もう1つの感性の本棚

書くことを仕事にしている者として、日常をどのような感性で掬い取るか。

街の縁取り19~瞬間移住計画

2006-07-14 23:05:54 | 街の縁取り
 平日夜の軽井沢駅、上りプラットフォーム。 

 余り人影がないように映るが、この時間帯は東京に帰る人達が多く、長野から来る新幹線は混み合っている。
 ここ数日、東京は暑さと湿度で不快指数100%近く、出張の際の乗り換えで降りた軽井沢の空気は、さらっとして快適だった。
 軽井沢は、平均して年に1回か2回来ていて、アウトレットで買い物もする。かといって、特別好きなリゾート地というわけではない。
 ただ、この日は通りすがりに降りた軽井沢の空気が妙に印象的だった。

 東京から約1時間。住んだらどうだろうかと思った。

 次に逆の発想。東京に住んでここで働いたらどうだろうか。

 空気を満喫するには働くより住む方がいいだろうが、とりあえず色々考えたということだ。
 旅とは、旅していない人達を見に行くこと、という言葉をどこかで見かけた記憶がある。
 自分が住んだ人になったら。

 軽井沢駅も、夜になると周囲の店が閉まって山の暗闇の気配がプラットフォームまで漂ってくる。

 真っ暗な道を歩いていく自分の姿を想像する。帰る場所には、暖かい灯りを点し、美味しい食事を作ってくれる人が待ってくれているだろうか。
 色々考えながら到着した新幹線に乗り、東京への帰路に着いた。

 瞬間の移住計画。
 家人に話そうか。