益田森林・林業普及情報

島根県西部農林振興センター 益田事務所

作業道づくりについて、村上さんに聞きました。

2007年04月26日 | 森づくり
 津和野町にお住まいの村上和寛さん(写真1)は、高津川森林組合の作業道開設の専門の技術者です。


写真1 村上和寛さん

 村上さんには、県の指導林家や普及指導協力員として、森林・林業に関する県の普及業務にも御協力をいただいています。

 村上さんは、愛媛県の篤林家である西岡氏(故人)の元で作業道開設技術を学び、作業道の第一人者として有名な大橋慶三郎先生から指導を受けるとともに、現場で技術の研鑽を積んでこられました。
 今回、村上さんに作業道の現場を見せてもらう機会をいただきました。現場でお聞きした道づくりのポイントについて報告します。

 益田管内の各事業体の作業道担当者の皆さん、是非参考にして下さい。

 今回、見せていただいた現場は、既設作業道の補修の現場です。
 盛土部分の崩壊や丸太組みの腐朽による路肩の弱体化のため、車両が通行するためには、補修が必要な状況でした(写真2,3)

 
写真2 路肩部分(左側)に生じたクラック(割れ目)


写真3 路肩部分の崩落

 また、次のような丸太組み施工はあまり好ましくないそうです(写真4,5)。



写真4 高く、垂直に組んである丸太組み

 丸太組みは、盛土が安定するまでの補助的なもの(丸太組みは、土工を安定させるために利用するもの)であるので、ブロックのように高く積まないほうが良いということです。
 



写真5 丸太組みの桁丸太の切れ目の重複

 桁丸太は、弱いところができないように切れ目が互い違いになるように組んだほうが良いとのことです。また、3m材が使用してありましたが、桁丸太は、できるだけ長い材を使ったほうが強い道ができるそうです。

 上記のことを踏まえ、盛土法面の締め固め(写真6)、盛り土による横断排水溝づくり(写真7)、路面の整地・締め固め等の補修を行いました。


写真6 盛土法面(表土ブロック積み)
 
 丸太組みの外側に、表土を積み、転圧を繰り返し盛土をつくりました。表土には、広葉樹やササの根株や草木の種子が含まれているので、早期に緑化し、盛土の安定が期待できます。


写真7 土を盛った横断排水溝(ポールより手前が土を盛った部分)

 横断排水溝は、丸太やコンベヤーベルトを利用する方法がありますが、土を盛る方法が簡単で、通行も楽(ガタガタしない)ということです。尾根の外カーブの緩やかな盛り土部分を設け、路面の雨水を安全な尾根部の道下に排水します。道下に水が排水されやすいように路面の横断勾配も5~6%道下側に下げています。
 
 一度、道をつくると、後で修正することは難しいそうです。道を見ながら「あそこを通れば、もっと楽に安定した道ができたのに。どうしてこんなところへ道をつけたのか?」としきりにおっしゃっていました。

 その他、いろいろお話を伺いましたが、少し長くなりましたので、次の機会に報告します。

投稿者 島根県西部農林振興センター益田事務所林業普及グループ 主任林業普及員 大場寛文


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