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Reviving "FDR: The Other Side of the Coin"?(Dec 14, 2014)

2014-12-14 21:12:52 | おかしな人たち
今回は小ネタ。


太平洋戦争に関して時々見かける論の1つに、「米国が日本に戦争を仕掛けさせた」というのがある。
この論に絡めて、3K新聞が妙な論説を書いていた・・・。
・「歴史修正主義」という日本叩き 真珠湾攻撃73年 民族の歴史を公平に見たい(2014年12月12日 sankei.com)

上の論説では、『ルーズベルトの開戦責任(FDR: The Other Side of the Coin)』(故ハミルトン・フィッシュ(Hamilton FISH, Jr)著、渡邊 惣樹 訳:2014年)という本を下敷きに「米国が日本に戦争を仕掛けさせた」という説を色々述べている。
ただし、bogus-shimotukareさんによると、この本は22年前に『日米・開戦の悲劇:誰が第二次大戦を招いたのか』 (岡崎 久彦訳、1992年、PHP文庫)というタイトルですでに出版されている。
・今日の産経ニュース(12/12分)(追記・訂正あり)(2014年12月12日 bogus-shimotukareの日記)

話を戻す。

件の論説では、故FISH氏の著書を紹介する前に、「現代における歴史戦の状況」と称して妙なことを書いていた。
以下、2014年12月12日分 sankei.com『「歴史修正主義」という~』から序盤部分を(略)

---- 以下引用 ----
(中略)
プロパガンダ戦として

 本を紹介する前に、現代の状況を見ておこう。
昨年から今年にかけて、「歴史修正主義(リビジョニズム)」という言葉に触れる機会が多かったことと思う。
たとえば今年3月、ニューヨーク・タイムズ(電子版)は「安倍首相の危険な歴史修正主義」という社説を掲げた。
「首相の修正主義的な歴史の利用は、東シナ海や南シナ海の領土紛争での中国の攻撃的な姿勢でもめているこの地域にとって、危険な挑発である」などとするものだった。

 ニューヨーク・タイムズは露骨な反日的論調で知られる。
この社説は、慰安婦問題で日本が過去に行った韓国女性への謝罪を撤回するかもしれない、などと事実誤認も含んでいたから、日本政府が抗議し、そのくだりが訂正されたものが現在の電子版には載ってる。
しかし見出しは変わっていないし、趣旨もそのままである。

 一連の慰安婦問題ではっきりしたように、捏造(ねつぞう)された、誤った歴史は修正されなければならない。
しかし、誤っていてもその歴史が都合のいい側には、それを修正しようとする動きに「歴史修正主義」のレッテルを否定的に貼る。
このようなレッテル貼りは、日本たたきというプロパガンダ戦の性格をも帯びる。

 ニューヨーク・タイムズに限らないのだ。
6月の河野談話検証チームの報告に関して韓国・中央日報(電子日本語版)は「日本の歴史修正主義の動きは国際社会で孤立と逆風を招くだけだ」とした。
国外だけではない。
朝日新聞は終戦の日の前の社説で、首相が昨年の全国戦没者追悼式で「アジア諸国への加害についていっさい言及しなかった」ことに触れ、「歴史書き換えの一歩が潜んでいるのではないか」とした。
自社慰安婦報道の検証の後にして、なおこの書きぶりである。
重ねて言うが、誤った歴史は書き換えられなければならない。
(以下略)
---- 引用以上 ----

捏造された歴史、か。
この後紹介されてる故FISH氏の著書の内容を踏まえると、皮肉極まりない表現でしかないわけだが・・・。

ともあれ、この後、件の論説では、故FISH氏の著書における「米国が日本に戦争を仕掛けさせた」という論の根拠を紹介してたのだが・・・。
以下、2014年12月12日分 sankei.com『「歴史修正主義」という~』から中盤部分を(略)

---- 以下引用 ----
(中略)
「戦争望んだ」ルーズベルト

 さてフィッシュの本である。
この書物も、ルーズベルト外交に正当性を見る歴史家からは「歴史修正主義」のレッテルを貼られているという。

 だが、フィッシュの語る内容は刺激的である。
アメリカが日本を追い詰めて開戦に至らせたという見方はこれまでもいわれていたことなのだが、そう主張する元の文章に改めて当たると、「正当性」をもって語られてきた歴史が一方的なものであることがわかる。

フィッシュによると、ルーズベルトは国民に対しては「外国での戦争で戦うことは決してない」と繰り返しながら、実際は戦争を望んでいた。
その理由については推測の形でしか述べられていない。
ルーズベルトが展開したニューディール政策が失業者を減らせなかったので戦争によって失業者を救済しようとしたのか、など。
しかしルーズベルトが戦争を望んでいたとは、繰り返しフィッシュは断言する。
その口調はときに激烈である。

 「あの戦いの始まりの真実は、ルーズベルトが日本を挑発したことにあったのである」

 「FDR(ルーズベルト)の行為は反倫理的である。FDRは狡猾(こうかつ)で、抜け目のない政治家だった。ホワイトハウスに居座って、真珠湾攻撃の日は『恥辱の日』などと演説し、すべての責任を日本に被せたのである。今にして思えば、まさにプロパガンダの茶番劇であった」

 「近衛(文麿)首相は和平を希求していた。(略)しかしルーズベルトは近衛との会見を拒否し続けた。日本に戦争を仕掛けさせたかったのである。そうすることで対独戦争を可能にしたかった」
(以下略)
---- 引用以上 ----

単に故FISH氏の推測じゃね~か(汗)。
ここから「「正当性」をもって語られてきた歴史が一方的」云々と素面で書ける神経が信じられんわ。
故FISH氏の推測の元となった状況証拠はないわけじゃないとはいえ、論理の飛躍を何回も行わないとこういう論をカマせないっての(呆)。

そして、問題の論説の終盤には、色んな意味で頭を抱えたくなる陰謀論が・・・。
以下、2014年12月12日分 sankei.com『「歴史修正主義」という~』から終盤部分を(略)
読んだ後で、冷凍庫に残ってるかもしれないアイスをヤケ食いしないように!(謎)

---- 以下引用 ----
(中略)
アメリカによる「洗脳」

日本の降伏後、アメリカはいわゆるウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム(戦争の罪を知らしめる計画)により、日本の戦争は悪であったというように日本人を「洗脳」していく。
日本人自身による日本の卑下、罪悪視などという、現在になお大きく残る日本の左傾傾向は、そのような由来を持っているのである。

 民族の歴史を公平に見ようとすることは、修正主義でもなんでもあるまい。
戦後の一方的な偏りを脱して公平に過去を見、非とすべきは非とし、是とすべきは是としたい。
それが独立国たるものの態度というべきだろう。
またその態度があって、外国との対等な関係も築けるものだろう。
フィッシュはいっている。

 「日本人はあの戦いを最後まで勇敢に戦った。二度と米日両国の間に戦いがあってはならない」 
(大阪正論室長)   =随時掲載します
---- 引用以上 ----

ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム・・・(汗)。
一体何を食ったら、こういう説を平気で喧伝できるんだろうか?

だいたい、故FISH氏による「日本人はあの戦いを最後まで勇敢に戦った」を引用したのは、太平洋戦争というか15年戦争(もっと書けば明治維新以降の帝国主義的政策)を正当化する意図があるとしか。
これこそ、件の論説で言う所の歴史の捏造じゃね~の?


なお、3K新聞の論説によると、故FISH氏の著書におけるルーズベルトを難ずる筆致の激しさは「ルーズベルト演説に対応して参戦を認めた自分の演説を、強く恥じている」ことが原因らしい。
ただ、故FISH氏がそれに至ったのは、もう少し複雑な感情があるようだが・・・。
・The Gazette and Daily from York, Pennsylvania · Page 14(1944年12月12日? newspapers.com)

参考までに、newspapers.com『The Gazette and Daily from York~』から、米国議会下院選で落選したことに関し故FISH氏が述べた部分を(略)
ただし、newspapers.com に掲載されてた文章は、OCR読み取りの結果であるため誤字が多発してる可能性を頭に(略)

---- 以下引用 ----
(中略)
All E. W. Workers Ham Fish Assails Governor Dewey In farewell speech to House, arch-isolationist blames New Deal, Moscow, $400,000 and Gov. Dewey for defeat.
Says he isn't anti-semitic but stands by snide election remark.
Washington, Dec. 11 P)
Rep. Hamilton Fish (R., N. Y.) declared today in the House "it took most of the New Deal administration, half of Moscow, $400,000, and Governor (Thomas E.) Dewey to defeat me."
In a farewell speech, Fish, unseated by Augustus W. Bennet, placed the major blame on the Republican presidential candidat .
saying: "I am confident that I would have been able to overcome all efforts to purge me if it had not been for Governor Dewey's intolerant and false statement denouncing me as un-American."
"I am convinced," he asserted, "that his stupid and colossal blunder, for selfish political purposes, was the direct cause of my defeat, as well as his own, and may have kept the Republicans from electing a majority in the House of Representatives."
He said Dewey had characterized as un-American his remarks that a "majority of the Jewish people would vote for President Roosevelt and the New Deal."
Declaring he "bitterly resented this characterization, he asked: "Since when it is un-American to tell the truth or mention the word Jew, any more than the words Christian, Irish, Italian, Pole, or Negro?"
(以下略)
---- 引用以上 ----

ルーズベルト憎しで陰謀論に走ったのか?


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