
いやな事件が多発してます。安全な国の象徴『日本』
それでも、他の国に比べれば安全と云えるのでしょうが、最近感じるのは
家族間の殺人とか家族に対する不満が爆発して大きな事件につながって
いる事です。親が自分の子供を愛していないはずはないのに、子供は
愛されてる実感を感じる事が出来なくなってるのは、ライフスタイルが欧米化
しているのに、親の表現力が昔のままだからではないでしょうか。
親の愛情をいっぱい浴びて育った子供は、思春期にぐれる時期もありますが
親を悲しませる“大きな事件”はおこさないと信じています。
事件の根底にある『家族』について考えてみようと思います。
4~5年前から住宅の仕事がメインにシフトし、マンションの計画をする時など、
私のコンセプトは『家族が仲良く暮らせる家作り』です。
皆さんは、そんな事あたり前だと言う筈ですが、このあたり前の事が
意外に忘れられ、表層の美しさや一方的なライフスタイルの提案の影で
家族が一度も顔を合わせなくても良いマンション等を作ってしまいました。
数年前から一戸建て住宅などは、この事の必要性を感じリビングルームを
通らなければプライベートの部屋にいけない“なんとかの家”を作っていますが、
そのハウスメーカーのアイデンティティとしてでは無く、あくまで
シリーズのひとつでしかありません。家族は毎日顔を合わせ無いような家は
“死んでも作らない”という事には、残念ながらいたっていないのです。
例えば、賃貸や分譲マンションを計画するときの基本はリビングルームを日当たりの
良い南側にとります。効率的に考えると長方形の南がリビングだと玄関は必然的に
北側になります。そうするとリビングルームまでの廊下をはさんで夫婦の寝室や
子供部屋を作ることになり、リビングルームを通らないで子供部屋に行けてしまうのです。
そうなんです!!1日親子が一度も顔を合わせなくてよい家、ここが問題なのです。
私が子供の頃テレビで見て憧れたアメリカの住宅は、玄関を開けるとまずリビングルーム
があり、吹き抜けになった階段を上がると子供部屋や寝室のドアが下から見えます。
いつも家族団欒で笑い声が堪えません。これが“豊かさ”っていうもんなんだと
狭いリビングで暮らしてた家族みんなで感じてました。
あれから、んん十年経ちうさぎ小屋から脱出し物質的にはアメリカ並みに
なりましたが家族団欒で笑い声が堪えない生活を送っているのでしょうか。
問題というのは多面的な要素があり、ひとつの要素だけを直しても解決しないのは
わかっていますが、住宅作りに携わっている我々は、家族のコミニケーションを
考えるときこの“1日一度も顔を合わせなくてよい家”を絶対避けなければならない
事だと思っています。
そうは云っても、1日一度も顔を合わせなくてよいマンションや一戸建て住宅に
住んじゃってる方はどーしょうもないですねぇ。リフォームするにもお金が掛かりるし
諦めてるいる方もいると思います。
でもです、デザインやアイデアを考えるとき、しょうがないとか難しいからと
あきらめてしまっては何も生まれません。むずかしいけど何か“工夫”してみようという
心がアイデアを生みだします。99%無理だと思っても、あきらめないで何とかしようという
1%の可能性は60%と61%の50歩100歩の1%とは天と地の差があります。
今回のアイデアはそんなに大袈裟なものではありませんが。。。
例えば、リビングルームについてるドアを玄関から入ってすぐの廊下に付け
子供部屋に入る気配をリビングから感じるとか、リビングルームを通らないと
トイレに行けなくするだけでも違います。しかし、自分ではできないし
業者さんに頼まなければならないので、お金がかかります。
そこで、自分でできるしお金もたいして掛からない方法が二つあります。
一つは、夫婦がいつも仲良くしている事です。いい歳こいてばっかじゃないのと
子供は云うかも知れませんが、内心嬉しいのでちょくちょくリビングに顔を出す筈です。^^
二つ目は前置きが長くなりましたが、今回のテーマである、普段は通過するだけの
廊下やリビングを『GALLERY』にして家族みんなで楽しんで貰う方法です。
目新しい事ではありませんが、外国の家に行くと大体の家には家族の写真が
いっぱい飾ってある、あれです。
りビングルームを通らなければプライベートの部屋にいけない家ができなければ
リビングに来て話をしたくなるような工夫をしようという事ですが
形がなくても、想いを表現しようという心が大事だと思うのです。
●玄関を開けた時に見える廊下の突き当たりには、綺麗な夕日を背景に撮った
奥さんと息子のモノクロ写真。いや~この頃の子供はほんとかわいかったですねぇ。
最近は、何を聞いても沢尻エリカではありませんが“別に~”とか云って
かわいくないですけどね。

●廊下の空いたスペースには、おじいちゃんおばあちゃんと一緒にとった写真、
奥さんが初めてヨーロッパへ行った時の写真。そして家族で始めてリゾートに行き
外人さんからかわいいと云われた息子の写真です。廊下に飾ってありますが、
リビングと子供部屋のドアを開けた時必ず見えように位置を考えています。

◆廊下ではありませんがダイニングスペースには、息子が5歳の時スペインの
サクラダファミリアを見た後、眠い目を擦りながら描いた絵を飾ってあります。
一番家族が集る場所に子供が小さい時に描いたお父さんやお母さんの似顔絵
なんかも、きちっと額装して飾って上げると満更じゃない筈です。
時々絵を変えてみると、それを通して話題が盛り上がりますよ。

◆リビングのキャビネットの上には、トーメイアクリルのフレームに飾った、
初めてリゾートへ行った時の楽しかった思い出の写真。

※実は、この旅行が今の仕事に生かされています。今回のテーマからは横道に
それますが事務所を夫婦で始め、2年後にスタッフを2名入れた3日後に
クライアントの水着の撮影に便乗し、初めて家族でリゾートに行ったのがタイの
プーケットでした。その時『自分を見つめ直す』と言うことがどういう事か実感したのが
1週間過ごしたプーケットでの体験です。 結論は、“何もしない”と云う事でした。
私達日本人は休暇をとって遊びに行くとき色々スケジュールを立てて
目一杯何かをしょうと考えますが、ここにいたフランス人は1ヶ月位いて
日中はボッーとしてるだけで夜になるとドレスアップして食事を楽しんでいました。
私達も3日目迄は普通の日本人でしたが 、4日目からはフランス人になり
非日常とは、雑念を取り払い“何もしない”事から生まれる
アイデンティティの確認ではと感じました。
帰って来てから2週間後、奄美大島の友人であるmちゃんから親戚で
プチリゾートホテルをリノベーションしたい人がいるのでデザインして欲しいと
連絡があり、プーケットで過ごした体験を話し初めてホテル、そして建築の
デザインの依頼がきたのです。
◆一つ目の、夫婦がいつも仲良くしている事の提案です。
お互いときめいてた時の写真をベッドルームに何気に飾っておくのです。
倦怠期でひょっとして最近愛されてないんじゃないかと疑心暗鬼の方にお勧めです。
しっかし、若かったですねぇ。。。

とまあこんなとこですが、最近はデジカメで映しプリンターで出力出来るので
お金は大して掛かりません。 しかし、手間は掛かります。
この手間を掛けても必要な事は“死んでもやる”という気持が大事なんです。
子供が小さい時、親の存在感はありますが、思春期になるとウザクなります。
コミニケーションがうまく取れなくても、大切に思っている事のメッセージを言葉以外の
方法で表現して欲しいと思います。
又思い出だけではなく、リアルタイムで子供が撮った写真を綺麗に額窓して上げると
きっと喜ぶし、仲の良い家族の方もよりいっそう毎日が楽しく過ごせる筈です。
世のお父さんお母さん、そしてプロのコーディネーターの方々
家中、家族の写真いっぱいにして笑顔の堪えない環境にしましょう~♪