益田森林・林業普及情報

島根県西部農林振興センター 益田事務所

太鼓谷稲成神社のマツの病害虫診断について

2007年09月05日 | エトセトラ(丸秘情報ガアルカモ?)
 「太鼓谷稲成神社」は、日本五大稲荷のひとつに数えられ、
 津和野町にある島根県有数の名所です。
 普通、「稲荷」神社ですが、この神社は「稲成」の字をあてます。
 
 神社には、立派なアカマツが数本あり、
 大きなマツは神社のシンボルと言えます。

 今回、そのうちの1本の枝が枯れてしまった(写真1)ということで、
 県の中山間地域研究センターのS主任研究員が病害虫診断を行いました。
 Sさんは、主に森林病害虫防除の研究をしています。
 
 
 写真1 アカマツの枝が枯れた様子
 (写真中央のマツの上部右側に枯れた枝が見えます)

 経緯は、7月に太鼓谷稲成神社さんから、高津川森林組合に相談があり、
 森林組合から県に病害虫診断の依頼があったというものです。

 Sさんは、前日の8月30日の晩に
 津和野町の商人サカキ生産組合との意見交換会に参加しており、
 出張に合わせて、マツの診断をしてもらいました(8月31日)。 

 Sさんの診断では、
 問題のアカマツの樹勢は、全体的にあまり良くないが、
 褐斑葉枯病や葉ふるい病の病斑は見られないとのこと。
 但し、マツ材線虫病(マツクイムシ)の疑いがあるので、
 念のため、枝を採取して、線虫の抽出試験を行うとのことでした。

 ちなみに、このマツは平成13年1月に、マツ材線虫病予防のため、
 薬剤の樹幹注入が行われていました。
 薬剤効果が続く期間は、5~8年ということで、薬の効果が
 弱まっている可能性があります。
 また、このような大きな木になると、薬の効果にムラがあり、
 マツ材線虫病に感染しても、一度に枯れずに、
 徐々に枯れてくることがあるそうです。
 (普通、感染すると、その年に樹木全体が枯れます)

 神社の方は、「大切なマツなので、枯らすわけにはいかない。」と
 おっしゃっており、大変心配です。
  
 なお、益田管内での、森林病害虫に関する御相談は、
 当益田事務所林業普及グループまでお願いします。


 さて、最後に太鼓谷稲成神社の手水所にある彫り物を紹介します(写真2)。

 
 写真2 手水所(清めの水)の彫り物
 (私には、キングギドラに見えてしょうがありません。)

 太鼓谷稲成神社を訪れた方は、大きなアカマツと共に、
 ぜひ、1本首のキングギドラを見て帰って下さい。

投稿者 島根県西部農林振興センター益田事務所林業普及グループ 主任林業普及員 大場寛文

~清流高津川、山の緑に映える柿色の瓦屋根の町並み~ なつかしの国石見(いわみ)




最新の画像もっと見る