あのマスクたちは

2022年07月15日 | 短歌
あのマスクたちは今ごろどこでどうしているのだろう

アベノマスクと呼ばれるマスクたちはそのころ政治問題化していた

いまネットで確認してみると当時の数字は次のごとくである
国民に配布されずに倉庫に眠っているマスクの枚数、8千万枚
マスクを倉庫に保管するなどの費用、すでに6億円、今後年間数億円
マスクを廃棄してしまうとするとそのための費用、6千万円

これらの数字を前にどのような選択をしたらいいのか? ずるずると保管するのも、廃棄してしまうのも国民感情に反する
政治家は人気商売、どちらの道を選んでも地獄に通じているかのごとくである

この難しい問題にケリをつけたのが首相になって間もないキシダ氏であった
キシダ氏の決断は思いがけないものであった
在庫になっているマスクは希望する国民に無償で配布した上で残りは廃棄というのである
この案に対してはここでまた1億円も税金をつぎ込むのかといわれたりした

手続きが開始されふたを開けてみるとビックリである。在庫枚数をはるかに超える申し込みがあったのである
これをいちばん喜んだのは、ほかならぬアベ氏であったかもしれぬ。今でもそれを知ったアベ氏の笑顔とコメントをネット上の動画で見ることができる
さしたる反対の声もなく無償配布は実施に移され完了している

キシダ氏の決断はもったいないという、日本人の心情に沿ったものであったといえる
せっかく作ったものを金をかけて廃棄するのは許せないが、さらなる金をかけても国民が使えるというなら納得がいくという心情である

キシダ氏はこのころから政権運営のコツをつかんだかもしれぬ
ウクライナ問題について、キシダ氏はロシアとはきっぱり決別する立場を鮮明にしている。北方領土問題を抱える日本にとってはとりたくない立場であるが、ロシアの横暴許すまじという、多くの日本人の心情に沿ったものとはいえるだろう

わが手元にもアベノマスクは届いている
希望枚数の数分の一であったが、さらにその一部を申し込みそこねた友人に進呈することにした

◇ あのマスクたちは ◇
しっかりと働いており
あのマスク
ひとり暮らしのキッチンに いま



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