「日輪」 永田 紅 (砂子書房)
先日、ちらりと書きかけたままになってました。
永田紅さんの第一歌集です。
紅さんの歌集を読むのは初めてで…というよりも。
紅さんの歌をきちんと読んでみたいと思って、それなら第一歌集から、という判断で手にしました。
紅さんの歌を読みたいと思った理由については、また後に譲るといたしまして。
…ただ、私が河野裕子ファンなので、というのは全く関係ありません。
率直な感想は、どうして、もっと早くに手にしなかったんだろう…でした。
逆に、それこそ、河野さんのお嬢さんだから、手に取ることがなかったのかも知れません。
馬場あき子さんが帯に「気宇の大きい、思い切った命名」と書かれたタイトルこそ、私には仰々しく感じられましたが。
それに反して中の歌は、その時その時の、等身大の紅さんを想像することができ、自然で身近に感じました。
多少京都に土地勘があったり、(一緒にしては申し訳ないのですが)中高6年間理系の部活をしていたので、共感するところもあり、懐かしさもおぼえました。
印象に残った歌を引かせていただきます。
骨格の内に林を育てきつ 自分を説明する人きらい
耳も尾も白くなりたり死ぬときに冷たいというより色が退(ひ)くこと
今日君と目が合いました指先にアセチルコリンが溜まる気がした
寝ることは癒えることなり沼の縁しずかに光り死に近づくも
目が覚めてもう会えないと気づく でも誰のしずかな鎖骨だったか
対岸をつまづきながらゆく君の遠い片手に触りたかった
季節ごとに人の記憶をふりわける定規に鈍く数式透けて
減りてゆくkBq(キロベクレル)の晩夏なり陽は永遠にとどかざりしも
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