阿川佐和子著「聞く力」を読みました。
インタビューをするための技術書的な本ですが、日常の会話を円滑にすすめるためにも役立ちそうです。
まあ、書かれていることはそんなにビックリするほどのことではなくて、普通に相手のことを念頭に置いていればいいだけの話です。
多少のインタビュー技術はあるのでしょうが、問題は相手の性格や気分であって、質問自体にはそれほどの新規性は必要ないのでしょう。話題の本なので読みましたが、特に得たものはありません。
阿川佐和子著「聞く力」を読みました。
インタビューをするための技術書的な本ですが、日常の会話を円滑にすすめるためにも役立ちそうです。
まあ、書かれていることはそんなにビックリするほどのことではなくて、普通に相手のことを念頭に置いていればいいだけの話です。
多少のインタビュー技術はあるのでしょうが、問題は相手の性格や気分であって、質問自体にはそれほどの新規性は必要ないのでしょう。話題の本なので読みましたが、特に得たものはありません。
三谷幸喜著「清須会議」を読みました。
なにしろ登場人物がみんな現代語で話してくれるので、大変に分かり易く、面白かったです。
特に信長の妹・お市の心情には執念と意気込みを感じました。
歴史的な事実も大方そのまま表現されています。「清須会議」の舞台裏を知りたい方必読の書です。
伊坂幸太郎著「死神の浮力」を読みました。最新刊です。
娘を殺されてしまった夫婦が犯人を捕まえて復讐をしようと画策する話です。その主人公夫婦の夫の方の死の判定に来ているのが「千葉」という死神です。
死神は、この夫婦と行動を共にして、犯人を捕まえる手助けをしているんだか邪魔しているんだか。
娘を殺されてしまった可哀想な夫婦と、25人に1人はいるという良心を持たないサイコパスの犯人が、ちょっと不自然な追いかけっこをします。直接夫婦が復讐するために、裁判ではあえて無罪にしておいて、犯人を追跡するのだが、犯人の方が悪賢いのでなかなか捕まえられない。
最後は犯人の乗った車を、死神と夫が二人乗りした自転車で猛追する。死神の脚力は半端じゃない!
面白いかと聞かれれば、まあ面白いよ、と答えるしかないが、なにしろ幼い娘が殺されちゃうので、気分のいい話ではないな。
東野圭吾著「虚像の道化師」を読みました。
ガリレオシリーズの第7弾になります。短編集で、第一章・幻惑す(まどわす)、第二章・心聴る(きこえる)、第三章・偽装う(よそおう)、第四章・演技る(えんじる)。
一見湯川の出番はない事件かと思いきや、やはり湯川の手を借りないと解決しない事件ばかりだった。なかなか面白かった。ガリレオファンには物足りないという感想もあるようだが、ガリレオシリーズの入門書としては最適な作品集だろう。
草薙をライバル視している同期の刑事の葛藤や、傘を貸してくれた女性を助けるところなどは、上手く書かれている。
フェルディナント・フォン・シーラッハ著「コリーニ事件」を読みました。
裁判ものは好きでよく読むのだが、この本は失敗だったかも。期待して読んだのだが、ほとんど盛り上がらなかった。こんな展開なら買わなかった。
まだ和久俊三の赤カブ検事ものの方が面白い。
短編集の「犯罪」のほうがまだ得るものがあった。
百田尚樹著「モンスター」を読みました。
「誰もが魅了される絶世の美女・未帆。しかし彼女の顔はかつて畸形的なまでに醜かった。莫大な金額をかけて徹底的に整形し、変身を遂げたのは何のためか。」
畸形的なまでに醜く生まれてしまった女性の悲惨な人生がこれでもかこれでもかと迫ってきます。これじゃああまりにも可哀想だわ!
どうしても女性は顔の美醜で人柄まで判断されてしまうようで、主人公は整形美容にはまり込みます。そして遂に「町で一番美しい女」に変身して故郷の町に帰ってきます。すると昔は「ブス」だ「化け物」だと言っていた男たちが、手のひらを返したように「離婚するから結婚してくれ」とか言い出します。
なんと身勝手な男たちの言い分なのでしょう。読んでいて恥ずかしくなりました。
実際には畸形的なまでに醜かったものが整形によって絶世の美女にまでなれるとは思えませんが、しかし顔が美形になるに連れて、どんどん世間の男どもは近寄って来るのですね。
生まれついての美人よりも、苦労してお金を貯めて整形して美を手にした女性の方が、本当の美しさを理解出来るということなのです。
「どうせ結婚するならブスより美人」は世間の真理ですが、美人でも根性が曲がっていたら最悪なのですね。大変に興味深い本です。
ロバート・J・ソウヤー著「フラッシュフォワード」を読みました。
ドラマ化もされていますが、原作はドラマとは内容が違います。
ヒッグス粒子を発見すべく大規模な実験をおこなったところが、その実験は失敗におわり、そのうえ、世界中の数十億の人びとの意識が数分間だけ21年後の未来にとんでしまった! 人びとは、みずからが見た未来をもとに行動を起こすが、はたして未来は変更可能なのか…。
大変に興味の持てる内容で、わくわくしながら読みました。意識が21年後に飛ばない人もいて、そういう人は21年後には死んでいるのです。
数分間だけ意識を失っていた間に多くの事故も起き、死者も出ます。また、自分の21年後の未来を見て、その未来の自分の立場や姿に絶望して、自殺してしまう人も多くいます。未来は知らない方が幸せなのでしょう。
自殺が出来てしまうということは、未来を変えられるということで、ならば自殺することもないのでしょう。なかなか面白い話でした。
筒井康隆著「ダンシング・ヴァニティ」を読みました。
筒井康隆作品は昔からかなり好きで、新潮社の筒井康隆全集も持っているが、ここ5年ほどは全く読んでいなかった。というのも、筒井康隆作品は、短編のハチャメチャものが面白いからです。そういうハチャメチャものはあまり書かなくなっていたので、敬遠していました。
そんななか、BOOK・OFFに105円であった「ダンシング・ヴァニティ」。久々に読んでみたくなり購入。あらゆる場面で執拗に繰り返される「反復記述」で構成された作品。なにしろ繰り返す。2ページくらいの文章が5回くらい連続で繰り返される。もちろん内容は多少変えられているが、ほとんど同じ。だからこの作品は繰り返しを無くせば1/5になる。まさに筒井康隆作品だと思った。
面白いかと問われれば、「まあ面白い」と答えるが、この反復がどの程度気にならないかが分かれ目。気になる人には「なんだこの本は!」と捨てられるかも。
「ウルトラマンが泣いている」という新書を読んだ。
ウルトラマンで有名な円谷プロ一族の失敗の話だ。
「特撮の神様」と呼ばれた円谷英二の孫で、「円谷プロ」六代社長でもある円谷英明氏が書いている。
円谷プロはウルトラマンでさぞかし儲かっていたのだろうと思っていたが、実情は大赤字の連続だったらしい。
当時TBSテレビは30分のウルトラマン製作費1本に550万円を支払っていたが、実際の経費は1本1000万円近くかかっていて、番組を作る度に借金が累積していたという。要するに、そういう会社経営面でのトータルを管理できる人材がいなかったのだ。
しかも円谷一族は仲が悪く、まとまりもなかったようだ。特に三代社長円谷皐(のぼる)のワンマンさは酷く、円谷プロ衰退の元凶かもしれない。
わたしはウルトラマン世代なのでよく見ていたが、裏ではこんな泥臭い親族間の争いがあったのだなぁ! これじゃあウルトラマンは間違いなく泣いているだろう。ワンワン泣いているだろう。
相場英雄著「震える牛」を読みました。
警察ものです。メモ魔の刑事田川信一が、発生から二年が経ち未解決となっている「中野駅前 居酒屋強盗殺人事件」の捜査を命じられる。初動捜査が拙かったために犯人は捕まっていない。田川は関係者の証言を再度積み重ねることで、新たな容疑者をあぶり出し任意同行して自白させたが、犯人には、大物の後ろ盾があった。
オビに「平成版・砂の器」と書かれているが、まあ、そう言ってもいいだろう。地道な捜査が実を結ぶ。しかし、最後の最後に落とし穴があった!
これじゃあ刑事なんかやってられねぇ!
なかなか面白かったです。