Earth Spiral

Survival&Creative life. 
大地と魂の声を聴き、自分の道を歩め

壁と卵のスピーチ

2011-02-28 | 日記的な
ずいぶん前のことになるけれど、村上春樹のエルサレム賞のときのスピーチを
どなたかのブログを見て思い出して読んでみた。

村上春樹エルサレム賞スピーチ全文(日本語訳)

それと、今、前の記事に書いた上関原発と祝島のことにオーバーラップする。
スピーチの以下の部分、重要かと思った。

「今日、皆さんにお話ししたいことは一つだけです。
私たちは、国籍、人種を超越した人間であり、個々の存在なのです。
「システム」と言われる堅固な壁に直面している壊れやすい卵なのです。
どこからみても、勝ち目はみえてきません。
壁はあまりに高く、強固で、冷たい存在です。
もし、私たちに勝利への希望がみえることがあるとしたら、
私たち自身や他者の独自性やかけがえのなさを、
さらに魂を互いに交わらせることで得ることのできる温かみを強く信じることから
生じるものでなければならないでしょう。
 
 このことを考えてみてください。
私たちは皆、実際の、生きた精神を持っているのです。
「システム」はそういったものではありません。
「システム」がわれわれを食い物にすることを許してはいけません。
「システム」に自己増殖を許してはなりません。
「システム」が私たちをつくったのではなく、
私たちが「システム」をつくったのです。
 これが、私がお話ししたいすべてです」

日本中、世界中で起きているさまざまな出来事をよく見たときに、
同じような構造が見えてきます。

以前、オイリュトミー(哲学者ルドルフシュタイナーが創った身体運動・ダンスのようなもの)を習っていた時に、
オイリュトミーの先生がこんなことを言いました(だいだいこんな内容ってこと)。

例えば、ヒットラーがいたら、敵であり、悪なのはヒットラーだ、という風に、
何が敵で、何が悪であるのか、分かりやすい。
でも、これからの世の中、それが、どこにあるのか分からなくなってくる。
シュタイナーはそれを懸念していた。

そんなことを言ったのです。

(要は、オイリュトミーというのは、そこの不協和音を感じ取る感性を養うためにシュタイナーは考えたんだと思うよ)

まさに、今の時代、そうなってきているんじゃないかなと思います。
村上春樹が言っているシステムは、自分の中にも潜在化してしまっていたり、
見えないところに潜伏してしまっている。

マスメディアも経済も社会も、こういうあり方が生まれたて来た時からずっと続き、
当たり前になってしまっている。
でも、それを創ったのは間違いなく人間なのだ。
私たちが何かおかしいことに気づき、世の中より良くしたいと思えば、少しづつ変わっていく。

原発のことにしても、いくら反対の署名を集めても、結局は大きな権力に押し切られて、
もう、反対する気力も無い、という人たちもいるといいます。
原発の問題だけではなく、そうした、大きな力が1人1人の生身の声を踏み潰し、
力を奪っていくことは、この地球上で何度も何度も繰り返されているのかもしれません。

前の記事で、セラピーの話を書きましたが、だからこそ、色々なつながりを取り戻し、
ホリスティックな感覚を取り戻し、一人ひとりが、
そして小さなコミュニティがエンパワーされることが必要だと思うのです。

上関原発のことに関して言えば、反対派の人が増えることがいいというわけではなく、
今、マスメディアが伝えない大事なことを、知って、自分ごととして人が増えることが大事だと思っています。
もちろん、現地の祝島の島民の人たちは、自分の漁場である海を汚されたくない、
暮らしを守りたい一身で闘っているので、その人たちのためにも工事が止まり中止になることが望ましいでしょう。
そして、その原発は、本当に必要なのか、これから自分の暮らしの中でエネルギーをどう使っていったらいいのか、
それを考えるのは、自分の暮らしを鑑みて、一人ひとりが考えるべきことです。
また、大事なことが伝えられないメディアの仕組みなどがそれでいいのか、
それも、自分ごととして考えていくべきことです。

上関町は、反対する祝島の人たちばかりではなく、賛成しているほかの町民の方達もいるわけです。
しかも、賛成の人の方が多いと聞きます。
過疎の町で、どうしたら町が活性化するのかを真剣に考えて、そういう結論に達した人たちもいるでしょう。
そうした人たちの気持ちにも配慮が必要なことは言うまでもありません。
双方の立場を客観的に見ることが出来る番組です。よかったら↓
"原発"に揺れる町~上関原発計画・住民たちの27年~(1)


弱い卵同士は、意見が違っていても皆で真剣に話し合って、より良い選択肢を生み出していかなければいけないし、
多くの人がより良く行きたいと思う中、知恵を出し合えば、未来につながる答えは見えてくるのではないかと思います。
それが、これからの変化の時代に未来を創りための方法なんだよね。村上春樹氏の言うとおり。

そして改めて、MJの『Man in the mirror』を聞いてみると、
ここにあるメッセージも結構すごいものがあるなと思うのでした。

誰かが書いていたけれど、ジョンレノンとマイケルジャクソンの違いは、
ジョンは「戦争反対!」ってストレートに反○○な表現をしてたけれど、
MJは「まずは鏡の中の男から買えて行こうよ、自分から変わろうよ」というメッセージを発したところ。
○○反対!とコブシを振り合えるよりも、じゃ、出来るところからやってみようかという気にさせる。
ここが、King of Popの所以だと。
(ジョンレノンも素晴らしいですよ)。

村上春樹にしてもMJにしても、表現者の力っていうのは、卵達をエンパワーする力を持っているな。
それが、本物のアーティストのなせる業なんだろうな。

マンインザミラー/マイケル・ジャクソン【日本語字幕】


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6 コメント

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Unknown ( けさみ)
2011-02-28 16:29:17
 私たちは良かれと思いシステムを作りますが、それに縛られることにもなります、

でも変える力があります、それにはもっと深く話し合いをしなければならない、そんな気がしています、そしてそんなことを思っている人が大勢いるそれが楽しみです。
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Unknown (安珠)
2011-02-28 20:11:55
>けさみさん

コメントありがとうございます!

良かれと思って、いろんなものつくってみるんだけれど、それが思わぬ方向に行ってしまって、自分がそれにコントロールされたり、そんなこと、良く起こってますね。

対話が必要。それに気づいている人、増えてきているよね。対立ではなく対話。多様性を受け入れ、競争ではなく「共創」の時代だと。創考えると、これからが楽しみですね!
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Unknown (taeФ)
2011-02-28 22:11:25
満月tvを見ていたら、キャメロンさんが
『なんかさぁ~、話そうよ!!』と、推進派の方に対して叫んでいました。
最初は『反対!反対!!』って叫んでいたけど今は対話がしたいと。

何が間違っていて何が正しいのかを決めることが大事なのではなくて
そのことに向き合って話し合いを続ける
それが大事なんだと思いました。

村上さんのスピーチ、MJの歌にも感動してしまいました~
ありがとうございますー

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Unknown (安珠)
2011-03-01 15:23:36
>taeちゃん

ども~。
そうそう、中継している人たちが、時々挑発されて感情的になりつつも、なんか対立しないようにがんばっている姿はえらいなと思うよ。

なぜか、大事なことをちゃんと考えるための情報が、個人個人に届きにくいというのが謎だよね。

消費を煽るような広告とかそれに類するものはあふれているのに。

コメントありがとう!
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SPLENDID! (koko)
2011-03-07 00:07:48
TTのメーリングリストからとんできました、
鎌倉のkokoというものです。

賛成派の人たちの立場にたって、彼らの気持ちをもっとイメージしてアクションすること。ローカリゼーションの動きの大切さ。共感することばかりでした。
マイケルジャクソンも....うーん。深いですね....

セラピーの記事もとても良かったです。
ありがとうございます!!
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Unknown (安珠)
2011-03-07 08:26:53
>kokoさん

こんにちは!
コメントありがとうございます。
トランジション関係でどこかでお会いしてると思います。

上関原発のことは考えれば考えるほど、複雑でいろんなものが絡み合っていて、本当にみんなで考えないといけないことだなと思います。
先日のモラトリアム・カミノセキでのkokoさんの質問の場面も見ていました。私も上関みらい通信を見つけたときに、なんともいえない気持ちになりました。

東京や相模湖に住んでた時にはJ-waveを良く聞いてたのですが、うちのエリアは聞けないので残念です。X-changeもこちらでやりたいなと思っています!
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