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全部「反日感情」のせい?御冗談を・・・(Jul 13, 2013)

2013-07-13 22:52:58 | おかしな人たち
今年のことになるが、天下のヤマダ電機が中国の南京(Nanjing)と天津(Tianjin)の2店舗を閉店した。
・ヤマダ電機が中国の天津店を閉鎖、南京店に続き(2013年6月6日 jp.reuters.com)

この理由に関して、「中国の反日感情」とか「現地企業の嫌がらせ」云々なんて言ってる人がいたのだが・・・。
・ヤマダ電機"撤退"決意!中国「卑劣 日本企業イジメ」 vol.1(2013年7月11日 taishu.jp)
・ヤマダ電機"撤退"決意!中国「卑劣 日本企業イジメ」 vol.2(2013年7月12日 taishu.jp)

読んでて頭が痛くなった上の記事。
vol.1 では、ヤマダ電機が南京店舗閉店を決めたプレスリリース[参照、.pdfファイル]をネタにして、中国ウオッチャーの第一人者(・・・)と称する宮 正弘(Masahiro MIYAZAKI)氏が妙なことを語っていた。
以下、2013年7月11日分 taishu.jp『ヤマダ電機~』から中盤部分を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
同社の資料には、南京店の閉鎖理由について、「中国国内における家電市場環境の変化に加え、サプライチェーン(商流・物流)の構築が十分できなかった」と記されているだけ。ただ、同社に近い人物によれば、「これは現地で、必要な商品を納品してもらえなかったことを意味している」というから驚きだ。

中国ウオッチャーの第一人者である宮 正弘氏は、こう分析する。
「ヤマダ電機は3号店の南京を足がかりに、中国最大の都市・上海進出を目論んでいた。ところが、昨年9月に反日デモが発生。そもそも南京は、戦時中の南京事件の舞台。中国共産党が日本軍の残虐行為をデッチ上げ、プロパガンダに躍起です。必然、反日感情が強く、それが業績不振に結びついた面もある

また一部新聞は、ヤマダ撤退の原因を中国の家電量販大手「蘇寧電器」の存在にからめて報じている。
「蘇寧電器は深圳株式市場に上場し、中国の民間企業で第3位の規模を誇る。その実績から、同社の張近東CEOは、中国共産党と企業の"連携"組織である政治協商会議委員でもある。その蘇寧電器の本社は南京。政府の後押しで、ヤマダ電機にプレッシャーをかけたことは、十分に想像できます」(宮氏)

ヤマダ電機の南京店がオープンして約9カ月後、すぐ隣りに、ヤマダの1・5倍の売り場面積を誇る蘇寧電器の旗艦店が突如、オープン。
しかも、同社はラオックスを買収していたため、日本の家電量販店のノウハウを熟知していた。

結果、ヤマダ電機の持ち味は、一挙に色あせてしまったのだ。
ヤマダの岡本 潤副社長(当時)は記者会見の席で、"現地企業のジャマがあった"と発言しています。現地企業とは蘇寧電器を中心に、その他、蘇寧に連なる企業体のようです」(経済部記者)
(以下略)
---- 引用以上 ----

しかし、ヤマダ電機は南京に出店することのリスクはそれなりに承知していた。
・【ヤマダ電機】“日本サービス”で流通革命成るか(2012年5月24日 bizpresso.net)

参考までに、2012年5月24日分 bizpresso.net『【ヤマダ電機】~』から、山田電機(中国)投資有限公司総経理こと稲田貞夫(Sadao INADA)氏の発言部分とかを(略

---- 以下引用 ----
(中略)
今回、ヤマダ電機が出店先に選んだ南京は、中国家電量販店トップの蘇寧電器の本社がある同社の“牙城”だ。
最大のライバルである国美電器が最後に進出した都市とも言われる。
ヤマダ電機の南京出店に首を傾げる日系メーカー関係者は少なくなかったようだが、これはヤマダ電機の深慮遠謀と言える。

ヤマダ電機の現地法人、山田電機(中国)投資有限公司の総経理、稲田 貞夫氏は、「日本の小売業を誘致したい南京市政府のラブコールに応えたかたちだ。今回のオープンは多少の混乱も覚悟していたが、地元政府のご支援もあり、3店舗の中で一番楽なオープンとなった」と振り返る。

既存の瀋陽店、天津店も地元政府の強い後押しがあって出店が実現している。
中国でガバメント・リレーションズが重要なことは常識だが、これを守れずに苦戦している日系スーパーもある。
セオリーに忠実な同社の戦略は、いまのところ成功していると言えよう。

もうひとつの深慮遠謀は「厳しい環境」だ。「南京の中でも新街口は蘇寧電器の旗艦店がある最激戦区。そこに敢えて出店し、蘇寧からいろいろ勉強させてもらうという気持ちでいる。また、こうした厳しい環境でも勝てる店作りができれば、中国のどの都市に出ても怖くない」と稲田氏は述べる。

南京の最激戦区に飛び込み、自らを鍛え、今後の多店舗展開に備える同社の大胆な戦略には、2011年3月期に売上高、利益ともに過去最高を叩き出した日本最大手の自信と矜持を感じさせる。
(以下略)
---- 引用以上 ----

つまるところ、相手のホームで無理矢理戦おうとしたってことだ。
それを一切無視して、「蘇寧電器の旗艦店が突如、オープン」と平気で書いちゃう taishu.jp は相当間が抜けてるとしか。

つか、南京の店舗閉鎖を発表した際「現地企業のジャマがあった」という岡本副社長(当時)の発言は、上記のリスクを承知で南京出店を決めたヤマダ電機上層部の責任を回避する意味合いが強いかと。
更には、本当の失敗原因について分析がいいかげんになる、という面も・・・。
・ヤマダ電機が中国で受け入れらず撤退に至った理由(2013年5月16日 chinabusiness-headline.com)

chinabusiness-headline.com の記事では、ヤマダ電機のサービスが中国の人達の求めてるものと合ってないと指摘していた。
以下、2013年5月16日分 chinabusiness-headline.com『ヤマダ電機が~』から前半部分を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
ヤマダ電機は中国の家電量販メガプレーヤーの蘇寧、国美を相手に差別化を図ろうと勝負したのですが、その差別化とは、(1) 商品買取式、(2) 会員制、の二つです。

[商品買取式と会員制に関する説明を書いた表]

 この2つはいずれも中国にはあまり見られない形態ですが、中国では規模と価格が決定的な要素で、それ以外は議論するに値しないという人がいるくらい価格に対して敏感であります。
「価格も大事だが、サービスを付加価値として提供することは受け入れられるはずだ」という考え方はサービス業でよく見られ、その考え方はわかりますし、実際にそれがうまくいっている事例もあろうかと思います。

しかし残念ながら家電量販はまだまだ価格というものが最も重視されるのが現状であるといえそうです。
外資の場合は後発組なので当然小さい規模からスタートするのですが、小さいがゆえ購入量が少なく、サプライヤーに対する価格競争力も弱いという問題があります。

また、商品買取式は販売価格の主導権を取ることはできるのですが、サプライヤーに店舗賃料や内装等の費用を転嫁することができないうえに、自腹で購買員を雇用し、店員を雇用し、商品ロス等をかぶり、要するに小売商(店舗側)が多くのリスクを抱える形になっています。

一方で、中国の家電量販店は、出店コストをサプライヤーに付け替えたりすることでコストをおさえ、蘇寧や国美は短期間の間で全国展開することができています。

結局のところ規模の違い、そしてそれに伴う購買コストの違い(小売価格に転嫁)から、価格競争力で負ける、あるいは薄利に終わってしまうのが今までの外資家電量販店の負けパターンといえそうです。
(以下略)
---- 引用以上 ----

「反日感情が~」とか「現地企業の妨害」云々が中国での事業失敗と言い張ってるうちは、上記の指摘が受け入れられることはないんだろうけど・・・。
進出先の人達が何を求めてるかについてろくに調べないのは、ある意味日本企業の悪癖なのかもしれん。
この辺りは、コールドジャパンもといクールジャパン計画に通じるものがあるけど・・・。

それを象徴するもう1つの事例は、去年10月に上海(Shang-hai)に出店した高島屋の惨状だとか。
・2013年4月17日(火)午後5時20分。上海高島屋に客の影がない!(2013年4月17日 kosuke-ogawa.com)

上の記事を書いた小川 孔輔(Kosuke OGAWA)氏は、上海の高島屋を(元大学院生と)直接見て回った後で問題点を色々指摘していた。
以下、2013年4月17日分 kosuke-ogawa.com『上海~』からその部分を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
#1 テナントの構成が、日本橋高島屋とほぼ同じ。
このランクの商品で、いまの上海人の富裕層に驚きを与えることはできない。
上海伊勢丹が現地で20年近くの歴史を持っている。
高額なファッションブランドが買える場所は、市内のいたる所にある。
そういえば、欧州の有名ブランドはほとんど入店していない。

#2 推計で日本人駐在員家族が2万人。
海外駐在員5万人が、この近くに住んでいる。
しかし、駐在員の家族は、虹橋空港から羽田まで3時間で帰れる。
日本橋高島屋に同じ商品が置いてある。
値段も高いから、ここで買う必要性はない。
中国人の富裕層は、ここには来ないだろう。

#3 売れていないのは誰が見てわかる。
だから、かつて成都に進出して苦労したイトーヨーカ堂のように、どうにかしようと社員達が「もがく姿」が見えるものだが。
この売り場からは、そうした必死さが伝わってこない。
どうしたことなのだろう。
現場が方向感覚を失っている。

#4 中国の政治状況と環境変化を読み違えている。
習近平体制になり、政府は腐敗防止に神経質になっている。
贈賄にあたるギフト需要は冷え込んでいるのだ。
中国都市部の高級百貨店の売上の半分は、「賄賂」需要である。
景気の悪化ととも、「袖の下」の売り上げは消えかけている。
高島屋の経営陣は、この現実を見ていない。
(以下略)
---- 引用以上 ----

ここまで来ると、中国での事業失敗の理由として「反日感情」云々を持ち出す以前の問題としか・・・。


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