goo blog サービス終了のお知らせ 

flagburner's blog(仮)

マイナーな話題を扱うことが多いかもしれません。

Japan Sport Council's setback about reconstructing the National Olympic Stadium?(Oct 6, 2014)

2014-10-06 21:33:13 | 五輪招致ネタ
現在日本では、2020年夏季五輪に向けて色々準備が行われている。
その中には、東京にある国立競技場の解体→建て替えってのがある。
が、その解体に関する入札で妙な事態が起きてたらしい・・・。
・国立競技場:解体入札やり直し 苦情検討委、公正性に疑義(2014年10月1日 mainichi.jp)

一体全体どういうことなのか疑問に思わざるを得ないこの話。
以下、2014年10月1日分毎日jp『国立競技場~』を全文(略)

---- 以下引用 ----
2020年東京五輪・パラリンピックの主会場として建て替えが予定されている国立競技場(東京都新宿区)の解体工事で、日本スポーツ振興センター(JSC)は30日、工事を落札した業者との契約を破棄し、改めて入札を実施すると発表した。
内閣府の政府調達苦情検討委員会が「入札の公正性などが損なわれていた」として同日、JSCに入札をやり直すよう求めた。

 9月末の予定だった解体着工は、3度目の入札を経て12月中旬にずれ込む見通し。
JSCは新競技場の建設業者を選定後、解体と並行しながら建設工事を来年10月から始めることで、当初の予定通り19年3月の新競技場完成を見込んでいる。

 検討委の報告書などによると、JSCは本来、入札期限(7月16日午後5時)以降に開封すべき工事費内訳書を期限前に開封。
また、落札の上限価格に当たる予定価格も開封作業と並行して決めていた。
検討委は「調達過程の公正性や公平性、入札書の秘密性を損なった」と指摘し、政府調達のルールを定めた世界貿易機関(WTO)の協定違反と認定した。

 解体工事を巡っては、5月の最初の入札で各社から提示された金額がいずれも予定価格を上回り不調に終わった。
7月の再入札では参加資格を解体専門業者に拡大、2工区で延べ13社が参加した。
JSCは「手続きが不適切という認識がなかった。関係者にご迷惑をかけ、深くおわび申し上げる」とのコメントを出した。
【川口 裕之】
---- 引用以上 ----

↓政府調達苦情検討委員会の報告書原文。
・報告書及び提案書(2014年9月30日 cao.go.jp;.pdfファイル)

苦情申し立てを行った側は、WTOが定めた『政府調達に関する協定を改正する議定書(2014年4月16日日本で発効)(PROTOCOL AMENDING THE AGREEMENT ON GOVERNMENT PROCUREMENT)』の第15条第1項に違反してると主張していた。
ちうわけで、2014年9月30日分 cao.go.jp『報告書及び提案書』から苦情申し立てを行った側の主張を(略)。

---- 以下引用 ----
(中略)
(1)苦情申立人の主張

ア 工事費内訳表を調達機関に提出した際,その場で両文書が封入されている封筒を開封し,工事費内訳表の金額を見分して調査した。
開札前に開封されており,入札書の秘密性が害されている。
関係調達機関は,入札保証金が入札額の5%以上でなければならないとする規定が遵守されているかどうかを確認するためと説明するが,開札日前に入札金額が明らかになることは,調達結果を恣意的に細工することも可能であり,入札の公正を害する行為である。

イ 入札説明書12頁(6)の「工事費内訳書は表封筒として入札書を入れた中封筒の間に入れて,表封筒及び中封筒に各々封印をして提出すること。
また,この場合当該紙による入札参加者は開札時に立ち会うこと。」と明記しており, (工事費内訳表を見分した行為は,)これに反した取扱いである。

ウ 関係調達機関は入札公告後,開札日前日の平成26年7月16日に予定価格を決定している。
関係調達機関は,開札前に工事費内訳表から各社の入札価格を知っており,開札前日に予定価格を決定することで,低入札価格該当者や特別重点調査の対象を恣意的に決定でき,入札の公正を害する行為である。

エ 工事費内訳表の開札前の開封及び予定価格の事後決定は,改正協定第15条第1項に違反する。
入札説明書12(6)の手続にも違反している。

オ また,関係調達機関が自ら定めた契約事務規程は改正協定第15条第1項の手続規定であり,貴委員会での検討で参照されるべき規程であるため,当該契約事務取扱規程第5条第1項及び第3項に違反する。
(以下略)
---- 引用以上 ----

↓議定書の日本語版と英文。
・政府調達に関する協定を改正する議定書(2014年3月19日公布分 mofa.go.jp;.pdfファイル)
・PROTOCOL AMENDING THE AGREEMENT ON GOVERNMENT PROCUREMENT(2012年3月30日分 mofa.go.jp;.pdfファイル)

参考までに、mofa.go.jp『政府調達に~』から第15条第1項と英文の対応部分を(略)

---- 以下引用 ----
[以下英文版]
(中略)
Article XV Treatment of Tenders and Awarding of Contracts

Treatment of Tenders

1. A procuring entity shall receive, open and treat all tenders under procedures that guarantee the
fairness and impartiality of the procurement process, and the confidentiality of tenders.
(以下略)

[以下日本語版]
(中略)
第十五条 入札書の取扱い及び落札

入札書の取扱い

1 調達機関は、全ての入札書を、調達の過程の公正性及び公平性並びに入札書の秘密性を保証する手続に\従って受領し、開札し、及び取り扱う。
(以下略)
---- 引用以上 ----

英文側でも割と曖昧な表現にとどまってるのは、入札方法ごとに細かく指定するわけにいかないって事情があるんだろうけど・・・。
公正性と公平性をどう判断するのかって所には色んな解釈の余地がある条文だわな。


・・・話を戻す。

この苦情申し立てに対する JSC側の弁明は、色んな意味でコメントに困るものだった。
ちうわけで、2014年9月30日分 cao.go.jp『報告書及び提案書』から工事費内訳書を期限前に開封した理由に関する JSCの弁明を(略)

---- 以下引用 ----
(中略)
(2)関係調達機関の主張

ア 入札書と工事費内訳書のうち,工事費内訳書について,開札日の前日(7月16日)に確認していることは事実である。
この取扱いは,「一般競争入札方式の手続について(平成7年5月22日付け7施指第27号文部科学省大臣官房文教施設部指導課監理室長通知)」6(4)において「積算担当者は,入札価格の内訳書提示状況調書を第1回の入札前までに作成すること。」とされていることからも,制度上,当然予定されている取扱いである[引用者注1]。
※関係調達機関提出資料によると,本件調達における各入札者の工事費内訳書を開封した日時は,平成26年7月16日11時以降,入札書及び工事費内訳書の提出期限である同日17時より前に開封している。

イ 工事費内訳書の開封に当たっては,別室において,個別に,入札者の立会いの下,開封する担当官を限定し、開封後には直ちに金庫に入れることにより,厳重管理していた。

この取扱いは,本件調達だけでなく,従前から行われている(なお,従前の入札はいずれも「政府調達」に該当しない小規模な工事についてのものであったため,入札書(封筒に入れて封印)と工事費内訳書(封筒に入れない)を開札日当日に持参して提出する扱いとされていたが,関係調達機関が入札書開封前に工事費内訳書を確認するという点で共通の扱いである)。

エ 「工事費内訳書の提出期限等について(平成17年8月26日付け十七施施企第9号文部科学省大臣官房文教施設企画部施設企画課契約情報室長通知)」(以下「文科省通知」という。)2(1)では「入札書及び工事費内訳書の提出期限は,開札日の前日とする。」とされ,同(3)では「工事費内訳書の確認は,工事費内訳書の提出期限後直ちに行うことができる。」と定められている[引用者注2]。

オ 予定価格は,設計会社が積算した金額を,関係調達機関のコンピュータ上のシステムに入力することによって,自動的に積算されるものである。
すなわち,設計会社による工事費の積算が完了した時点で,予定価格は事実上決まっている。
本件調達では,平成26年7月15日の午前中に,設計会社から関係調達機関に対し,工事費積算の結果がメールにて送信されており,遅くと
もこの時点で,予定価格は決まっている。
※関係調達機関は,意見陳述会において,平成26年7月16日昼過ぎに内部決裁を了し,予定価格を決定した旨を述べている。
なお,当日,工事費内訳書を開封した担当者と,予定価格の決定に係る決裁手続を行った担当官は,いずれも関係調達機関管理部調達管財課内の者であるが、両者は明確に区別されている旨の説明もあった。
(以下略)

引用者注1:・一般競争入札方式の手続について(2003年3月19日最終改正分 mext.go.jp)

引用者注2:・工事費内訳書の提出期限等について(2007年9月19日最終改正分 mext.go.jp)

---- 引用以上 ----

以前から行われてた、か。
ということは、WTOの改定議定書が発効してなければ入札書と工事費内訳書の事前開示が「アリ」となってた可能性があるってこと?
だとすると、入札って何だろうねと思わざるを得ない事例だわな。

というか、JSCはWTOの改定議定書の存在を知ってたのかという疑問もあるわけで。
仮に知らずに入札書と工事費内訳書の事前開示をやってたら、入札手続きに関する規則を調べるのを怠ったのは否めないし。
逆にそれを知ってたとすれば、もっと深刻な事態というべきか・・・。

一体どうしてこうなった。


なお、政府調達苦情検討委員会の報告書では、入札書と工事費内訳書の事前開示以外の苦情申し立てを全て斥けている(苦情申し立ての適法性については一部が却下されている)。
JSCにしてみれば、WTOの改定議定書がなければ・・・という心境なのかもしれない。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。