幸せのラブスプーン





1年前の事です。私はある病気にかかりました。
入院する事が決まり、その話をある友達(Kちゃん)に話すと
入院してる間退屈しないようKちゃんが続けてるBLOGを毎日
更新する約束をしてくれました。

手術も無事成功し食事もやっと少し食べられるようになった時、
ハートの形をしたアレッシィのスプーンの記事が書いてあり
時間をかけてゆっくりゆっくり食べなければならない私は、
もしこのスプーンがあったら味気ない食事も楽しく
食べられるし、そして、そしてカワユイ看護婦さんにも自慢できるので
「このスプーンほしい~!!」と書き込みしました。

術後の経過も良く手術から12日後の7月2日無事退院でき
7月25日快気祝いで高層ビルの夜景が一番きれいな
新宿パークハイアットにあるニューヨークグリルで
Kちゃんに食事をごちそうになりました。
その時、ハートの形をしたアレッシィのスプーンを2本
プレゼントしてもらい、そして物語は始まったのです。

2005年10月3日は忘れられない日になりました。

その日大阪に住むKちゃんは出張で東京に来たので
ご馳走になったお礼にレストランを予約し、前から今度会う時
持ってきて一緒にたべよーと思っていたので、
頂いたアレッシィのスプーンを持参しました。

「デザートの時このスプーンで食べたいので出してもらえませんか?」
一瞬戸惑いの表情を見せたもののお店の方は快く引き受けてくれました。

「ところで何かの記念日ですか?」

考えてた訳ではありませんが、とっさに私の口から
「えぇ実は10年目なんで・・・・・・。」

その時、隣のカップルにお店から誕生日のお祝いに
ケーキのプレゼントが出てきました。
後でケーキなんか出てくるとシャレにならないし、
夫婦に間違われるとKちゃんに悪いなーと思い

「うそ、うそ、うそですよ!彼女からお祝いに貰ったもので・・・。」
とほんとの事を言いました。

その後、無事念願叶いカワユイアレッシィのスプーンで
美味しいデザートを食べ楽しい時間はあっという間に過ぎました。

食事のあと、Kちゃんも顔見知りというかKちゃんに想いを寄せてる
マスターがいるショットバー『天使のわけまえ』に行くことになりました。
貰ったスプーンの事、そしてレストランで10年目の記念日だと
ウソを言ったことをマスターに話をしてたら突然
「オメデト~」と祝福の声がしました。
隣を見ると、うら若き女性6人の集団でした。
10年目まで聞こえ、そのあとの話は聞こえなかったようで
もう一度「おめでとうございま~す」と言われました。

「ありがとう。ん~、でも違うんです。」

Kちゃんとは仕事で知り合い、15年くらいになります。
かなりの美人で、女性ならだれでも羨む職業と生き方をしてる
ステキな女性で、かなり年下ではありますが尊敬してます。
でも、今まで一度もそんな風に思った事も、見られた事ありません。
嬉しい反面こんな自分と夫婦に間違われて悪いな~と思う気持ちの方が強く
6人の美しい女性達に、ある病気で入院しハートのスプーンを貰ったまでの
いきさつ、そしてレストランでの事を話しました。

「ところで、そのハートのスプーン今もってるけど見ます?カワユイんだから」

「え~、見たい見たい!!!」

ジャ~ン「これで~す」

「うわぁー、カワイイ~」

更に調子にのり、Kちゃんとの事色々話ました。
「彼女とは誕生日が同じ2月で、私がバレンタインデーに生まれた事もあり
10年以上プレゼントの交換もしてるし、死ぬまでする約束したんです。」

「えぇ!!!ほんとにぃ。うらやまし~。私もそんな人ほしぃー」
「ほしぃ~ほしぃ~」

カウンターには私達2人とその美しい独身6人の女性達
(あとで分かった事ですが看護婦さんでした)の他に2組いた筈なのに
私達の盛り上がりにいたたまれなくなったのか、いつの間にか私達だけになっていました。
余りの気持ちの良さにみんなにお酒をごちそうしました。
「カンパ~イ♡」

私は、もうこのまま死んでも好いくらい楽しい一日を過ごすことが出来ました。
そのお店には名前の通り“天使”がいたのです。

次の日、前の晩の楽しい時間を思い出し1日中にっこりしてました。

そして、その余韻は又次の日も・・・・・。

流石に4日目は現実に戻りましたが、この幸せは3日間続いたのです。

Kちゃんがくれたハートの形をしたアレッシィのスプーンは
“3日間の幸せな時間” を私にプレゼントしてくれたのです。

この事が『一客のコーヒーカップ』に続き又デザインを見つめなおす
きっかけを作ってくれました。

ハートのスプーンをデザインした『ミリアム・ミリ』という
女性のデザイナーは多分こう考えたと思います。

最近愛されていないんじゃないかと不安に思い始めた恋人や
倦怠期に陥った夫婦がレストランでデザートを頼み
出てきたデザートの皿に、このハートのスプーンが添えられてきた時
最初に出会った頃の楽しい思い出やときめいてた頃の自分を思い出し
少しでもやり直すきっかけになるのではないかと・・・・・。

“デザイン”はそれがある事により楽しくなったり心が豊かになる為に
必要な事です。デザイナーは“モノ”に想いを込め形にします。
その作り手の心と使う人の気持ちが一体になったとき
初めて“モノ”を通して心が通じあう事になります。

大きな幸せは、喜びも大きい替わりに失うとダメージも大きいです。

小さな幸せは、3日間しかもちませんが一生心に残り、失う事はありません。

私達デザイナーは大きな幸せを作る事は出来ません。
しかし、心さえあれば私が感じた3日間の幸せのように
小さな幸せを作りだす事は出来るのです。

この事は勿論デザインだけではありません。
どんな仕事でも人にとって必要だからある訳で、心を込めた仕事は
必ず使う人に伝わる筈なので、どんな事でも“こころを込めて”する事が
大切だと思います。

大袈裟ですが、私はこの病気のおかげで様々な事を学びました。
まず、一番つらい時の見守ってくれる家族がいる事の幸せ。
どんな時でもあきらめない強い自分のこころを持つことの大切さ。
有名で権威のあるお医者さんより、信頼できるお医者さんに出会う大切さ。
病気になった人に対する時の接し方。
そして、見守ってくれる友達がいる事の喜び。などなど

まだまだ私はやりたい事はいっぱいあるし、必要としてる人もいる筈です。(多分??)
だから悔いの残らない様、生きているか分からない明日より(ホントに末期じゃないですからね^^)
“今日”を全力投球で生きようと思います。
だから“病気もまんざら悪くない!”です。

ミリアム・ミリがデザインしたこの『ラブスプーン』は、小さいけれど
私のこころに大きな財産を残してくれました。


最後に、ラブスプーンを頂いたあと昨年11月フィレンツェに行ったとき見つけた
もっと小さくてかわいいティースプーンの写真です。
この時日本ではまだプロトタイプしかありませんでしたが
最近アレッシィのショップで売ってました。






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