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マイナーな話題を扱うことが多いかもしれません。

先軍政治を提言した安保防衛懇

2009-08-04 19:49:28 | おかしな人たち
なにやら、「安全保障と防衛力に関する懇談会」が武器輸出緩和とか集団的自衛権の変更をなど求める報告書を出したらしいが・・・。
・「北朝鮮の対米ミサイル迎撃可能に」安保防衛懇が提唱(1/2ページ)(2009年8月4日 asahi.com)
・安保防衛懇:集団的自衛権見直しを提言、武器輸出三原則も(2009年8月4日 毎日jp)

ま、懇談会自体が政府の影響を受けてるのは否めないとしても、その内容については何気にヤバいものだった。
以下、毎日jp の記事から、この報告書の内容について触れてるところを引用しておく。

---- 以下引用 ----
(中略)
報告書は、大きな柱の一つに、北朝鮮の弾道ミサイルに対する防衛策を設けた。
米国へ向かうミサイルの迎撃以外に、ミサイル警戒に当たる米艦船が攻撃を受けた際に、自衛隊が防護することも認めるよう求めた。

 小泉内閣時代に報告書をまとめた前回の安保・防衛懇(04年)よりも踏み込み、集団的自衛権行使の必要性を明確に打ち出した。
敵基地攻撃能力の保有についても、米国と役割分担を協議する前提で、「検討する必要がある」と明記した。

 武器輸出三原則に関しては、「日本の安全保障上の要請に適合する」場合は緩和すべきだと指摘。
F35戦闘機などを念頭に、世界で進む共同開発から取り残されるリスクが高い点に懸念を示した。

 日本が持つべき戦略として、現大綱で打ち出した部隊や装備に多様な機能を持たせる「多機能弾力的防衛力」に加え、新たに「多層協力的安全保障戦略」という概念を提示した。
日本の安全▽脅威の発現の防止▽国際システムの維持・構築--との3目標を、日本自身の努力や国際社会の協力などと連携させて達成するとしている。

 防衛力の役割としては、「存在による抑止」(静的抑止)から「運用による抑止」(動的抑止)を重視すべきだと提起した。
(以下略)
---- 引用以上 ----

一方、引用してない asahi.com の記事だと「~自民党が先月31日に発表した総選挙マニフェストに沿った内容だ。」と書かれてるが、逆の可能性も考えられなくもない・・・。
で、今度の衆議院選挙で自民党の掲げる政策については↓
・政策BANK(PDF:4.89MB)(2009年7月31日? jimin.jp)

ここでは、『9 外交・安全保障』について(面倒だけど)突っ込む必要がある。
以下、自民党の『政策BANK』から『9 外交・安全保障』の前半部分を引用しておく。

---- 以下引用 ----
(中略)
9 外交・安全保障

日米安保体制の強化と在日米軍再編の着実な推進

日米同盟は、わが国外交の基軸である。
わが国の安全及びアジア・太平洋地域、世界の平和と安定のために、日米安保体制のより一層の信頼性の向上を図り、日米同盟関係を強化する。
また、米国との戦略的な協議や計画検討作業、共同演習・訓練の強化過度を積極的に行い、テロ対策における協力、弾道ミサイル防衛の推進などを引き続き努力していく。
さらに、米軍再編を着実に実施し、抑止力を維持すると同時に、沖縄をはじめとする地元の負担を軽減する。


防衛政策の強化と防衛計画の大綱・中期防衛力整備計画の策定

正確かつ総合的な情勢判断に基づき、時代の変化に迅速勝つ的確に対応した防衛政策を整備・強化すると共に、基地周辺対策を充実させる。
また、そのための裏づけとなる予算。人員を確保し、自衛官の処遇などを改善すると共に、自衛官が敬意と感謝の辺をもたれるよう務める。
なお、本年末の防衛計画の大綱と中期防衛力整備計画は、国防部会・防衛政策検討小委員会の「提言・新防衛計画の大綱について」を踏まえて策定する。


安全保障体制の基盤強化

北朝鮮のミサイルや核の脅威から日本を守るためには、たゆまぬ安全保障体制の強化が必要である。
特に、北朝鮮の弾道ミサイルから日本国民の安全を守るため、同盟国である米国に向かう弾道ミサイルの迎撃や弾道ミサイル防衛で連携する米国官邸の防護などが可能となるよう、必要な安全保障上の手当てを行う。

■新たな脅威や多用な緊急事態への対処能力の強化
弾道ミサイル防衛システムの配備を進め、大規模なテロ・ゲリラへの対策、NBC(核・生物・化学)兵器、新型インフルエンザ対策、、サイバー攻撃対策などを強化する。

■国の安全保障のための防衛産業・技術基盤の維持・強化
国の防衛政策上の観点から国内の防衛産業の技術基盤を維持・強化し、技術開発と共同研究の抜本的な改革を進め、わが国の技術レベルの向上に努める。
(以下略)
---- 引用以上 ----

↑の中で扱われてた『提言・新防衛計画の大綱について』は↓
・「提言・新防衛計画の大綱について」(2009年6月9日 jimin.jp)

実は、集団的自衛権の変更は『提言・新防衛計画の大綱について』の方に触れられていた。
asahi.com の記事で「~自民党が先月31日に発表した総選挙マニフェストに沿った内容だ。」というのは、『提言・新防衛計画の大綱について』も含まれるかと。

ってのはともかく。
この『提言・新防衛計画の大綱について』は、色々酷い内容だったりする。
とりわけ、『5 防衛戦略』の『(2)防衛力の役割』と『(3)防衛計画大綱の位置付け』に書かれてる所は、色んな意味で問題アリだった。
以下、『提言・新防衛計画の大綱について』から、『5 防衛戦略』の『(2)防衛力の役割』と『(3)防衛計画大綱の位置付け』を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
(2)防衛力の役割

1. 各種武力事態への実効性ある抑止と対処
新たな安全保障環境を踏まえれば、現在の防衛計画の大綱(16大綱)で示された三つの防衛力の役割(新たな脅威や多様な事態への実効的な対応、本格的な侵略事態への備え、国際的な安全保障環境の改善のための主体的・積極的な取り組み)や防衛力整備の優先順位の再検討が必要である。
わが国の地政学的基本適正などを踏まえて認識される伝統的な脅威と抑止の効きにくい脅威に対する役割として、[北西・北東・南西海域に渡る]三正面への備えと海上交通路の保護及び各種武力事態に相応性・機動性ある対処が必要となる。

2. 国民の安全・安心確保
国民の安全・安心のためには、国民保護、大規模震災対処、新型インフルエンザなどの感染症対策、民生協力などで関係機関と連携を万全なものとする。

3. 国際及び日本周辺の安全保障環境の構築
自衛隊の国連平和維持活動(PKO)、国連平和構築活動(PBO)や海賊対処などの国際平和協力活動、日本周辺域での訓練などを通じた環境情勢に努める。


(3)防衛計画大綱の位置付け

1. 防衛計画の大綱は、安全保障戦略を受け、防衛力の在り方の指針・運用・整備の基本を示す防衛戦略である。

2. 大綱別表の意義
防衛力の整備(戦力化も含む)は、長期間を必要とする特性と情勢変化への的確な対応の二面性を有しており、16大綱別表は「防衛力の役割を果たす具体的な体制」として具体的な防衛力整備の目標指針としたが、留意事項で「大綱の防衛力のあり方は概ね十年後までを念頭においたもの」と規定していることから10年後の整備目標と解せられ、情勢の変化への対応を重視した整備目標との評価ができる。
今後の別表の検討に当たっては、その必要性を検証すると共に、必要とされた場合には、防衛力整備において防衛生産基盤や防衛技術基盤の維持、防衛力は戦力化に長期間を要することなどを考慮すべきである。

(以下略)
---- 引用以上 ----

日本国民、ね。
この書き方だと、日本国内に住んでる外国の人達はどうでもいいという意図が見え見えなんだけど。
それとも、イザって時には日本国内に外国の人達はいないという想定なんだろうか?

そして何より問題なのは、防衛力の整備と並んで戦力化を持ち出してること。
要は、将来外国で軍事力行使を行う準備を始めるってことだが。
北朝鮮の脅威をことさらに喧伝して防衛力強化を謳う裏で、軍事力行使の意図をチラつかせてるあたりがなんともあくどい。

その一方で、軍需産業への支援策を打ち出してる(P.14)ってのも意味不明。
防衛力強化といい軍需産業支援といい、これじゃまるでどこぞの国の先軍政治じゃね~か。
これは本当に日本(というか世界)のためになるのか?


にしても。
なんたって、政権を握ってる方々は自分達の権力に危機が迫ると「この国が危ない!」とか言い出すんだろうか?
これは日本に限った話ではないのだが・・・。


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