歌よみもどきの書

歌詠み「もどき」のあかんたれが吐き出す、短歌になりきれない五七五七七の羅列です。

見舞ひて詠める

2016-01-31 | 五七五七七

人生は計画通りといふ人の右の手首にバーコードあり

何となく柔和になれり知らぬ間に還暦超ゆる人の横顔




新年早々、人工股関節の置換術を受けると年賀状に書かれていたS氏。
気にしていたら、超久々にブログが更新されて(爆)、術後の経過もよくヒマそう(ご本人は「窓の外の工事現場見てたら退屈せん!」と言われてました^^;)なので、主人とお見舞いに行きました。
まだリハビリ中ですが、以前よりスムーズに歩かれていて安心!
「もっと早ぅに受けたらよかったのにw」
と言うと、
「20年くらいしかもたんから、タイミングみとってん。
再手術の前に寿命がつきる予定やねん。」
とか。^^;
もう還暦超えたはったのね。
お世辞抜きで、出会った頃から変わらんのでちょっとオドロキました。
で、そういう目で見たら、昔から愛想のいい人ですがそのニュアンスが「ニコニコ」から「柔和」にならはったかも。
何はともあれ、お元気そうで何よりでした。


角川『短歌』2月号 (追記あり)

2016-01-30 | 学習ノオト

「結社」特集の12月号ぶりで、角川「短歌」2月号を買いました。



きっかけは阿波野巧也さんのツイートです。




私儀、
「裾野」に住んで十余年!?(爆)
裾野に住む自覚がある者として目を通しておこうかな、と。
(ま、裾野の居心地がいいのもあるのですがね。^^;)

気になってググったら、特集が「推敲」で。
これは、神様が「ちょっと勉強せい!」て言うたはるに違いない!と。(大げさ)

で、以下は、とりあえず(全部読めてません。木曜日に買ってやっと開いたレベル^^;)の感想を。


歌壇時評:
<近代>へのアクセス/永井祐の「人間」 (阿波野巧也)
・高瀬一誌のくだりが私には難し過ぎたけど、他は述べられていることに頷けました。
・確かに「人間」という言葉の共有は難しそうやけど、裾野住人としてはそれを自分なりに意識するだけでも1歩前進かと。
・私自身は裾野住人ではあるけど、「今のライト層」になるのかよく分からず。
・結社や歌会という「場」に遠い(物理的なでけでなく心理的にも)なら、「本」「書店」で頑張らんあかんあと思います。


特別企画:
現代短歌は今ー全国歌人の声『短歌年鑑』アンケートより
・上の阿波野さんの時評の絡みもあって、興味深く読めました。
できれば、全員の回答を読んで見たいです。

*追記*
自分の為の備忘録として、気になる箇所のみ抜き書きして留めます。
( )内は回答者名(敬称略)

・外からの目。理解されること、詩情があること。(青木春枝)
・慣用語や俗語、概念語や主情語が多く必然的に報告や説明の歌で終わる。(安部尚子)
・時代の把握と理念や感情との折り合い。(五十嵐順子)
・短歌は本来、何らかの刺激を受けた対象やその変化、事象に遭遇した時、偶発的に生じる心の揺れを言葉に変えて成立する。(伊勢方信)
・「命がけの嘘」(植松法子)
・「短歌擬(もどき)」(江田浩司)
・受け取る側の存在も大切にする。(遠藤由季)
・日常言語の手ざわりをそのまま定型に導入し新たな叙情を作り上げる。(大辻隆弘)
・写実のみにとどまらず体性感覚で表出。(岡田恭子)
・<ただごと歌>(奥村晃作)
・喋り語短歌(小嵐九八郎)
・百パーセント解ってしまう歌よりある部分に解らない空間があり、そこに少しだけ美しさが閉じ込められているような歌。(阪森郁代)
・「文学は実学である」(柴田典昭)
・文語:韻律の美しさ。日本的感性の源流につながり得る。(高山鉄男)
・歌本来のもつ調べ(韻律)を生かすことを見直すべき(中西洋子)
・「国文法」と「日本語文法」(松村正直)
・瞬発力のある歌と五感で読み解かせるような匂いや手触りのある歌(松本典子)







推敲特集:
歌が見違える!
とっておきの見直し方
・言うは易しするは難し、ではあるけれど、このテの特集は勉強になります。
・私も「数日寝かせる」派で以前は断然紙派でしたが、運転中や料理中にひらめいた「欠片」をsiriたんにメモってもらって、その後スマホorPCという紙以外でも作れるようになりました。
紙以外は過程を残さないのですが、過程を残すのも面白いし大事なのかと考え直してます。
・何人かの方が、推敲の過程を上げられてて、興味深く読みました。
(さすがにネタバレはやめときます。)


31文字の扉
第二回ー詩歌句の未来を語る
・わ!こんな連載始まってたんやw
いつも巻頭カラーから読まへんのやけど(目的の特集から読む派です)、岡井さんやったこともあってひきずり込まれてしまいました。
・「雪」の題詠いいです!!
1首目のお歌、すごく好きになりました。
私も「理由なんてなくつてもいい」で作りたくなりました。

最後に、岡井さんのお歌引かせていただきます。




「雪」

理由(わけ)なんてなくつてもいい 冬草を淡くいろどつて雪よ降り来(こ)

雪のもつ雨と異(こと)なる性格をわたしはふかく愛してはゐる

わたくしの意思を嗤(わら)つて雪はいま強い香(かを)りを踊りつつある

     岡井 隆


雪降りて

2016-01-29 | 五七五七七

早朝に見つけたる
朝まだき雪をたよりに降り来たる黒き天使の足跡いとし


雪の里の画像送らるる
あづさ弓はるけき里に積もる雪 凍てる山の端たをやかに陽さす


「富士には、月見草がよく似合ふ。」
天使には真白き雪がよく似合ふ 太宰をかこつは満更でもなし





仕事にふと思ふ

2016-01-23 | 五七五七七

「草枕」(*1)の冒頭浮かぶ起き抜けは鏡に向かひて口角上ぐる 


けふも声上げ見聞き読み書きをしつ無言語のもの(*2)の真逆で足掻く


格好や解釈つけずひたすらに咲く花気負はず辺りを照らす





好き!やりたい!でしている訳ではなく。
さりとて、嫌々しているものでもなく。
家業従事で二十年余。
仕事って、少なくとも私の仕事って、こんな感じなのかと。
これからも、粛々と。







優れた短歌ではないので注釈をつけます。^^;


*1:夏目漱石「草枕」の冒頭を引用(全文を読みたい方は青空文庫へ)
 山路を登りながら、こう考えた。
 智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。

*2:佐野陽光氏のインタビュー記事(クックパッドを作り上げた佐野陽光の事業哲学と技術論)より引用
僕の好きな言葉に、優れたドアノブは押せばいいか引けばいいかがすぐにわかる、があります。
優れたモノは無言語なんです。
説明が必要なサービスはレベルが低い。
何も説明なしで機能が果たせる。
それを目指さなければいけないと思っています。


ご安全に!

2016-01-12 | 五七五七七

平成28年1月8日夜、逝去と聞けり
闘病といふ言の葉の似合はぬまま橋内部長の訃報届きぬ


平成25年4月の花見を想ひて詠める
「嫁はんを借りるぞ」
「煮るなと焼くなと」夫(つま)(こた)
海津大崎遠き光景




恰幅も飲み振りも良き人の文字几帳面に今も並びぬ




家族のみの弔ひさるると聞きしかば桜の写真に献杯しけり




平成28年1月12日朝礼にて
朝礼にて黙祷捧ぐ経文より「ご安全に!」の似合ふ故人に




享年69歳
シュウちゃんが「デビッド・ボウイと同じや」と言ひてやうやういつもに戻る








第一印象は剛気なイメージですが、繊細でマメな方でした。
現場ではいつも何かとお気遣いいただきました。
接地抵抗値の報告書の書き方を教えていただきました。
私のあほ~な疑問にも馬鹿にせず逐一付き合ってくださいました。
11月にお会いしたのが最後になりました。
ご一緒できてよかったです。

ご冥福をお祈りします、と言うのが似合わはらへん気がします。
てか、なんか、亡くならはった気ぃしません。
せやし、黙祷の時も、いつもの朝礼の〆みたく「ご安全に!」て思ってました。



ありがとうございました!