
今日は晴れ。枕元の目覚まし時計にしている携帯電話のアラームが鳴って、9時に起床するとカーテンを開けた。窓の外を見ると、雲ひとつ無い澄んだ青空が広がっていて、日射しが燦々と降り注いでいる。ベランダの外に出てみると、凜とした冷気が全身を包み込んで目が覚めた。風は無く、塵ひとつ無い空気が肺の中に入ってきて、身が引き締まるような冷たさである。まるで1月になったような陽気となった。
日中は西の空にちぎれたような雲が所々に浮かんでいるものの、上空には青空が広がって穏やかな冬晴れの空模様となった。昼間の最高気温は10℃を下回り、南よりの風が吹いていて、風が冷たくて身を切るような寒さである。
午後になって、先日クリーニングに出したスーツを受取りに立川に出かけることにした。電車で立川駅に出ると、駅構内は混み合っていた。人混みを避けるようにルミネ立川に入る。クリーニング店に行く前に、ドーナツ屋「クリスピークリームドーナツ ルミネ立川店」の前を通り過ぎようとして店先に目を遣ると、ショーケースの中にはキャンペーン「HAPPY HOLIDAY WISHES」の期間限定ドーナツが並んでいた。
ときどき仕事の帰りにドーナツ屋に寄ってみていたが、平日の夜にはいつも売り切れで、目にすることの無い商品である。思わず、店内に入って確認すると、テーブル席が空いている。もうこれはドーナツを食べろという神の啓示に違いない。そこで、急遽、クリスピークリームドーナツでお茶をすることにして、空いているテーブル席を確保すると、店頭のショーケースの前に進んだ。
クリスピークリームドーナツでドーナツを食べるのは約2ヶ月ぶりである。ショーケースの中を覗き込んで、選んだドーナツは期間限定ドーナツ「ミルクティー ホワイト ベア」と「ホワイト ストロベリー サンタ」の2つである。ドーナツと併せて注文するドリンクは、「ココア(ホット)」のトールサイズとした。
スマホでアプリを起動させるとクーポンを表示させ、レジで代金を支払うと、ドーナツとドリンクの載ったトレーを受け取る。奥のカウンターでドリンクも受け取ると、マドラーと先が割れてフォークになっているスプーン、紙ナプキンをトレーの上に載せて、確保したテーブル席にトレーを運んだ。
紙おしぼりで手を拭くと、最初に「ココア(ホット)」を飲むことにした。「ココア(ホット)」の蓋を開けると、甘いココアの香りが鼻腔に漂ってきた。
カップを持ち上げて「ココア」を飲む。温かいココアは甘くてホッとする味わいである。深くまろやかな味わいのココアは、優しいカカオの香りとコクが美味しい。寒い日にはもってこいのドリンクである。
「ココア(ホット)」を少し楽しんだところで、いよいよドーナツを食べることにした。最初に手に取ったドーナツは「ホワイト ストロベリー サンタ」である。
カップケーキライナーに入った「ホワイト ストロベリー サンタ」はストロベリークリームを詰めたイースト生地のドーナツの表面にストロベリーナパージュとホワイトチョコでサンタを描いたドーナツである。ホワイトチョコで白い顔を描き、赤いストロベリーナパージュでサンタの帽子と鼻を表現したサンタの目をビターチョコで、髭はフレークで表現している。
カップケーキライナーに入っているということは、手で食べるのはかなり危険ということだ。そこで、先割れスプーンで「ホワイト ストロベリー サンタ」を食べる。サンタの顔の真ん中にスプーンを突き刺して口に運んだ。
イースト生地のドーナツの表面のストロベリーナパージュはやや強い酸味で、甘酸っぱくて美味しい。ホワイトチョコのミルキーな甘さにアクセントを与えている。ドーナツの中からストロベリークリームが溢れ出してくると、ストロベリークリームとストロベリーナパージュのダブルのストロベリーの甘さが口の中に広がった。ストロベリークリームは優しい甘さで、練乳入りのイチゴのようなミルキーな甘さが美味しい。フレークの髭が食感のアクセントになっている。
ドーナツを1個食べたところで、少し「ココア(ホット)」を飲む。続いて「ミルクティーホワイトベア」を食べることにした。
「ミルクティーホワイトベア」はイースト生地のドーナツの表面をミルクティーチョコでコーティングし、ホワイトチョコの耳と口をつけ、ビターチョコで目と鼻を描いたドーナツである。赤い帽子のピックをつけてサンタ気取りのクマといった感じの表情に、思わず気持ちも和む。
ピックを外して、ドーナツにかぶりつく。ふんわりとしたイースト生地のドーナツの中から口の中に舌触り滑らかなミルククリームが溢れ出してきた。表面のミルクティーチョコからはアールグレイの風味が鼻腔に広がる。コクのあるホワイトチョコの耳と口がカリッとした食感のアクセントになっていて、中に入ったミルククリームとともに、ふんわりとしたミルクティーチョコの華やかな風味とマッチしていて美味しい。
ドーナツを2個食べてしまうと、ドーナツの余韻を楽しみながら「ココア(ホット)」を飲んだ。ココアのカカオの風味とミルクティーチョコの甘さが口の中で一体となって、喉の奥に消えていく。その余韻を楽しみながら、しばらくは「ココア(ホット)」を楽しんだ。
少し気分が落ち着いた。少し、活字が読みたくなったので、デイパックの中から読み物を取りだして、「ココア(ホット)」を楽しみながら記事を読む。しばらく店内で過ごしていると、紙コップの中のドリンクが無くなった。
時計を見ると、既に入店してから小一時間が経過している。少々長居をしてしまったようだ。食器を返却して店を出るとクリーニング店に行って、クリーニングに出していたスーツを受け取った。持参したトートバッグにスーツを入れてルミネ立川を出ると、電車に乗って帰宅の途につく。
電車が日野駅に到着すると、電車を降りて改札を抜けた。駅西口のロータリーに出て、日野駅北交差点で信号を待ちながら、ふと東の空を見上げると、暗く澄んだ空に今年最後の満月が煌々と光を放っている。12月の満月は「コールドムーン」とも呼ばれていて、2021年の中で地球から最も遠い満月とのこと。西の空には明るさの際立つ金星が見えている。
午後から吹いてきた乾いた北よりの風が、体温を容赦なく奪っていくように感じられて凍えるように寒い。思わず早足になって、家路を急いだ。
夜、ゴミを出すために外に出た。空を見上げると冷たく冴え渡った暗い空の天頂付近に満月が明るく光を放っていて、その周囲に星が瞬いているのが見える。吐く息が白く見えて、メガネを曇らせた。空気を吸い込むと、鼻の奥がツンとするような感覚に襲われる。足元を凍てついた空気が流れていくようである。
明日の朝は厳しい寒さになりそうだ。