赤壁大戦電影版

　以前、庵主が今年下半期に見たい映画作品に挙げました「レッドクリフ」。あともう一ヶ月もしないうちに目出度く全国公開になります。
巷ではあれこれ公開前のＰＲ活動も盛んのようですが、三國志フリークの私もやはり心躍ります。
http://redcliff.jp/index.html

　一口に三國志とは言いますが、大まかに言って２つのフォーマットがあります。
一つはいわゆる正史である「三國志」。そしてもう一つが正史を換骨奪胎し、それに講談の要素を加えた歴史ロマン物語「三國志演義」です。レッドクリフは後者に基づいた設定の作品だとされます。

　「三國志演義」は中国四大奇書の一つで、実際の三國志の舞台であった三国時代（２世紀末～３世紀後半）よりもずっと後の明王朝時代中期に完成したと言われます。正史部分の実録「３」に対して、創作部分である虚構が「７」という割合で描かれているので、大抵のエピソードはフィクションであります。
　レッドクリフのタイトルの元となった『赤壁の戦い』もほぼフィクションで、作者である羅貫中という人が、自分の生きた時代にあった実際の戦の模様をヒントに生み出したという説が有力です。しかしながら、そういう経緯があっても過去の小説・講談・ドラマ・映画などでは屈指の名場面とされます。

　さて、レッドクリフについてですが、すっかり公式サイトのほうでも様々な情報がアップされてきました。
事前に流れていた断片的な情報に加え、最近ではキャストについての情報も詳細に出てきており、庵主も確認してみました。

http://redcliff.jp/aboutthemovie/cast.html

　本作はアジア４カ国＋１地域による共同制作作品なので、そのキャストに関しても多国籍になっています。
庵主が見た感じでは、呉の水軍提督・周瑜役の梁朝偉（トニー・レオン/香港）が主役で、そのライバルであり「三國志の登場人物と言えば？」と聞かれると必ず上位に名が挙がる名軍師・諸葛亮（字[あざな]の孔明の方が有名かも…）役の金城武（日本）が準主役だと思います。

　他にも前述の２人と対決する宿敵、後漢の丞相（後に魏王）・曹操役には、映画ファンにはチャン・イーモー監督作品でおなじみの張豊毅（チャン・フォンイー/中国）、ヒロインの一人で呉の君主孫権の妹・尚香には「少林サッカー」「クローサー」などで有名な趙薇（ビッキー・チャオ/中国）、さらに孔明の主君・劉備配下の勇将・趙雲には中華圏の歴史ドラマ「天龍八部」「大漢風」などの主演俳優だった胡軍（フー・ジュン/中国）…と、かなりの豪華キャストであります。
　なお、他にも台湾やモンゴルの俳優さんもメインキャストで出ております。

　で、一つだけ私が気になったキャストがいます。
もう一人の日本人出演者である中村獅童氏が演じる呉の将軍「甘興（かんこう）」なる人物なんですが、プロットによれば…
　
"孫権軍、周瑜に仕える。命を顧みず、敵地に攻め込む勇敢な武人"
とあります。

　しかし、元々の三國志（正史・演義にかかわらず）をある程度ご存知の方なら、ふと思うはず…

「あれっ？　赤壁の戦いで呉軍に甘興って人いたっけ？」と。

　スタッフの事情など詳しいことはわかりませんが、本来はこの人物の事を指して言いたいのだと庵主は思いました。んでもって、念のため疑問をとことん調べてみたところ、やはり推測は合ってました。ほっ…

　ついでながら、来月公開のこの作品は全体の三分の一の内容であり、来春には第二部が、それ以降には第三部が公開予定となっておりますので見る予定の方はくれぐれもご注意を…
　
　ちなみに…
本作品の監督はあの「男たちの挽歌」「フェイス・オフ」「Ｍ：Ｉ-２」などでメガホンを執ったジョン・ウー。なのできっと、監督作品の常連だった"亜洲影帝"こと周潤發（チョウ・ユンファ）も出演するんじゃないかと思ってたんですが、結局出てくれませんでした。
　いまさら言っても詮無き事ですが、發哥が演じる劉備なんて本当に見てみたかったです。

追記：ふと思ったんですが、赤壁＝レッドクリフ（Red Cliff）となってますけど、壁は本来ウォール（Wall）ですから、この訳ですと「赤崖」になっちゃうんではないかと…
　それを踏まえれば、「崖の上のポニョ」ですと「Ponyo on a Cliff」なんでしょうかね。