方言はあげたり、もらったりするものではないと重々承知なのですが、現在のfanshen家では非常に大阪弁を欲している。
正確に言えば、大阪弁で突っ込んでくれる人をだ。
突っ込みたい人は二人いる。
まずは父親。
この人は話は長いし、新聞やニュースで誰もが既知の事をまるで自分しか知りえない事実かのように話すのである。
でも、「お父さん、それ新聞で読んだよ、ニュースでやってたよ。」と水をさすような発言をしようもんなら、「お父さんの話を聞いてくれたっていいじゃないかぁ!また皆でお父さんの話がくどいとか言うのか。」とウルウルした目で訴えてくるのである。
こうなると非常に面倒であり、どんなに「お父さんは、お父さんなりに皆に話を聞いてもらえるように、頑張っているんだ。」と可愛そうなお父さん役で責めてきても、それは私にとっては「売られた喧嘩」であり、いくら親のすねをかじっている身分であろうが、徹底的に対戦状態になるのである。
だから、そこで「あんた何ゆーてんねん。そらもうとっくのとんまに知ってまっせ。アホカ。」と重みのない言葉ながらも、バシと相手を打ちのめす突っ込みを入れさえすれば、父親もそれ以上の発言はひかえるのではないか・・・。
この突っ込みは、握手を求めてきた相手にイキナリハグする感じである。
二人目はお祖母ちゃん。
お祖母ちゃんは何にも悪くないのだが96歳にもなるとお祖母ちゃんの頭には、「今」と「ずっと昔」以外、その間の出来事は殆どメモリーされない。
多いときは5分おきに、月日、曜日を確認してくる。私はその度初めて聞いたつもりで普通に答えるのだが、お祖母ちゃんが実の母親である、私の母は、毎日のそのやり取りに少し参っているようだ。
毎日のんびりと「今」を生きているお祖母ちゃんのマイペース加減は少なからず私の母をイライラさせ、そんな母を私がまた非難して、とお祖母ちゃんのおとぼけ具合が遠因で母と私の仲までギクシャクするのである。
だから、ここでも「アンタ何べん聞いてるとおもーてはるのや。ボケるのはまだ早いっちゅーねん!しっかりしーや。」と大阪弁でキレよく突っ込んで頂きたい。お祖母ちゃんがこの言葉を聞いたら、「大阪の人ですか、はるばる遠い所からよくいらっしゃった。」と言うだけだろうし、こんな突っ込みを自分以外の人が言ってくれたら、母親のストレスも解消し、もしかしたら、そんな強い事言わないで下さい!と逆にお祖母ちゃんへの愛情を確認するかもしれないのだ。
私の知る範囲の大阪弁はストレートな言葉のわりには、重さがなく、リズム感があって、耳にも気持ちがいい。
音声の波形で言うならば、縦の波形は尖って大きくギザギザと振幅しているのだが、波形の横幅が短い感じ。要は余韻が余りない。
突っ込みよりボケ系の家系であるfanshen家には、なりふり構わず突っ込む人が現在最も必要な人材である。
「高齢化社会」から「高齢社会」へと突入した今日、fanshen家も今後確実に「突っ込み不足」が深刻になるわけで、この現象が日本各地に広まれば、確実に日本は大阪弁で突っ込んでくれる人の需要が拡大し、今のうちに大阪弁で突っ込んでくれる人を確保する事が賢く、楽しい老後を過ごせるカギである。(かもしれない。)