で、
『指が動かせるって、先生に嬉しそうに見せていたよ』
褒めて、褒めて、とにかく生きるエネルギーをどんどん与えたいと思います。
来週の母の面会が楽しみです。
しっかりと確認するつもりで面会に行きました。
でも、最初に母の姿を見て驚いたのは、
びっくりするくらい、老け込んでしまっていたのです。
まだ、話せるようになって3日位しか経っていないので、
声はとても小さく、話し方もおばちゃんみたいに弱弱しく、
まるで別人でした。
“お母さん、よく頑張ったね”
そう言って、わたしは母のおでこにキスをしました。
感染が恐いので、マスク越しで。
“これは、友達からの元気になるためのキスだよ、頼まれたの”
母のためにお花を買っていったのですが、「花粉が心配」というので、
“そうだね、ばい菌がいるかもしれないね、じゃあ、気持ちだけ受け取ってね、元気が出るようにひまわり買ってきたんだよ、エネルギー貰おうね”
と言って見せました。
黙ってうなづいてその花を覗き込む母の姿は、かつての毒舌の母ではありませんでした。
今回のことで、母の左手は全く感覚がなく、わたしが手を握っていてもわからないと弱弱しく言いました。
反対の手の方は、感覚はあるのですが、物をつかむことが出来ず飲み物も自分で飲めないのです。
「夜にこれ、飲みたかったんだけど、お母さん手が効かないから飲めなかったの」
一生懸命話す母が愛しかったです。
目が覚めて、普通に動けると思ったら、両手が麻痺して不自由するとは思わなかったと、落ち込んでいるようでした。
“大丈夫だよ、お母さん頑張り屋だから、リハビリでよくなるよ”
手の麻痺はまだ原因がわかっていません。レントゲンとMRIを撮ると聞きました。
そして、母の記憶は、倒れる数日前からありませんでした。
覚えてる?と聞くと、気が付いたら病院だった、と答えました。
“ICUのみんなが一生懸命してくれて、お母さんは助かったんだよ、本当に危ない状態だったんだよ。主治医の先生と、麻酔科の先生方と、スタッフのみんなに感謝しないとね。お母さんも頑張り屋で我慢強いから、助かったんだね。本当に頑張ったね。”
我慢しすぎは、よくないね。
ぼそっとつぶやきました。
ああ、こんな母の姿は見たことありません。
しばらく話をしていたら、突然、
母:ほら、この間、静岡行ったでしょ。
(もしや、、、、)
私:ああ、そうだっけ。
母:そのときに、インターで、後ろのナンバーをチェックされたの、2ヶ所で。
父:静岡なんて言ってないよ、それは・・・
わたしは父を制しました。
私:静岡は去年お墓参りで行ったっけ。そのときのこと?
母:この間だよ、ねえ、○○(姉の名前)、この間の静岡、覚えているでしょ。
姉:ああ、そう、そうだったね。
母:前と後ろにナンバーがあるのに、後ろだけチェックされて、お母さん、心配で心配で、2ヶ所でチェックされたの。
姉:ああ、カードが使われてるんじゃないかって心配なの?
母:そう、そう、、そしたら、道路の向こう側にマックがあって、お父さんがこんなときにゴルフバック買ってて、、お母さんは早く出たほうがいいと思っているのに、、
私:お父さん、ゴルフバック買わなかったんだよ。
母:あなた、買わなかったの?
私:お父さん、ゴルフ今するの?もうやらないよね。お母さん、お父さん、見てただけだって。
母:見てただけなの?でも、買おうと思って見てたんでしょ?お母さん、早く出なくちゃと思っているのに、金縛りにあっちゃって、、、
私:金縛りにあっちゃったの?そう、だから、ゴルフバックどころじゃなくなったんだよ。
母:イタリア人と、二人の外国人が、やめてくださいって言ってるのに、ナンバーをチェックしていて、、ねえ、(姉に)、、ピーピーって警告の音がなっているのに、、、
姉:ああ、、、でも、カードは確認すれば大丈夫だから。
母:お母さん、心配で、心配で、あんた(私のこと)がすごい責められているから。
私:わたしが何で責められているの?
母:お母さんのゴールドカードを使って、すごい借金を背負って、、、
私:あたしがすごい借金を背負って、責められていたの?
母:そう。。
私:じゃね、お母さん、まず、お父さんはゴルフバックを買わなかったし、わたしはお母さんのゴールドカードは使っていないし、たくさんの借金も背負ってないし、大丈夫だから。カードは、○○(姉)が確認してくれるって、でも、使われていないから、大丈夫だよ。
母:・・・六本木・・・
私:六本木??
母:あんたが、○○(わたしの住んでいるところ)に家を借りてるのに、六本木ヒルズに家借りたって聞いて、そんな、身の丈にあった生活をしないと。。って。
私:六本木に家は借りれないよ、遊びにいってるだけだから、心配しないで。家は一つしかないよ。
母は、ひとつひとつを思い出すように話していました。
そして、話はときどき、飛んだり、また、もとの話にもどったりしていました。
まるで現実のように話す母ですが、わたしは思いました。
これは、昏睡状態のときと、意識不明の期間に見ていた夢なんだな、と。
主治医の先生や看護士さんが話をしていて、おかしいというところはないと報告を受けていました。
でも、姉は、身内の話やペットの話をすると、おかしくなると言っていたのです。
母は、現実と夢が混同しているようでした。
“お母さん、それはきっと夢を見ていたんだよ”
最初、そう言ったのですが、
じっと考えて、
「あれ?静岡、覚えてない?ほら、イタリア人いたでしょ」
と、姉にふったりしてるので、母の中では現実と思っているのかな、と感じました。
わたしが面会に行く前は、
わたしが白衣を着て、病院の中をうろうろしていると言ってたそうです。白衣で会いに来た、と言った翌日に、「フルールは面会に来ない」と言ったそうです。
そして、昨日の姉の報告では、
『今日は、静岡の話と、名古屋でわたし(姉)が結婚して、子供が3人いて安心したって言ってたよ』
でした。
母の心配事が、夢になって出てきて、それが現実と夢の区別ができなくなっているんだよ、と姉に言いましたが、
姉はそうだといいけど、、、とまだ心配のようでした。
顔面麻痺とか、ろれつが回らないとかはないので、
主治医の先生も脳梗塞の心配はないと言ってますが、
MRIの結果を待つばかりです。
わたしは、動かない手を気にしている母に、簡単なリハビリを教えました。
“手をね、こう広げて、動いても動かなくてもいいから、親指からイチ、ニィ、サン、シ、ゴ、ってタイプを打つみたいにするんだよ、意識だけでいいからね。今度は小指から指をあげていくの。動かなくたっていいんだよ、気持ちだけでね”
一生懸命わたしのまねをして、指を動かそうとしてました。
すると、薬指と中指がピクっと動きました。
“すごいじゃん、動いたじゃん、来たとき全然動かなかったのに!!”
母は嬉しそう。
「神経の先生が来た時は、動かなかったのに、今、動く」
“じゃあ、来週あたしが来るまでに頑張ってリハビリしてね”
そして、昨日の姉の報告で、
『指が動かせるって、先生に嬉しそうに見せていたよ』
褒めて、褒めて、とにかく生きるエネルギーをどんどん与えたいと思います。
来週の母の面会が楽しみです。
お父様の場合は、お薬で手が痺れて感覚がなくなってしまったのですか。ろれつも回らないと、脳の心配が出てきますよね。うちの母は、3年前に、風呂場で転んで首を痛めているので、両手先の麻痺はそこから来ているのではないかと言っているそうです。でも、今回のことがある前は日常生活は普通に出来ていたから、関連あるのかな~って思っていますが。。。
おかしな言動ですが、一生懸命に思い出しながら話しています。しかも、何度も繰り返して話ます。内容が前後したり、行ったり来たり、また、いきなり飛んだり、自分が夢を見たときと同じ感じです。ただ、母の場合は、覚えてるということで、現実との区別がつかないのかな~って思いました。
そうですよね、歩かないと足の筋肉落ちてしまいますよね。今度行ったら、マッサージしてあげます。ありがとうございます!
ここまでの回復は本当にスゴイですし、良かったですね~~!!
私も、お母様の言動のおかしなところは、昏睡状態の時に見てた夢と現実がゴチャゴチャになってるのもあると思います。
今まで元気だった人が急に倒れて、数日昏睡状態になっていれば、その時に見た夢と現実が混ざってしまう事ってあり得るでしょうし。
きっと、もっと落ち着いてくれば、言動の方もだんだんと治って来ますよ☆
フルールさんも、フルールさんのお父さん&お姉さんも、お母様に愛情と元気をいっぱい与えてあげていて、家族の温かい愛情と絆でしっかり結ばれているのを感じました。このような家庭で育ったから、フルールさんも優しくて温かい人なんだなと思いました。
フル-ルさんが教えてあげた手のリハビリ方法で、きっとお母様の手もどんどん動くようになりますよ。
頑張り屋のお母様ですから、きっと毎日リハビリを頑張ってるんでしょうね。
本当に、ここまで回復して良かった!!
私も嬉しいです♪
そうですよね~、だって10日間も寝ているじょうたいですから、また、目が覚めたといっても意識はもうろうとしてる状態だったから、夢を現実と思っても仕方ないですよね。そう、思いたい(脳に異常があるとイヤだ~)
昨日の父の報告では、神経科の先生に、「リハビリ、ガンバリマス!!」って言ってたそうです(笑)本当に頑張ってくれると思いますので、頼もしいです☆