どんな紙でも見分けられる男・渡部が営む紙鑑定事務所。ある日そこに「紙鑑定」を「神探偵」と勘違いした女性が、彼氏の浮気調査をしてほしいと訪ねてくる。手がかりはプラモデルの写真一枚だけ。調査を始めた渡部は、伝説のプラモデル造形家・土生井と出会い、意外な真相にたどり着く。さらに翌々日、行方不明の妹を捜す女性が、妹の部屋にあったジオラマを持って渡部を訪ねてくる。土生井とともに調査を始めた渡部は、それが恐ろしい大量殺人計画を示唆していることを知り―。第18回『このミステリーがすごい!』大賞大賞受賞作。
紙鑑定士と伝説のプラモデル造形家の組み合わせは実に興味深かったが、「恐ろしい大量殺人計画」はいただけない。あまりにも荒唐無稽だ。犯罪課程が雑過ぎる。あり得ない。現実を凌駕している。もう少し実現可能な推移でないと、絵空事で終わってしまう。こんな作品を大賞にしてしまうとは、選考委員の見識を疑う。