25時間目  日々を哲学する

著者 本木周一 小説、詩、音楽 映画、ドラマ、経済、日々を哲学する

TVではだれも詳しく語らない

2014年11月07日 | 社会・経済・政治
 日銀黒田総裁の第2の「バズーカ砲」について、テレビニュースの解説は「プラスの面とマイナスの危険性」についてぼんやりいうだけである。ルビコン河を亘ってしまった日銀は限りのない、永久に国債を買い続けるのだろうか。どこかでストップの匂いを感じたら、投資家は先に逃げるのではないか。すると日本の国債の価値は下がり金利が上がり、政府の返済はいっそうたいへんになるのではないか、そしてハイパーインフレがくるのではないか。ハイパーインフレは借金漬けの政府にとっては借金目減りとしてはいいが、と僕らはそう単純に思う。

 株をもてる余裕のある人が一時的にもさらに収入を増やす。その人たちがものを買う。それが地方にまで行き渡り、消費が上向く、輸出企業の社員給料は上がる、だから消費は上向く。
 異次元の量的緩和を発表する前の民主党政権の頃からじょじょに経済は上向いていた。株価もあがりつつあった。衆議院選挙でムードがアベノミクスとなった。それでいっそう株価があがった。給料も一部の大手の会社で上がった。輸出企業は為替差益で潤ったが、輸出量そのものはむしろ減少した。消費税が上がった。そしてまた経済が下降し始めた。量的緩和をしたというのに。

 株価が上がればよいことだという考え。公共事業にお金を使えば、これが経済政策だという考えは三時産業や四次産業の日本社会ではあまりにも古すぎると思うが、TVコメンテーターは「バラマキをやめて」とか「株価があがったのは評価できる」せいぜい「危険な綱渡りである」ぐらいのことしか言わない。
 対抗する案がないのだろうか。なぜ、このバズーカ砲によって日本の経済はよくなり、いつまで借金をつづけ、いつになったら借金が返済できるのか、そんな道筋は見えてこない。現在、借金が苦しいために、年金を下げ、健康保険を上げ、消費税を上げ、高速道路を上げ、諸物価を上げている。

 すでにもてるものはもったこの日本社会で内需が拡大するというのも不思議な話だ。空家は東京だけでも20万件あるほどなのだ。

 銀行はカネ余りの状態だから中小企業にもお金を貸すのだろうが、それは返さなければならないお金だ。一時しのぎはただ倒産への時間を伸ばすだけだ。輸入企業は今、目もあてられない状態だろう。

 TVも新聞も、こういう経済解説をわざと避けているように思える。大衆の心理を思っている
のかもしれない。黒田総裁の放つ「バズーカ砲」の短期的、中長期的な推察を詳しくやってもらいたいものだ。

 福島原発事故のときでも政府は人々の心理を思い測り、嘘を言い、隠した。この経済問題も本当はにっちもさっちにもいかなくなっていて、原発事故と同じようなことをしているのかもしれないと勘ぐってしまうのは僕だけだろうか。

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25時間目はヤプログより移転したものです。2004年から2014年11月5日までのものはこちらです。