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マーケット・デザイン―オークションとマッチングの経済学-

2021-08-12 14:50:34 | OFF
川越敏司、2015年2月、講談社選書メチエ
裏表紙に「マーケット・デザインとはより良い制度・ルールの設計・改革を行う経済学の最先端分野である」とあり、ちょうど届いた學士會会報で、松島※ は「経済学者は、人々によいインセンティブを提供できるオークションの設計方法と、もう一つの設計科学であるマッチング理論とともに『マーケットデザイン』という新領域を創成した」とある。
あとがきに、筆者は、マーケット・デザインについては、坂井豊貴先生の著書があるが、実験室やフィールドで行われているマーケットデザインの実験・実証についての記載がある、実験経済学を専門とする筆者の著書は補完財になっていると思うと記載がある。

プロローグ
第1章 市場メカニズムと情報の問題
第2章 戦略的行動と市場-ゲーム理論による分析
第3章 オークションの基本原理
第4章 複数財オークションのケーススタディ
第5章 マッチング理論の諸問題
エピローグ
読書案内
あとがき
参考文献

プロローグ
ロイド・シャプレーとアルヴィン・ロスは2012年度の「配分の安定性に関する理論とマーケット・デザインの実践」に関する貢献により、ノーベル経済学賞を受賞している。シャプレーは1962年にデビッド・ゲールとともに「大学入試と結婚の安定性」という論文を執筆、安定的なマッチングが必ず存在することを証明した上で、安定的なマッチングを効率的に求めることのできるアルゴリズム(計算方法)を開発、「ゲール=シャプレーのアルゴリズム」とか、そのアルゴリズムの特徴から「受入保留方式」と呼ばれている。ロスは、医学部を卒業した研修医が研修先を決めるマッチングを成功させるには受入保留方式を採用することが不可欠であることが分かった。経済理論によって、現実世界における制度の設計・改革を行う分野を「マーケット・デザイン」と言い、ロスはその先駆者の一人である、ノーベル経済楽章での「マーケットデザインの実践」に当たる業績となる。
オークションは、ヴィッカレーが経済主体の間で情報上の格差がある状況(情報の非対称性)を分析するツールを開発したことで1996年にノーベル経済学賞を受賞している。ヴィッカレーが「二位価格オークション」という、一番高い値を付けた人が落札するが、支払う金額は2番目だった価格になるというもので、自分の評価額をそのまま入札することが最善の結果をもたらすことになる時、耐戦略性を満たすというが、受入保留方式も耐戦略性を満たしている。1960年代にマーケット・デザイン研究の二本柱ともいうべき、マッチングとオークションのそれぞれで提案された方式が、ともに耐戦略性を満たすものであったというのは実に面白い偶然であるが、さらに面白いことに、この2つの研究領域は互いに比較的独立に発展したきたものの、最近では互いに密接なつながりがあることも分かってきている。
米国FCCは1990年代半ばに周波数オークションを導入したが、その際の研究に当たったのが「マーケット・デザイン」という用語の生みの親であるポール・ミルグロムで、2020年にオークション理論を発展され、その成果を実装し、世界に大きな便益をもたらした功績をたたえ、ノーベル経済学賞を受賞している。
様々な配分方式を「デザインする」というマーケット・デザインのアプローチに対して、フリードリヒ・フォン・ハイエクのいう「設計主義」という批判が聞かれることもある。設計主義とは、もともと市場での自由な取引に政府が介入し、規制することが必要であるという考え方を指すが、ハイエクは、社会主義の計画経済やケインズ主義的な政策が念頭にあり、政府による介入や規制や設計図通りにはいかなのは、政府には、経済主体に分散して所有されている膨大な情報を集計して処理する能力がなく、膨大な情報は、市場において自己組織的に集計・処理されると考えていたためで、マーケット・デザインの研究は、ハイエクのいう巨大な情報処理システムとしての市場に代わる仕組みを、市場が利用できない場合まで拡張するような研究であると言える。

第1章 市場メカニズムと情報の問題
市場メカニズムの研究は、アダム・スミスの「国富論」までさかのぼる。個人の利益だけを最大化するように利己的に行動しているが、それぞれが市場で売買交換を実施することにより需要している人のところに必要なものが供給され、結果として社会全体の利益が増進されるということを「神の見えざる手」に例えた。ここで重要なことは、誰もいつどれだけの数量の商品をいくらで売るべきか、命令したりしていない、中央集権的に決定している人はいないということで、それぞれが独自の判断で個人的に決定している「分権的意思決定」であるということで、市場メカニズムという方式を通じて取引すると、結果として社会全体の利益が最大化されてしまう、この結果は、のちの経済学で「厚生経済学の基本定理」という形で厳密に定式化されることになる。
アダム・スミス以後、古典派経済学から新古典派経済学に至る間に研究が進み、その性質が詳しく調べられ、「一般均衡理論」として非常に精緻な理論が構築されており、一般均衡理論で培われてきた様々な分析道具や概念がマーケット・デザインの研究にとっても有用である。
マーケット・デザインの主な応用分野はマッチング理論とオークション理論で、経済主体の間で金銭の授受を伴わないような取引を考察するのがマッチング理論で、金銭の授受を伴う状況を扱うのがオークション理論である。
マッチング理論の応用例としては、男女の間でカップルを決める問題(安定結婚問題)、大学や公立学校への生徒の入学を決定する問題(大学入学問題、学校選択問題)、腎臓移植を待つ患者へのドナー腎臓の割当(腎臓移植問題)、学生寮の部屋割り問題などが挙げられる。オークション理論は周波数オークションなどがある。マーケット・デザインの2つの柱ともいうべき、マッチング理論とオークション理論は応用分野はずいぶん異なり、特にマッチング理論の場合、従来の経済学で扱う範囲ではないと思われていた分野への応用が目立つ。
マッチング理論で大活躍する配分方式はゲール=シャプレーのアルゴリズム(受入保留方式)で、オークション理論では二位価格オークションの拡張版であるVCGメカニズムであるが、この2つの方式は明らかに全然違うものの、方式が持つ性質には類似性がある。つまり、実際には市場メカニズムは使えないとしても、マッチング理論やオークション理論で取り扱っている問題が、究極的には人々の間での財やサービスの配分決定であることから、それを市場メカニズムの文脈で理解することが可能である。実際、実現する配分の性質を調べたりする際に利用される概念は、パレート効率性やコアと言った市場メカニズムの研究から生まれてきたものである。
1917年にロシア革命がおこり、資本主義か?社会主義か?が政治の世界においても経済学においても激しく論争されるなか、1920年にオーストリアの経済学者ルートヴィッヒ・フォン・ミーゼスは社会主義経済は破綻すると警告する論文「社会主義共同体における経済計算」を執筆、これに対して、エンリコ・バローネやオスカー・ランゲは社会主義でも効率的な資源配分が可能であると主張し、社会主義経済計算論争が起こった。
理論上は、社会主義国においてもシャドウ・プライス(価格に似た指標)を用いて効率的に性産業の調整が可能になるとしても、あくまでも生産の計画を立てるのは中央当局であり、当局は各生産部門すべての生産量調整を一手に引き受けて処理しなければならない。市場を通じて、文献的に需要・供給を調整していけば自然に効率的な資源配分が達成できる資本主義と異なり、取り扱う情報が膨大すぎて処理しきれないため、実際上は効率的な配分は出来ないはずだと主張した代表的な人物がハイエクであった。
ハイエクは「社会における知識の利用」という論文のなかで、社会主義経済計算論争で争われている論点を、資源の効率的配分の問題から、経済主体間に分散されて保有されている情報をいかにして効率的に集約していくかに問題を移していき、情報集約の機能という観点から、市場における価格メカニズムは最も効率的なものであると主張している。
ケネス・マウントとスタンリー・ライターは、市場メカニズムや社会主義的計画経済を含む、考えることが可能なありとあらゆる配分方式の中で、効率的な資源配分を実現するために必要な情報量が一番小さい方式はどれか?という問題を探求し、市場メカニズムにおける情報の次元以下にはできないと結論づけた。さらにJ・S・ジョーダンはこのように情報処理上、最も効率的な配分方式は市場メカニズムに限られることを証明している。
なお、ハイエクは、大変優れた市場メカニズムが人為的な計画(デザイン)の産物ではないことにも注意を促しており、後のハイエクの言葉でいえば、市場メカニズムとは自生的秩序なのである。
市場均衡がいつでも存在するかどうか(均衡の存在の問題)、市場価格が均衡価格とは違う場合に市場参加者は均衡価格をどうやって見つけるのか(均衡の安定性の問題)にうちて、19世紀後半に市場理論を体系化したフランスの経済学者レオン・ワルラスが『純粋経済学要論』の中で詳しく調べている。均衡の安定性の問題について、板寄せと呼ばれる証券市場の取引方法を参考に模索仮定(フランス語ではタトヌマン)をモデル化し、試行錯誤的な価格改定の末に、一定の条件の下では、いつかは需要と供給が一致するような価格を見出せるはずだと考えていた。一定の条件とは需要関数の(価格に対する)傾きが供給関数の(価格に対する)傾きよりも小さいというものだった。
ところが、価格が上昇すれば需要が減少する通常の財とは違って、価格が上昇しているのにも関わらず、需要が増えている財はギッフェン財と呼ばれ、スコットランドの経済学者ロバート・ギッフェンが発見し、アルフレッド・マーシャルの『経済学原理』にも紹介されている。貧しい家計にとって安いパンは価格が上昇してもなお需要されるなど、需要法則が成立せず、市場均衡は不安定になる。
労働市場において、労働の価格、すなわち実質賃金が低下すると、労働の供給が減少するが、労働者の所得が減るために消費財市場の需要が低下し、消費財価格が下がることになるかもしれず、企業が労働者の代わりに機械を導入するようになると、機械に対する需要が高まり、機械市場の価格が上昇するかもしれない。このように市場と市場の間の相互依存関係を分析したものを「一般均衡分析」とよび、ワルラスが『純粋経済学要論』で始めたものである。これに対して、他の市場からの影響がない(あるいは十分小さい)と考えて、1つの市場だけに注目して分析する方法を部分均衡分析という。
市場均衡の安定性について、時間に伴う変化を考えない静的な条件に対して、時間を伴う変化を考える場合は動学的という。動学的な経済を考えた場合、市場均衡が動学的に安定であるためにはどのような条件が必要であるかが問題になってくるが、ジョン・ヒックスの『価値と資本』において端緒が開かれ、ポール・サミュエルソンの『経済分析の基礎』において十全な展開がなされ、最終的にはケネス・アローとフランク・ハーンの『一般均衡分析』において解決されたもので、この間の理論発展において、二階堂副包、森嶋通夫、宇沢弘文、根岸隆といった日本人研究者が大きく貢献した。
均衡の存在の問題については、ワルラスが提示した方法では不十分だったため、20世紀になってから同じくフランスの数学者ジェラール・ドブリュ―らによって不動点定理という数学の定理を用いて証明されており、不動点定理をベースにして、経済学者のハーバード・スカーフが、現在スカーフのアルゴリズムと呼ばれている市場均衡価格を数値的に計算して求める手法を開発している。その後、こうした数値計算アルゴリズムはさらなる改良を加えられて、応用一般均衡分析として形で、現実の経済予測に利用されている。

第2章 戦略的行動と市場-ゲーム理論による分析
市場メカニズムにおいてはいくつかの重要な仮定が暗黙の裡になされている。第1に重要なのは完全競争の仮定、プライテイカーの仮定である。市場に無数の家計や企業が参加している場合には競争原理が働いて誰か一人の家計や企業の思い通りの価格で取引できない場合には、企業も家計も市場で決まった価格をただ受け入れるしかないので、プライステイカーの仮定が成立することになる。
完全競争の仮定が成り立たない場合を不完全競争といい、典型的な状況が独占の場合である。独占から始めて、複占、寡占、そして完全競争へと次第に企業数が増加していくと市場において何が生じるかを最初に詳しく検討したのが、フランスの数学者アントワーヌ・オーギュスタン・クールノーで、クールノーは一般均衡理論を生み出したワルラスと同時代の人で、その著作『富の理論の数学的原理に関する研究』は、最初に微分積分といった高度な数学を経済分析に用いたこと、第二に複占や寡占を分析する際にクールノーが編み出した研究手法が現在のゲーム理論や学習理論の基礎となっているために、現在も経済学の古典として大変尊重されている。
ゲーム理論の本格的な研究は、ジョン・フォン・ノイマンとオスカー・モルゲンシュテルンの『ゲームの理論と経済行動』という本によって始まったが、この本の中では、非協力ゲームと協力ゲームの両方が導入されている。具体的には2者の間での戦略的駆け引きを研究するのは非協力ゲームで行い、3者以上の場合には協力ゲームで分析しているが、現実のゲーム理論では3者以上でも非協力ゲームの設定で分析する手法が確立しており、どちらのゲームを用いるかは、分析すべき状況において拘束力のある契約が可能かどうかによって決まってくる。
市場均衡はコア(パレート効率性と個人合理性の2つの条件を同時に満たすような配分)の一部(部分集合)であり、市場に参加する経済主体が増えれば増えるほど、コアになる配分は少なくなっていき、コアと市場均衡が完全に一致するようになる(「コアの極限定理」)。コアの極限定理はフランシス・イシドロ・エッジワースが最初にその考えを示し、その後、ドブリュ―とスカーフによって厳密な証明が与えられた。その証明では「反復経済(レプリカ・エコノミー)」と呼ばれる、比較的少数の主体がいる経済におけるコアをまず考え、次にそれぞれの主体と選好などがまったく同じコピー(クローン)を作って、その場合のコアを考えていくというもので、主体の数が増えていくにしたがって、コアになる配分が少なくなり、コアが1点のみになり、それは市場均衡と一致することを示している。
ノーベル経済学賞を受賞したレオニード・ハーヴィッツは、経済主体が自身の選好を偽るという戦略的操作により、市場メカニズムで実現する結果を自分の都合のよいように操作可能であることを示した最初の一人で、どの市場均衡も、こうした戦略的操作を免れることができないという不可能性定理を証明している。ハーヴィッツのこの研究は、こうした戦略的操作に負けないような耐戦略性を持つ配分方式を考案するという研究課題を経済学の中に産み出した。こうした研究領域をメカニズム・デザインといい、実はマーケット・デザインはそこから基本的な概念や分析道具を受け継いでいる、息子のような存在であるとしている。
ノーベル経済学賞受賞者ロジャー・マイヤーソンとその共同研究者マーク・サタースウェイトは市場メカニズムを含むどんな配分方式も、耐戦略性を満たしつつ、パレート効率的で個人合理的な配分は実現できないという不可能性定理を証明している。
メカニズム・デザインとマーケット・デザインの違いは、アルヴィン・ロス、ポール・ミルグマンともに強調していたが、メカニズム・デザインでは目標を実現するメカニズムが理論的にデザインできれば、それで研究課題を達成したことになるが、マーケット・デザインではそうしてデザインしたメカニズムを実地に適用せねばならず、理論では無視できた現実世界の様々な制約条件を考慮しないと満足のいくメカニズムがデザインできないことがあるとしている。
経済学において実験統制(コントロール)された仮設検証は不可能であると言われてきたが、2002年にノーベル経済学賞を受賞したヴァーノン・スミスが経済学における実験の方法論を確立(実験経済学)、最初に取り組んだ課題こそが、市場メカニズムの実験的検証であった。スミスはコール・オークションとダブル・オークションという2つの取引方式を実験室の中で比較し、ダブル・オークションの方が市場均衡に収束する割合が高いことを示した。しかも、実験で観察された消費者余剰と生産者余剰の合計、すなわち総余剰は理論的に予想される市場均衡における総余剰とほとんど一致していたことから、ハーヴィッツの定理が示すような戦略的操作は、あまり心配しなくてもよさそうだということになる。
ダナンジャイ・ゴードとシャム・サンダーはコンピュータ・プログラムが売り手と買い手の役割をして、取引を自動的に行い、買い手は予算を超えない範囲でランダムに価格を付け、売り手は生産費用を下回らない範囲で、やはりランダムに価格を付けさせるという非合理的な経済主体(知性ゼロの取引者)によるダブル・オークションの市場実験の結果、市場均衡が達成され、効率的な市場配分が実現することが示された。彼らの研究を受けて、その後、サタースウェイトとスティーブ・ウィリアムズは、市場均衡を実現する様々な取引制度を理論的に比較し、ダブル・オークションこそが最も効率的な結果を導きやすい方式であることを示している。

第3章 オークションの基本原理
第4章 複数財オークションのケーススタディ

第5章 マッチング理論の諸問題
2つのグループが互いに相手側に対する希望順位(経済学では選好)を提出し、その順位に基づいて双方の組合せを決定するようなプロセスを経済学ではマッチングといい、こうしたマッチングを効率的に行う方式を研究することをマッチング理論という。
互いに相手側に対する先行を形成する場合は双方向マッチングといい、特に男女ともに高々1名の相手とだけカップルになる場合などを1対1マッチング、就職活動のように学生1社しか就職できないが、企業は多くの学生を採用するので、1対多マッチングという。ペアリングの結果できる組合せのこともマッチングという。
1対1マッチングの受入保留方式(ゲール=シャプレーのアルゴリズム)は、女性の第1希望から順に調べていき、自分を第1希望に指名する女性が複数いる場合、男性はその中から自分の希望順位から見て1番の女性をキープする。次に、まだどの男性からもキープされていない女性の第2希望を調べ、女性から第2希望で指名された男性は、すでにキープしている女性がいれば、その女性を含めて自分を指名している女性全員の中で一番順位が高い女性を改めてキープしなおし、以下同様に女性の第3希望、第4希望と調べていき、女性の希望順位を最後まで調べ終えたら、その時点でキープされている女性は、その男性とカップル成立となる。この方式で生み出されたマッチングは安定的で男女それぞれの希望をなるべく反映したものになっているので効率的であることが分かる。さらに、女性側に選好を偽るインセンティブはないため、耐戦略性を満たす方式である。一方、男性側には選好を偽るインセンティブがあるという不可能性定理がある。
次に1対多マッチングの例として大学生の研究室の選択の例がある。大学生は希望する研究室に順位を付けると同時に、学生を受け入れる研究室の教員もまた、受け入れる学生に対する希望順位を形成する。一般に複数の学生から第1希望の指名を受けた研究室の教員は、それらの学生の中から受け入れを希望する順に、あらかじめ定められた研究室の定員になるまで採用していき、第1希望の研究室に受け入れてもらえなかった学生は第2希望の研究室を指名、研究室は定員に空きがある限り、採用していく。以下、同様に、学生の第3希望と調べていき、すべての学生の所属が決定するか、学生の希望順位をすべて調べ終わった時点で終了する。この方式は効率的であるが、安定的ではない。学生と研究室が配属ルールを無視して駆け落ち(抜け駆け)するインセンティブがある。第3希望の研究室に配属される学生が事態を予期して、希望順位を偽ると、結果を改善できるため、耐戦略性も満たしていない。1対多マッチングの場合も受入保留方式を拡張すると安定的、効率的となり、研究室側には選好を偽るインセンティブが生じる点も同じになる。
1950年代に米国で取り入れられ研修医と研修を行う病院とのマッチングも、実質的には受入保留方式で、「青田買い」の弊害が解消されていったが、1960年代に英国で取り入れられた研修医マッチングは、地域によって方式が異なり、エジンバラやカーディフでは受入保留方式がバーミンガムやニューキャッスル、シェフィールドでは順位優先方式が採用された。アルヴィン・ロスは、英国の研修医マッチングにおいて、順位優先方式を採用している地域では次第に参加者が少なくなり、制度が崩壊したのに対して、受入保留方式を採用している地域は制度が存続していることに注目、マッチングが安定的であるかどうかが制度存続のカギではないかと推測したロスは、ジョン・ケイゲルとともに実験室実験を実施し、この仮説を確かめた。
実験の1ラウンドは3期間からなり、それぞれ-2、-1、0期と呼ばれ、最初の10ライン度では、研修医役と病院役の被験者はそれぞれ好きな期に個別交渉を行うが、研修医は病院としかマッチできず、病院も1人の研修医としかマッチできない。マッチした相手が自分の希望順位の何位だったかに応じて、4ドルから16ドルの利得をもらえるが、「青田買い」の弊害を表現するため、-2期にマッチ相手を見つけた場合は2ドル、-1期は1ドルがマイナスされる。0期が終わるまでに相手を見つけられなかった場合、利得は0となる。
 11ラウンド目からは、0期に受入保留方式ないし順位優先方式が導入される。-2期あるいは‐1期にマッチ相手を見つけられなかった人は残っている相手に対する希望順位を提出し、それぞれの方式でマッチングが決められる。25ラウンドまで実施された結果を見ると、10ラウンド目までは、誰ともマッチできずに0ドルになるのを恐れて、多くの被験者が0期よりも前に相手を決め「青田買い」が発生。11ラウンド目に受入保留方式が導入されたグループでは青田買いは減少していったが、順位優先方式が導入されたグループでは青田買いは減少しなかったことから、青田買いの弊害をなくすためには受入方式が有益であるというロスの仮設が実験的に検証されている。
 米国の研修医マッチングは、アルヴィン・ロスにより1990年代後半に従来の受入保留方式に「補完性」を考慮に入れた改良が加えられた。「補完性」とは研修医が病院に対してもつ選好や病院が研修医に対してもつ選好に何らかの関連性(外部性)があることを言い、具体的には在学中に結婚したカップルの研修医が同じ地域の病院を希望したところ、その希望に沿ったマッチングが生み出されにくいという問題である。この場合、夫の病院に対する先行は、妻が同じ地域に配属されるかによって変わってしまうという意味で、複数財のオークションで見たのと同じ類似した補完性の問題が発生する。そこで、まずカップルを除いた残りの研修医を、その希望順位を基に受入方式に従って病院にマッチさせ、次にカップルを1組ずつ取り上げて、その希望順位を基にマッチングを修正する。カップルにより席を奪われた単身の研修医は、次の希望順位の病院に応募し、病院はキープしている研修医と新たに応募していきた研修医を比較し、希望順位の高い順に定員になるまでキープしなおす。現実の研修医マッチングのように多くの参加者がある場合にはかなりうまくいくことをロスとエリオット・ペランソンは示しており、コアの極限定理のように、研修医と病院の数を比例的に拡大していくレプリカ・エコノミーを考えれば、カップルが存在するとしても、受入保留方式が安定的なマッチングを生み出す確率は100%に近づいていくことを、小島武仁らは証明している。
 日本においても受入保留方式が採用されているが、地方における医師不足の問題など、地域偏在の問題が指摘され、2009年度から都道府県別の地域定員を設けて、地域の病院の研修医受入定員をこの地域定員に合わせて比例的に増減される措置が取られるようになったが、鎌田雄一郎と小島武仁は、この地域定員の設定によって、受入保留方式が生み出すマッチングは一般的に安定的でなくなることを発見、その上で、研修医と病院のほかに、地域もまたあたかも1人のプレーヤーであるとみなし、地域定員を固定した値とはしないで、地域にとって最も良い定員になるように調整を行うという形に受入保留方式を改良することで、安定的なマッチングを生み出すことが出来ることを示している。
 最後に述べておかなければいけないこととして、耐戦略性を満たしていない可能性を指摘する。米国の研修医マッチングでは約2万の病院が参加しているため、研修医は平均15程度の病院の希望順位を提出しているが、ロスとペランソンの研究によれば、こうして提出された選好は真の選好とみなしてよいと考えているが、それは容易には納得できない結果が出ている。受入保有方式の下で真の選好が表明される割合は4割~8割とかなりばらつきがあること、実験では研修医側が自分の真の希望順位では3位とか4位の病院を1位や2位に指名することがあることが示されており、それは逆にそうした病院が自分を上位にランクしているためであることが分かっている。こうした行動はマッチング参加者のアンケートでも見られ、スキッピング・ダウン戦略と呼ばれる。

エピローグ

※松島斉「オークション理論の偉業と未来」pp25-29,學士會会報第948号(May 2021-Ⅲ)

「家族の幸せ」の経済学-データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実-

2021-08-12 14:46:18 | OFF
山口慎太郎、光文社新書
東京大学経友会主催の講演会シリーズ第1回は、前・日銀総裁の白川方明氏が会長挨拶、講演は2019年に『「家族の幸せ」の経済学』(光文社新書)で第41回サントリー学芸賞を受賞した労働経済学の山口先生という豪華メンバーによるオンライン開催だった。講演では育休を取るノルウェーのお父さんはファーストペンギンだったことや保育園は恵まれない家庭の子供の発達改善につながるだけでなく、学歴の低いお母さんにとっての幸福度の向上につながることがダイジェストで話されていたが、本書は結婚や離婚についてもデータによるエビデンス(科学的根拠)で解説したもの。20年前には考えられない状況、勉強は続けないといけないなと改めて感じた。

はじめに
第1章 結婚の経済学
第2章 赤ちゃんの経済学
第3章 育休の経済学
第4章 イクメンの経済学
第5章 保育園の経済学
第6章 離婚の経済学
あとがき

はじめに
 結婚、出産、子育てにまつわる事柄について、経済学をはじめとした、実社会から得られたデータを分析した様々な科学的研究の成果をもとに、家族がより「幸せ」になるためのヒントを紹介した本。経済学は人々がなぜ・どのように意思決定をし、行動に移すのかについて考える学問であり、そこで得られて知識を活かすことで家族の幸せにより近づくことが出来る。
山口先生はアメリカ、カナダでの研究、教育に携わった経験から、日本でも女性が活躍することで経済と社会の活性化につながるのではないかと考えたのが「家族の経済学」を研究するきっかけで、現在は、東京大学で、労働市場や人事制度を分析対象とする労働経済学を研究、教育している。

第1章 結婚の経済学
人はなぜ結婚するのか、結婚に何を求めているのか、どうやってお互いを結婚相手として選ぶのか?
結婚相手の条件として「人柄」を重視する割合は男性が8割、女性が9割となっているが、「家事・育児の能力」を重視すると答えた男性は5割に対して、女性は6割近くになり、自分の仕事を理解してくれることを重視する女性は5割近くで、相手の経済力を重視すると答えた女性は4割という結果だが、高学歴でキャリアのある女性ほど子供によって暗黙のうちに失われる収入は大きくなること、世の中が便利になるにつれて、家事・育児能力の家庭における重要性が低下して、結婚から得られる「分業の利益」が下がっていることが未婚率が上昇している大きな理由と筆者は言う。
マッチングサイトでデートに至ったカップルのプロフィールを分析した結果、年齢、容姿、身長、体重、収入、学歴のすべてにおいて、似た者同士でマッチしており、また、男性は女性に対して容姿を、女性は男性に対して経済力を重視する傾向も分かる。これは人々の好みの結果なのか、それともマッチングサイト上においても、出会いの機会が不十分で、その結果似たもの同士が出会うことになったのについて、シミュレーションを行い、出会いの機会が十分ある場合に実現するだろうカップルの組合せを導き出した結果、実際にサイト上でカップルになった組合せの傾向とほぼ一致していることが明らかになった。
この結果から、マッチングサイト上では、事実上、誰もが誰とでも自由に出会え、出会いの機会が乏しいという問題は存在しないということである。出会いの機会を提供するのがマッチングサイトそのものの目的であるとはいえ、実際に十分な出会いの機会を提供できていることは、ちょっとした驚きであるとしている。
マッチングサイトがオフラインよりも出会いの機会を提供していると考えられるには2つの理由がある。1つは沢山のプロフィールを見ることが出来るから、もう一つはアプローチして、たとえうまくいかなかったとしても気まずい思いをしなくてもすむからである。
韓国のプロフィールに嘘をつく余地がないマッチングサイトで結婚したカップルを分析すると、マッチングサイトを利用した場合、より夫婦間の年齢や学歴、離婚歴の有無が似通っていること、オフラインでは出会う機会のない別の職業の人や他の地域に住んでいる人とも出会うことが出来る。

第2章 赤ちゃんの経済学
 出産と赤ちゃんの子育てについて何が真実で、何が神話か?
 日本は「小さく産んで大きく育てる」という言葉を聞くように、妊娠中毒症の予防を目的に、妊婦の体重指導が行われているが、こうした指導は日本特有である。OECD35か国の中、日本は、上位2番目で、生まれてくる赤ちゃんの9.5%が低出生体重児で、最近の研究で、妊娠中にお母さんが仕事をしていると生まれてくる赤ちゃんが低体重児になる可能性が増すことが明らかになっている。また、医療技術の発達もあるが、不妊治療技術の発達も低体重出生児の増加と関係があると言われている。
 低体重で生まれると、中年期以降に糖尿病や心臓病を発症しやすくなることや健康面に留まらず、出生時に低体重で生まれた子供は、幼少期の問題行動が多く、学力面で問題を抱え、成人後も所得が低くなりがちであることが報告されている。これらの研究は、子育ての仕方に原因があるのか、明確に区別がつけられないため、ただちに低体重が原因と結論できないが、妊娠中のお母さんの健康状態や栄養状態が子供の一生に少なからず関わってくることから、妊娠中のお母さんはもとより、家族や周囲の人が配慮することには大きな意味がある。
 母乳育児の長期的な効果の一つとして挙げられるのが、子供の将来の肥満防止であるが、身長・体重・肥満度(BMI)に加えて、血圧についても、6歳半の時点で調べたところ、母乳育児は、すべてに影響を与えているわけではないことが分かった。母乳育児は赤ちゃんの健康に一定のメリットがあるものの、お母さんの負担は大きい。夫の会社にフレックスタイム制がある場合には、母乳育児の実施率が上がり、母乳育児の期間も長くなる傾向が分かっており、お父さんの育児・就業支援策の対象とすることで、結果的にお母さんの育児と就業を支えることにつながる興味深い結果となっている。

第3章 育休の経済学
 育児休業制度でお母さんの働き方がどう変わるのか?
① 1年間の育休は母親就業にプラスの効果:出産5年後に仕事をしている母親の割合をおよそ50%から60%に引き上げている。
② 育休3年生に追加の効果はなし:育休3年制を導入しても、出産5年後に仕事をしている母親の割合は現在に比べて1%しか増えない。
③ 育休は3年もいらない:待機児童問題も深刻とはいえ、1歳になれば、無認可も含めて保育園の利用もより現実的に可能になること、育休3年制の下でも、給付金がもらえる期間が1年であれば、2年目以降は家計所得が大きく落ち込むため、多少の苦労があっても、収入のために仕事復帰をしたいと考えるお母さんが多数派であると予測される、今よりも手厚い育休3年制に移行したとしても、お母さんの就業に大きな影響を与えない。
今の制度以上に育休期間を延ばす必要はなく、育休中に支払われる給付金についても現行制度以上に引上げたり、給付期間を延長することには慎重になるべきである。貧富の格差を拡大してしまうことのないよう、お母さんの就業と子どもの発達を考えるならば、育休よりも保育園の充実にお金を使うべきと筆者は言う。

第4章 イクメンの経済学
 お父さんの子育てについて、お父さんが育児休業を取ると、子供にはどんな影響があるのか、夫婦仲はどう変わるのか?
 お父さんだけに割り振られた育休期間で見ると、日本は世界第2位の充実ぶりにも関わらず、育休取得が進まないことを、2006年時点で7割のお父さんが育休を取得するノルウェーの例から研究する。1993年の育休改革直後に育休を取ったのは一部の勇気あるお父さん達、こうしたお父さんが同僚あるいは兄弟にいた場合、育休取得率が11~15ポイントも上昇する。会社の上司が育休を取った時の部下に与える影響は、同僚同士の影響よりも2.5倍も強いことが分かる。
 ノルウェーの経験から、日本人は、まずお父さんが育休を取ることで職場で不利に扱われることがないことをしっかり保障すること。次に日本の制度では、直近6か月の給料の67%が給付金として支払われるが、この給料にはボーナスが含まれていないため、ボーナスをもらうことを前提として家計をやりくりしているサラリーマン家庭は、現在の給付金では不十分であるかもしれない。また職場で最初に育休を取った勇気あるお父さん達が、その後、不利に扱われなかったことを広く知らしめるべきである。
 育休改革の結果、お父さんが子供の看病のための休業を取るようになったかについては、ほとんど変化はなかったが、お父さんが育休を取得した場合、子供が16歳になった時の偏差値が1ほど上がったことが分かっている。生後1年間の親子の触れ合いが、その後の長期にわたる親子関係に大きな影響を及ぼすことを引用し、短い育休取得でも子供の影響が持続しうると論じている。

第5章 保育園の経済学 
保育園、幼稚園の幼児教育が子供の発達にどんな影響を及ぼすか?
幼児教育は、子供の知能指数のみならず、意欲、忍耐力、協調性を含む、社会情緒的能力と呼ばれるものを改善し、子供の人生に大きな影響を及ぼすことが明らかにされている。
厚労省が実施した「21世紀出生時縦断調査」は2001年、あるいは2010年に生まれた子供の中から8万人ほどを、出生時から追跡し、子供の発達状況から両親の就労状況、そして家庭環境などについて、詳しく調査している。
保育園通いが子供の発達にプラスの影響があっただけでなく、お母さんにも好ましい影響があったことが分かった。

第6章 離婚の経済学
離婚と親権の問題、離婚そのものが子供の発達に悪影響を及ぼすよりも、離婚が生み出す貧困が子供の発達に悪影響を及ぼしているという構図。子供の幸せという観点から考えても、離婚の手続きを難しくするよりは離婚が生み出す貧困の悪影響を避けるような社会の仕組みが必要。具体的には直接子供の助けになるような、金銭的支援の充実や学費・給食費の無償化、医療費に対する補助などが助けになる。
離婚後の共同親権を認めることで、離婚したお母さんが子供の養育費を受け取る確率が9%上がったことを明らかにした。離婚後共同親権を導入した州では男性の自殺率が9%減少した、結婚している夫婦における夫から妻への暴力が2.7%減少している。

マーケットデザイン―最先端の実用的な経済学-

2021-05-08 15:57:52 | 研究
坂井豊貴、2013年9月、ちくま新書
「マッチングを勉強したい」と話したら、正人さんから勧められた2冊のうちの1冊。学生時代にゲーム理論の初日で挫折し、現在は研究テーマで迷走中だったが、過去の実体験と経済学が結びついた喜びを素直に感じて、前に進めそうな気になった。各章の後半で、日本における適用を考察しているが、1990年代後半からマッチング理論の様々な領域への適用を検討してきた米国に対して、政策議論に経済学の知見が結びつかないまま、現在に至ていることが、現在の日米の生産性の差につながっているように感じた。

はじめに
第1章 組み合わせの妙技-アルゴリズム交換とその威力
第2章 両想いの実現-マッチング理論のケーススタディ
第3章 競り落としの工夫-オークション理論と経済価値の発見
読書案内
おわりに
参考文献

はじめに
マッチングを勉強するのに「マーケットデザイン」の本とは?と思いながら読み始めたところ、「マーケットデザイン」は経済学の新しい分野で、どんなに優れたモノを作っても適切な持ち手に届けないと製品としての価値が生まれず、社会を豊かにすることは出来ないことから、物理的なものづくりに対して、経済学的ものづくりに関する学問分野だという。18世紀のアダム・スミスは『国富論』で市場の価格調整機能を「神の見えざる手」と表現したが、実際の市場はブラックボックスではない。経済学に基づき、市場のルールを設計するのがマーケットデザインである。1870年代に現代経済学の礎を築いたレオン・ワルラスは経済学を技術として活用することに深い関心を抱いていたが、マーケットデザインは、役に立つことが分かりやすく、また使いやすいのが特徴である。

第1章 組み合わせの妙技-アルゴリズム交換とその威力
腎移植にマッチング理論を用いて患者とドナーの組み替えを組織的に行えるよう、最初に分析したのがアルビン・ロス、タイフン・ソンメツ、ウトック・ユンベル教授達で、彼らの研究を端緒として腎移植マッチングの研究が進展し、パク博士らのアイデアで実現することになる。
腎移植マッチングで考察するのは腎臓を求め需要する患者と腎臓を与え供給するドナーの間で、需給の一致を実現させることで、腎臓という希少資源を社会で上手く配分することを意味している。多くのマーケットデザインの研究では「どう制度を作れば需給一致が実現するか」を考察する。つまり良い結果が導かれるよう、逆算して制度を設計していく発想がマーケットデザインという学問分野の特徴である。
ロスとソンメツ、ユンベルが2004年に発表した共同論文の腎移植マッチングモデルは、ロイド・シャプリーとハーバート・スカーフによる「住宅市場モデル」に基づいている。腎臓と住宅は「ひとりが一つしか要らない」という点が似ている。住宅市場モデルを扱う『コアと非分割性』は1974年のジャーナル・オブ・マスティカル・エノコミクス誌に掲載されている。住宅市場モデルとは、今の部屋に満足していない学生が、一同に会して、学生寮の部屋を交換するが、その場の最低限の取り決めとして、誰も今より嫌な部屋には移らないという「個人道理性」という条件を尊重する。4人の学生がいて、各自が部屋を持っており、今の部屋に対して満足しておらず、4つの部屋に対して順位(選好)を付ける。学生と部屋の組合せを「配分」と呼び、配分Aより配分Bが優れていることを「パレート改善」するという。パレート改善することがない配分のことを「パレート効率的」という。
グループの抜け駆けを「ブロック」というが、ブロックが起こり得ない配分のことを「強コア配分」という。強コア配分の存在に関する重要な事実としては2つあり、
事実1:強コア配分は必ず存在する。強コア配分を実現しようという目標を立てることは意味をなす。
事実2:強コア配分は必ずただ一つしか存在しない。強コア配分の実現を目指すとして、どの強コア配分にしようか迷う余地はない。
配分は数が増えるにしたがって増えていくため、それが強コア配分かどうかを確認するのは大変になる。この問題を解決するために編み出されたのがデビッド・ゲールによるトップ・トレーディング・サイクル・アルゴリズム(TTCアルゴリズム)であるが、TTCアルゴリズムは1974年のシャプリーとスカーフの論文内で「これはゲールにより考案されたものだ」として初めて世に出ているが、ゲール自身の論文に掲載されたわけではないので、TTCアルゴリズムについて記載する場合は「ゲールによるTTCアルゴリズム」と述べたうえで、シャプリーとスカーフの論文を引用する必要がある。
配分の個数はnの階乗!であるが、TTCアルゴリズムの下では、人々の選好がどのようであろうとも、各回のステップが必ず一つはサイクルができる。よって各回、最低一人はその場からいなくなる。そのためn人の学生がいるとしても、n回のステップでその場からいなくなり、終了する。
多数決のルールの下では正直に投票することが必ずしも得策ではないが、TTCアルゴリズムの下では、虚偽の指差しにより得をすることは一切ないことをロスが証明しており、この性質を「耐戦略性」と呼ぶ。
ラトガース大学のジンペン・マー准教授は1994年のインターナショナル・ジャーナル・オブ・ゲームセオリー誌に掲載した論文で、耐戦略性、パレート効率性、個人合理性を満たすルールは強コアルールの他には存在しないことを示した。ある特定のルールを、いくつかの性質を満たす唯一のものであると数学的に示すことを公理的特徴付けという。
トルコ出身の研究者、アティラ・アブドゥルカディログルとタイフン・ソンメルらは、住宅市場モデルを、既に自分の部屋を持つ学生(居住者)たちの間だけで部屋を交換するのではなく、空き部屋と新たな入寮者が存在するようなモデルに拡張し、そこで上手く働くようなTTCアルゴリズムの修正を考え、『居住者がいる場合の住宅配分』というタイトルで、1999年のジャーナル・オブ・エコノミックセオリー誌に公刊されている。それが後に腎移植マッチングにつながっていく。
居住者=患者
居住者の部屋=患者のドナー
空き部屋=献腎
入寮者=ドナーを持たない患者と読み替えることができるが、住宅配分問題と異なるのは、空き部屋(献腎)の数が少なく、またそれは最初からあるものではなく、たまに提供されるという腎移植マッチング特有の事情がある。
ロスたちは2004年の論文では主にTTCアルゴリズムに基づいた、つまりサイクルのサイズを制限しないアルゴリズムについて論じ、翌年のジャーナルに掲載した論文では『2組ごとの腎臓交換』ではドナー交換を2組間のみに留めるとどうなるかという問題を考察、その後の関連論文で得られた成果を要約すると、ドナー交換を3組、4組まで広げると、適合ペアの数は飛躍的に増加していく。
裏切りをどうしても阻止したいならば、メリーランド大学のローレンス・オーズベル教授とノースカロライナ州立大学のセイヤーモリル助教授らが提案した、不適合ペアのドナーの腎臓を先に取っておくというマッチング方法が良い。二人はこのアイデアをマクロ経済学の世代重複モデルから得たと述べている。

第2章 両想いの実現-マッチング理論のケーススタディ
ゲールとシャプリーは1962年に米国数学会の月誌に公刊した『大学入試と結婚の安定性』というタイトルの論文で、マッチングを定式化し、安定マッチングと呼ばれる組合せの概念を導入し、安定マッチングを短時間で見つける受入保留方式と呼ばれるアルゴリズムを与えた。これは今日、研修医マッチングや学校選択マッチング、大学の付属高校から大学学部への学生の割当など、多くの場面で活用されている。
ロスは研修医マッチングに続き、2000年代になってボストン市とニューヨーク市における公立学校のマッチング方式の改正に関わるが、マッチング理論を学校選択の文脈で活用することを最初に論じたのはボストン・カレッジのソンメツ教授とその共同研究者たちである。研修医マッチングでは各病院が研修医に対して選好を持っていたが、公立学校側に「どの学生が欲しい」ような選好は持たない。
ボストン市では、ロスが改革に携わる前は「早いもの勝ち」的なボストン方式と呼ばれる方法がとられていた。研修医マッチングでは各研修医が「最初の持ち分の病院」を持っていないので、TTC方式は利用できないが、学区の概念が意味を持つ学校選択マッチングでは、TTC方式は耐戦略性を満たし、財の配分においてパレート効率性を実現する。また自分の学区の学校より嫌な学校には割り当てられないという個人合理性も満たす。ボストン、受入保留方式、TTCのどの方式を採用するかで結果が大きく変わってくる。

第3章 競り落としの工夫-オークション理論と経済価値の発見
第2価格オークションとは勝者が入札額の中で二番目に高い金額を支払う方式である。相手がどのような行動を取ろうとも、自分にとって常に最適な行動をすることを支配戦略というが、第2価格オークションの下では、各参加者が自分の評価額をそのまま正直に入札するのが支配戦略になっており、耐戦略性を満たすという。
各買い手は他者の入札行動が分からないので、確率的に他社の入札行動を予想して、自分の利得の予想額が最大化するよう入札する(ゲーム理論のベイジアンナッシュ均衡という概念)。第1価格オークションの下で期待収益を計算すると、実はその金額は第2価格オークションでの期待収益と一致することを、1961年にウィリアム・ヴィックリーがジャーナル・オブ・ファイナンス誌に掲載した論文で示したもので、収益同値定理と言う。オークション理論という新領域の幕開けとなる貢献で、1996年にノーベル経済学賞を与えられている。
一個の財を売るときには第2価格オークションが耐戦略性を満たす優れた方式だが、複数個の財を売る同質財オークションにおいて耐戦略性を満たすのは新方式のヴィックリーオークションである。
ビッド支払いオークション:上位の限界評価から順に財を割り当てていき、その金額を支払ってもらう方式で、価格差別オークションとも呼ばれるが耐戦略性を満たすものではない。
次点価格オークション、次点価格オークションの耐戦略性を満たしそうな修正を加えても、また満たさない。
ヴィックリーオークション:例えば2個の財を得た勝者は「他者の入札額のうち、落札できなかったものの中で上位2つ」に当たる金額を支払う。

ハイエクは競争を「発見の手段」と表現したが、オークションに限らず、マーケットデザインの特徴は、あくまでルールを作るという点にある。計画経済のように結果を定めるのではなく、手段を定めるものである。18世紀にアダム・スミスが考察した自由市場の機能と、19世紀にレオン・ワルラスが重視した技術としての経済学、そして20世紀にフリードリヒ・フォン・ハイエクが「発見の手段」と評した競争のアイデア。それらの知見を21世紀に結実させ開花した地域の結晶がマーケットデザインである。

プロフェッショナル・マネージャー

2020-05-06 17:25:40 | ON
本書は世界最大のコングロマリットを築いたハロルド・ジェニーンという人物の経営持論である。
10年間に買収した企業は、シェラトンホテル、エイビスレンタカー、コンチネンタルベイキングなど、300社を超え、その地域も60か国以上に上る。買収の判断基準は利益という観点だけで、論理的な根拠も一貫性もないが、それだけ多くの、支離滅裂の企業群を経営するのは途方もない仕事で、ジェニーン本人が仕事中毒であった。

ファーストリテイリングの柳井代表取締役会長兼社長が「私の最高の教科書」として、本の帯には、ユニクロ「幻のバイブル」と書かれているので、教会の日曜学校風に、印象深いフレーズを引用しておく。

第四章 二つの組織から
“事実”の中には“表面的な事実(一見事実と見える事柄)”“仮定的事実(事実と見なされていること)”“報告された事実(事実として報告されたこと)”“希望的事実(願わくば事実であってほしい事柄)”、事実のレッテルを貼られ、事実として受け入れられた”受容事実“は、たいていの場合、事実ではない。
プロフェッショナル・マネジメントという最高の芸術は、“本当の事実”をそれ以外のものから“嗅ぎ分ける”能力と、さらには現在自分の手もとにあるものが、“揺るがすことができない事実”であると確認するひたむきさと、知的好奇心と、根性と、必要な場合には無作法さをもそなえていることを要求する。
今すぐに、それは事実か?と、そして揺るがすことのできない事実か?と尋ねる習慣を身に着けようではないか。
付言その1:一見してどんな印象を受けようとも、念のため、かならずそれを“”揺すってみること
付言その2:このメッセージをラインの下部まで徹底させられたし。

第六章 リーダーシップ
リーダーシップの質こそ、企業の成功をもたらす処方に含まれるもっとも重要な成分
私に固有のリーダーシップの感覚の傾向として、最前のやり方として選んだのは、他の人々と一緒にボートに飛び乗り、オールをつかんで漕ぎ始めることだった。仮に名づけるなら、参加的リーダーシップと呼んでもよかろう。
私はボートの後尾に座って、自分は何もせず、部下達にすべての仕事をするように説諭する船長になりたくなかった。また両手に大きな鞭を握って、奴隷達を死ぬほどの恐怖に縮みあがらせる奴隷船の船長にもなりたくなかった。
ルックスや家柄の良さをせいぜい利用している、チャーミングで屈託のない人々は敬遠、あまりにも賢すぎて、われわれ凡人とはうまくやっていけない天才も欲しくなかった。
マネージャー自身と、その計画の顕現たる毎日の何百という小さなおこないにかかっている。リーダーシップは人生と同様、歩みながら学ぶほかはない。

第七章 エグゼクティブの机
机の上に何も出ていない、綺麗な机の主はビジネスの現実から隔離されて、それを他の誰かに代わって運営してもらっている。
エグゼクティブとしてすることになっている仕事を本当にやっているなら、彼の机の上は散らかっているのが当然だ。なぜなら、エグゼクティブの職業生活そのものが“散らかった(雑然とした)”ものだからである。

第十章 買収と成長
広範な経済活動をカバーする多業種、多種製品会社は、経済的不況に対する保険をかけているようなものだ。カバーする範囲が十分に広ければ、会社のある製品には、他の製品が不況に見舞われている時も、なお需要があり、よく捌けているだろう。どんな業種にもサイクルはある。それを潮のように上げ下げするが、ただ潮よりもずっと予測しがたい。

第十一章 企業家精神
起業家精神ではなく、企業家であることがポイント

第十二章 取締役会
最高経営者の報酬を取締役会が決めるにあたり、個人としてどのようなことをし、どんな直接的貢献をしたのか?それだけの報酬を得るのに十分なだけ傑出した、どのような真の個人的貢献を、きみはしたのか?
会社のマネジメントの業績達成の基準をどこに置くか、去年または今年、会社がどれだけの収益を挙げたかではなく、挙げるべきであったかということ。会社の発揮されずに終わった能力、取り逃した機会、到達されなかった水準、失われた時間、行われなかった方向転換に、ほとんどの取締役会が注意を向けていない。
取締役あっちはマネジメントの業績を客観的に眺める態度を取り戻さなくてはならない。年来、生産性と並んで、次第に失われてきたのは客観性。

第十三章 気になること―結びとして
良い経営の基本的要素は、情緒的な態度である。
“ガッツ”、マネジメントは生きている力、納得できる水準、その気があるなら高い水準に達するように、物事をやり遂げる力。
リーダーシップは、物事を遂行するように人々を駆り立て、答えを出さなくてはならないと感じるがゆえにそれをやり続け、満足できる結果を得るまでやめないように駆り立てる情念の力。
物事を行うには会社の機構を通し、近道をせず、ルールにしたがってやらねばならぬ、しかしルールに従って考える必要はない。物事がいつでもなされるやり方に自分の想像力を閉じ込めるのは大きな誤りである。
真のリーダーで、どれほど高価につこうとも自分に課された宿題をやらない人間には、私は会ったことがない。

第十四章 やろう!
実績のみが、きみの自信、能力、そして勇気の裁量の尺度だ。実績のみがきみ自身として成長する自由をきみに与えてくれる。
マネジャーとは“実績をもたらす人間”だと定義する。

再度、読み返して気がついた箇所がある。
営業経験の最大の意義は一対一の折衝を無数に伴う業務であることだ。しばしば指摘されるように、結局、ビジネスは一対一。
良いリーダーはあまねく「やってみて、フィードバックを得る」という、実に明瞭でシンプルな原則を大切にしている。どう消化するか?
卓越したリーダーは、居心地の悪い場所から飛び出すことをいとわない。同時に、極めて地に足のついているようにも見える。
自分の原点を意識する。取り巻く状況の変遷にただ流されない。おかれた状況に適応していく。自分らしさを見失わずに行っていくのだ。

恩師へ

2020-05-05 15:03:17 | LIFE
iPadを元の会社に返却しなければいけないので、内容を確認していたら、恩師のお別れの会の閉会の言葉が出てきました。
大学のゼミの恩師が亡くなって6年になります。いつまでも忘れないよう、アップします。

本日は、ゼミ生が先生とお別れが出来るよう、このような会を開いて頂きましたこと、奥様、本当にありがとうございます。また、お忙しいところ、ご予定を調整頂いたり、残念ながら本日は欠席で申し訳ないというご連絡を頂いた方もいらっしゃいますが、本当に沢山の方にお集まりいただき、お別れの会が出来ましたこと、事務局として心より御礼申し上げます。
会の準備段階から、鵜瀞恵子さんから色々アドバイスを頂きました。ありがとうございました。
奥様から、先生のご遺志ということで、ご相談頂きまして、本日を迎えたわけですが、先生のご希望通りの会になったでしょうか?
まず事務局からのお知らせを一つ、経友の10月号にて岡野先生の追悼号が企画されています。44年卒の奥野先生、47年卒の金本先生、52年卒の鵜瀞先生、56年卒の常木先生と本日の司会をしている平成3年の赤松先生にお願いしておりますが、私から本日のお別れの会を報告させていただきます。
皆様から送っていただいている追悼メッセージ、文集の原稿と本日の会のご報告を取りまとめ、「文の集い特別号」として、奥様にお渡しすると共に皆様へも郵送致します。受付の時に名簿をご確認頂いておりますが、まだの方はお帰りの際に、ご確認をお願いします。また後日、ご住所が変わられた方は私宛に連絡お願いいたします。原稿は7月13日まで募集しておりますので、どしどしお寄せ頂ければと思います。
岡野先生の小学校、中学の作文、青年期に闘病を綴られた手紙形式の記録、そして茨木のり子さんの詩集など、先生の心情に触れられる作品も、奥様から提供頂いておりますので、特別号に掲載させていただきます。
編集の特権で、皆様からの原稿を一番に読ませて頂いておりますが、私の知らない時代の先生の思い出や素晴らしいところに、いちいち全てにうなづいて、そして、もう先生から何も言ってもらえない淋しさを感じております。
岡野先生との思い出は、一番下っ端の割には沢山あると思いますが、私だけのエピソードと言えば、学生の時になにげなく「結婚するまで、バレンタインにチョコレートを送ります」と言って、なかなか結婚しなかったので、 卒業後も10年お送りしていて、披露宴の時にも祝辞でそのように話されていたので、一旦やめたのですが、何かのタイミングで復活させて、ここで昨年まで続けていましたと言えば、格好がつくのですが、ホワイトデーのお返しを強要しているようで、数年前にやめてしまったことが、私だけのエピソードだと思います。
本日のカメラマンをやっている野口が主人ですが、私と知り合う前に、偶然にも電気通信市場の自由化の調査で二度ほど先生と海外出張をさせていただいており、学問の世界では、私以上に先生の教えを受けておりまして、先生が亡くなった時は、両親が亡くなったことに続くショックを受けておりました。
岡野先生にはもっともっと長生きしていただいて、先生のお話を聞きたかったと思っておりますが、今となってはそれがかないません。ただ、岡野ゼミ門下生は、この先もずっと、先生だったらどうされるかなと常に考え、エリートは社会のために働く義務があると先生も仰っていましたとおり、社会のために働き続けていくことをお約束したいと思います。
この先のOB・OG会ですが、岡野先生が私に最後に送ってくださったメールに、今年の会には参加する自信はありませんが、と書かれておりました。
今までのように毎年とはいかないかと思いますが、三回忌などの節目に、奥様を特別会員としてお招きし、皆様のご賛同が頂けましたら、会としては続けていければと願っております。
最後になりましたが、岡野先生への感謝の気持ちと岡野ゼミの皆様のご健康をお祈りしまして、本日は閉会とさせていただきます。
奥様、皆様、本当にありがとうございました。

研究室の特別授業

2020-04-26 14:39:06 | 研究
研究室では、徳島県在住の方をお呼びして、学生に話をしていただく機会を設けているそうで、そのような特別授業の模様はモノクロの冊子にまとめられている。

「伝える」で仕事を創る
~uta no taneオーナー、KGI PRESS代表 森 香菜子さん(2017年5月9日)
1981年徳島県生まれ、大学卒業後、徳島県のタウン情報誌の編集者・ライターとして勤務、2012年に編集経験を軸にものづくりを行うグラフィックデザイナー・編集者・ライターとして独立。同時にギャラリーショップ「uta no tane」を徳島市内にオープン。店舗では絵やクラフトなどの展示企画も行っている。媒体にこだらわず、”伝えること”をテーマに幅広く活動。
「藍に人生をかける」
BUAISOU代表社員、藍師・染師 渡邉 健太さん(2016年10月24日)
1986年山形県生まれ、大学卒業後、貿易会社に勤務するも、藍染の世界と出会ったことから2012年徳島県上板町に地域おこし協力隊として着任。

田口先生の「地域づくりをサポートする相手をずっと見守っていきたいと思うのと近しいなと思ったんだけど。キャパシティがある気がして、これ以上は見きれない」について、森さんが「それはあります。だからあの人もこの人もいいって思ったりするけど、それはほんとに逆に作家さんのためにならない。ほんとはいい付き合いがこれからも出来るだろうっていう人と小さく付き合っていけたらいいって思う」。
渡邉さんが「会社は今ぐらいがちょうど良い、これ以上広げたら、制作と経営、多分これ以上広げたらコントロールできなくなってしまいそう。一か所でやっている意味がなくなっちゃう。」

事業の規模と継続性というのは非常に難しい。自分だけで出来る範囲の仕事であれば、自分が働けなくなれば、それで終わりになる。
神山モデルのスゴイと思うところは第2、第3世代の担い手がいるところだと思う。


 

桜咲く🌸

2020-03-21 17:28:39 | ランニング
三連休は日中、お天気がよくお花見日和でした。
自粛とはいえ、浜町公園や隅田公園は、少人数で花見酒を楽しんでいる人がボチボチいました。
日曜日には、靖国神社の桜が満開に。
来週はもう散ってるかな?


自分を肯定して生きる

2020-03-09 21:57:51 | 研究


gaccoでSDGsに関連する講座を受講した際に、参考文献になっていた一冊。
副題はプラグマティックな生き方入門、
帯には「自分には何もない」と嘆く前に、「今、あるもの」で勝負する。とある。

プラグマティックな生き方とは
・他人の目から見た、社会的な地位や評判、序列、所属を基準にしない
・自分自身の判断で、「役に立つ/意義がある」生き方を希望する
・「今、ここ」でできることを確実に実践する
・少しずつでも自分を理想の状態に高めていく

第1章 なぜ人生が「パッとしない」のかー負のスパイラルの原因を探るー
第2章 プラグマティックな生き方という武器ー考え方を味方につけるー
第3章 こんな時どうする?-プラグマティックに考え「潮目」を変えようー

日本人は自己肯定感が低く、現実的に考えるのは苦手な人が多いが、最もプラグマティックに考えなければいけないのが政治の世界である。
政治は「all or nothing」ではなく「more or less」。
100%理想の実現からしたら、明らかな妥協であるが、北方領土や尖閣諸島の問題を考えると、100対0の完全勝利はあり得ない。
守破離とも言うように、まずは型から入る、基礎をみっちり叩き込むのが日本の伝統的な学びの手法だったが、このやり方は必ずしもベストではない。
基礎にこだわりすぎるがあまり、結果的に本懐を遂げられないことになるリスクを、認識しておくべき。

第3章では、20の困った場面に遭遇した時のプラグマティックな考え方が紹介。
「職場でどうしてもうまくいかない人がいる」
関係が悪いと「やりにくい」のも事実であるが、仕方がないと割り切る。最低限のやり方で接するしかないわけだし、それで良い。ただし、この状態は相手にとっても「やりにくい」わけで、互いにとって不利得な状態であれば、いずれ「歩み寄る」こともあるかもしれない。
ポツンとひとりになっても良いじゃないか。無理して、我慢して、自分を殺してまで他人と仲良くするより、一人を選んだ自分がよっぽど「マシ」だということに気づいてください。

「プラグマティックな生き方」は、「今ある自分で勝負する」生き方。
その基盤をなすものは「自らを徹底的に肯定する」ことです。
まずはじめに自分を認めること、そしてそこから何ができるのかを考え、実行する。




有言実行

2020-02-26 22:17:59 | LIFE
4月から始まる新しい生活に備えて、今日から1日1時間、必ず読書をすることにしました。
備忘も兼ねて、書評をブログに掲載します。
後、読書の時間を確保するために、一人家呑みは止めます。ホントは昨日からのはずだったのですが、急には良くないと、言い訳して、最後のビールをいただきました。ついでに体重も減らないかなと期待して、体重計買いました^^

2月22日の日経、佐藤卓己先生の「半歩遅れの読書術」
「学問を職業として選んだ以上、読書には禁欲が必要です」。大学院演習で毎年口にする。
学問を職業として者にとっては、読書はまず仕事である。趣味で本を読むのは大学生まで、と覚悟すべきだ。私も大学院時代は学術文献ばかり読んでいた。

2018年のマラソン

2018-12-31 14:40:02 | ランニング
月1回の更新どころか、年1回の更新になりつつあります。
大晦日にして、今年初めてのブログアップです。
2015年3月22日にとくしまマラソンを完走してから、亀レベルで走り続けています。

4シーズン目となる2018年は、とくしま、碓氷軽井沢ハーフ・アンド・ハーフ(これはフルでカウントするローカルルール)、おかやま、湘南で4回のフルを完走、ハーフは5月の軽井沢の1回でした。

3月のとくしまは、まさかの一人出場。
冬からずっと脚が痛くて、あまり練習できないまま、スタート、前半は5時間切れそうなペースでしたが、練習不足から後半は失速。いつも応援してくれる人も見つけられないまま、寂しくゴールしました。
でも一応、完走バンザイを初めてやってもらいました。

その後、ボートで藍場浜公園へ移動。おかやまマラソンのチラシが配られていて、おかやまは第1回から気になっていたものの、抽選だしとためらっていたのですが、チラシを配っている方が「抽選とはいえ、そこまで倍率高くないので走れますよ」と言われ、申し込んだのがおかやまマラソンでした。

11月のおかやまは、初めての参加、気温が高かったものの、楽しく走れました。
岡山マラソンに合わせて開発されたスポーツきびだんごを始め、給水所にはマスカットやお菓子が充実していて、補給のジェルをほぼ食べないままゴール。
キロ表示の下の川柳も楽しく、岡山や平成の終わりを感じながら、あっという間のゴールでした。

 11キロ:完走し 気分爽快 まースカット
 17キロ:桃ほどに 甘くはないよ 岡山路
 24キロ:走り切れ、もうすぐ君も 桃太郎
 37キロ:平成も 目指すゴールも あと少し
 41キロ:平成を 完走したら 新時代

完走メダルは備前焼です。
走り終わった後に、祭り寿司とママカリのお寿司をいただき、新幹線で帰りましたが、新幹線の中で二次会のつもりが、東京までほぼ爆睡でした。

湘南は、昨年から、大磯ロングビーチが全面改修されて、キレイになりました。
今年は前日の勝負飯が、うなぎではなく、ホテルのバイキングになったのは残念でしたが、朝ごはんも、気のせいか、昨年より美味しくなったような感じがして、スッキリした気分でスタート。
毎回、タイム的にはイマイチだったのですが、今年は、ゴールまで、びっくりするくらいポジティブ脳で走れたからか、プライベートベストを更新することが出来ました。

50歳になり、フルマラソン100レース完走、全県制覇を、人生の目標の1つに設定しました。
湘南までで15回のフルマラソンを完走したので、残り85回、いつまで走れるか分からないので、年間、できれば5回走っておきたいですが、恒例の大会の日程以外で、フルで、走ったことのない県と考えると、どの大会に出るか、選定は意外に難しいものです。

東京マラソンは相変わらず当らないし、今年はボランティアにも応募しましたが落選。
2019年は、1月に初めて東京30kに参加、3月のとくしままで、できるだけ30キロを走るようにして、4時間半を切りたいです。あとは、新しいレースをどこにするか?ランナーズを見ながら、考えます。
初詣は、来年も、怪我なく、夫婦で楽しく走れることをお願いしたいと思います。
皆様も、よいお年をお迎えください。