鍼灸治療ですが、今回の発表は頸部ジストニアに関しての研究です。
ジストニアは中枢神経の機能の異常と考えられているので、鍼灸治療は対症療法ではないと考えている先生や患者さんが多いのはわかりますが、実際には本人の満足度の高い場合が多いので、鍼灸治療はやってみる価値の高い治療だと思います。
最後に本文を掲載しますね。
.........................................................................................................
ジストニアという病気は、筋肉の緊張の異常によって様々な不随意運動や肢位、姿勢の異常が生じる状態をいいます。
せっかくの機会なので私も復習を兼ねて、ジストニアについて基本的なおさらいをしてみました。
特発性捻転ジストニア
原因不明のジストニアで、6〜12歳で発症し、筋肉に異常な収縮がゆっくりと起きて、体がねじれたり回転したりします。
持続性の書痙(しょけい:字を書こうとすると、手に筋けいれんが起こる病気)
の中にはジストニアによるものがあります。
眼瞼けいれん
まぶたが繰り返し不随意に閉じるジストニアです。ときには当初は片方の眼だけに起こることもありますが、最終的には両方の眼に起こります。眼瞼けいれんは視力を大きく損ないます。
痙性斜頸
首の筋肉に起こるジストニアです。
痙性発声障害
発声を制御する筋肉が障害されて障害がおきます。
体のどこかに本態性振戦が起こります。
声帯の筋肉がけいれんすると声がまったく出なくなったり、話す声がひずんだり、ふるえたり、かすれたり、ささやきになったり、甲高くなったり、途切れたり、不明瞭になり理解するのが困難になります。
イップス
一部のゴルファーが経験するジストニアの1種で、筋肉がれん縮します。手と手首の筋肉が自然に収縮するために、ゴルフのパッティングなどがほとんどできません。
その他、音楽家(トランペット、サックス、バイオリン、ピアノ、ギター、チェロなどの奏者)、専門職(塗装工、車整備士、作家、タイピスト、パソコンのプログラマー、理容師など)、スポーツ選手(ビリヤード選手、ダーツ選手、ゴルファーなど)にもジストニアが起きることがあります。
遅発性ジストニア
精神疾患に用いる向精神薬の影響で出現するジストニア症状です。
ジストニアの治療はまず原因と考えられる業務から離れることが重要だとのことです。
治療としては、抗コリン剤や筋弛緩剤の内服や、ボツリヌス毒素製剤の局所注射、局所麻酔薬とアルコールによるブロック注射などが用いられます。
作業訓練法による治療法があります。「脳深部刺激手術」と呼ばれる身体の動きに係わる脳の部位に電極を刺して、電気信号を送り筋肉の過度の収縮を抑える治療法が効果を上げているそうです。
.........................................................................................................
■理学療法と組み合わせ 顕著な改善例も
脳の神経系の何らかの障害によって筋肉が不随意に収縮を続け、身体にねじれやゆがみが生じて自分の思い通りに動かなくなる難治性疾患「ジストニア」。原因が未解明のうえ、個々の症状の違いが大きく、治療も対症療法しかないのが現状だ。そうしたなか、関西医療大学神経病研究センター(大阪府熊取町)で同大保健医療学部の鈴木俊明教授が開発した理学療法と経絡(けいらく)、経穴(けいけつ=ツボ)の概念を組み合わせた鍼(はり)治療法が、静かな広がりを見せている。(服部素子)
「ジストニアは、中枢神経系の障害に起因する運動異常症の症候名。その症状は、首が傾く頸(けい)部ジストニア(斜頸)や、文字を書こうとすると手が震える書痙(しょけい)など異常な姿勢や動きとして現れます。しかし、MRI(核磁気共鳴診断装置)でも異常がみられず、診断も非常に難しい」と鈴木教授は話す。
理学療法士である鈴木教授が、ジストニアへの鍼治療に関心を抱いたのは十数年前、頸部ジストニア患者の劇的な改善を目にしたことから。
平成7年、同大学の前身である関西鍼灸(しんきゅう)短期大学附属診療所神経内科で、頸部ジストニア患者への鍼治療を神経内科医、鍼灸師とともにスタート。その効果を、臨床症状評価と筋電図学的評価から証明する治療システムを作り上げた。
臨床症状評価は疼(とう)痛評価など5項目で、筋電図学的評価と総合し、筋肉の過剰収縮や不随意運動などの一次的障害と、筋肉・皮膚の短縮や疼痛などの二次的障害を把握。それに応じた鍼治療を行う。
治療は、刺入深度5ミリの鍼を刺したまま留める置鍼法で、筋緊張抑制を目的とする場合は5分間、筋緊張促通を目的とする場合は10分間が基本だ。
12年に、同科に定期的に通院し、鍼治療を受けている頸部ジストニア患者32人(男性17人、女性15人、平均年齢40.8歳)を対象に、置鍼治療10回目に効果を検討した結果、疼痛評価や自覚的評価などの改善が顕著で、副作用もなかったという。
「当時、本学にこられる前に全員が薬物治療を受けており、MAB治療やボツリヌス治療、外科手術を併用していた人もいました。鍼治療と並行して薬物治療も行いましたが、他の治療法で症状の改善がなかった人でも、鍼治療の効果が期待できます」と鈴木教授は話す。
国内には約2万人の患者がいると推定されているが、発症要因は遺伝性、外傷性、肉体的・精神的ストレスなどさまざま。また、職業性ジストニアとして、ピアニストやギタリストなどで手に痙攣(けいれん)が起きて、演奏できなくなる奏楽手痙などもある。
ジストニアの患者らでつくる「ジストニア友の会」の佐藤治子副理事長は「ジストニアは本来、神経内科を受診すべき疾患です。治りにくい病気ですが、早期発見と正しい治療で完治、症状改善の可能性はあります。西洋医学的な手法と鍼治療の併用で、より効果のある治療になれば」と話している。
(2007/09/26 08:47)
効果のほどはやってみないとわからない…というのが正直なところです。
症状に改善が遅々として進まないように思えても、本人が喜んでいる場合もありますし、その逆もよくあります。
鍼灸も一度受療されてみてもいいかもしれませんね。
自分の意思とは関係なく、両目がしばらく強く閉じてしまう疾患で、ジストニアの一つとされています。
今まで鍼に通ったこともありますが、思うような効果は出ませんでした。
先生の鍼灸院では本態性の眼瞼痙攣の患者様の治療の例はございますか?また効果はどのようなものでしたでしょうか?もし差し支えなければ教えていただけますか?
5年前から続く症状ですし、鍼灸治療もされていたということですので、ここでの判断は難しいのですが、私が診た方は脾土経のバランスが悪い方が多いようです。ですから消化器系のバランスを良い方向に向ける事で、改善の可能性はあるかと思います。
鍼治療で改善の可能性はありますか?