訪問

◇ 訪問 ◇
去りてより 幾ばくもせず訪れし
街並み既に
過去のものにて


◇ 饗宴 ◇
かつて住みし街の仲間は
我をエサに 飲めり歌えり
夜の更けるまで

◇ 宿泊 ◇
終電は
予定どおりに 既になく
予定どおりに 泊めてもらえり

三島の死

◇ 四十五年 ◇
四十五で死して
四十五年たつという
三島由紀夫の 割腹事件

◇ 表現 ◇
憂国の情なるものの表現は
ほかにもあった
ような気がする

◇ 考量 ◇
犠牲対効果と
事件を捉えれば
何の効果が あったというのか

◇ 謎 ◇
これからも さまざま
語られゆくならん
理解のできぬ 三島の自決

◇ 衝動買い ◇
偶然に 書店で見かけし
三島本「命売ります」
買ってしまえり

中級へ

◇ 中級へ ◇
マイボウルを プレゼントという
中級の ボウリングクラスに
申込みせり

◇ 進歩 ◇
いくらかは
ボウルのコースも 安定し
わずかに増えたり 我がアベレージ

◇ 目的 ◇
体力を 維持せんがための
ボウリング
得点などは 二の次でよし

冬みかん

◇ 冬みかん １ ◇
店頭に
冬のみかんの 並びきて
風の冷たき日も 増えにけり

◇ 冬みかん ２ ◇
好物の柿
店先より 消えゆけば
次の好物 みかんが並ぶ

北の湖

◇ 北の湖 １ ◇
相撲取り
早死なるは 聞きしかど
北の湖さん 六十二歳で

◇ 北の湖 ２ ◇
猫だまし 横綱が使うを
批判していたのは
わずか 数日前なり

◇ 北の湖 ３ ◇
強過ぎて
好きでなかった 北の湖
理事長職は 強くてもよし

◇ 北の湖 ４ ◇
あっけなく 逝ってしまった
北の湖
何より無念は 本人ならん

◇ 北の湖 ５ ◇
理事長を 継ぐなら
日本の 相撲道
見通せること 肝心ならん