2014年9月6日
「中国の習近平政権は3日、北京・盧溝橋近くで抗日戦争勝利69年記念式典を開いた。習国家主席以下、共産党政治局常務委員7人全員が出席する異例の対応で、記念日を重視する姿勢を見せた。…略… 習政権は今年から、3日を法定の戦勝記念日に決めた。 これに伴う反日キャンペーンや公式記念行事は、来年以降も続くだろう。日中間の摩擦を長期にわたり固定化させる恐れがある。」(5日 読売社説)。
今頃になってわざわざ国の「反日デー」を作ったのは、「中国の世界制覇」という狂気の野望を実現するための準備と見るしかあるまい。中国が世界制覇に乗り出すためには、その最大の障害の一つである日本をまず叩きつぶさねばならないということなのだろう。日本牽制のための軽いジャブなどと見るのは脳天気に過ぎる。来年は戦後70年になるが、歴史認識問題をネタにもっと激しい「反日」攻勢をかけるつもりであるはずだ。そのために今回仕掛けたネタで、政権に対する国民の不満や怒りを、日本に向かわせ、自身の権力基盤を強化すると同時に、日本たたきを本格化させるつもりなのだ。日中間の摩擦の固定化は ‘恐れ’ではなく、十年単位の関係冷却化を意味するものであるように思う。習主席の一時的な便宜としての‘軟化’はあり得るかもしれないが、それはなんら路線の変更を意味しない。この習主席の妄想のシナリオが狂うのは、中国経済の破綻、あるいは国内民主派・改革派の巻き返しなどが考えられるが、いずれも中国国内問題であり、これらに期待することはできない。日本としては、近いうちに予想されるもっと激しい衝突に向けて、外交・安保、軍事、経済面での準備をしっかり積み上げることだ。
《覇権主義的、軍国主義的拡張政策を、日本批判で覆い隠そうとする中国 「関係改善」は騙しの方便にしか過ぎない!》
「習氏は記念集会で演説し、「侵略の歴史の否認や歪曲(わいきょく)、軍国主義の再来を許さない」と、日本を批判した。戦勝国として「戦後国際秩序」を守る、とも強調した。国際社会から高く評価される戦後日本の平和国家としての歩みを無視しており、容認できない発言だ。最近、「戦後国際秩序」を脅かしているのは、東・南シナ海などで「力ずくの現状変更」を仕掛ける中国の方である。」(同 社説)。
まったく正しい意見だ。これは、自分たちの軍国主義化、侵略主義を隠すための虚偽プロパガンダでしかない。中国は、批判が高まると蛮行を一旦は中断するも、批判が弱まると、すぐに蛮行を再開することを繰り返している。彼らは、国際的な「法と正義」で行動するのではなく、「中国の考えが法であり正義だ」という考えと力による威嚇でもって行動するのである。
これを地でいく次のようなことも起きている。
「ベトナム外務省は4日、中国と領有権を争う南シナ海のパラセル(中国名・西沙)諸島で、中国が開始した観光ツアーについて、「ベトナムの主権に対する深刻な侵害」と批判する声明を発表した。 中国国営新華社通信によると、観光船ツアーは2日に始まった。中国南部の海南省三亜市を出発した約200人は、約12時間かけてパラセル諸島に到着、3泊4日の日程で、中国が実効支配するパラセル諸島で、釣りやビーチバレー、結婚写真撮影を楽しむ。…略… 中国の習近平国家主席は8月27日、訪中したベトナム共産党書記長の特使と会談、中国によるパラセル諸島での石油掘削強行で亀裂が生じた両国関係の修復に意欲を示したばかり。」(5日 産経)。
これからわかるように、中国にとって「関係修復」なる言葉は相手を騙すための方便でしかない。また、現在、欧米は、ウクライナやイラクなどに忙殺されているから、この「力の空白」を狙った行動と見える。先の石油掘削の強行と言い、今回の不当な実効支配の強化と言い、要は、中国は本気で領土を拡張しようとしているのである。
《「日本は中国を真の勝者と認めたことがない」 中国紙が社説で不満表明! しかし、実体のない「戦勝国」など認められるはずもない! 在るのは虚偽、見栄、妄想、低劣さのみ!》
「3日付の中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は同日の抗日戦争勝利記念日に合わせ「日本は中国を真の勝者と認めたことがない」と強い不満を表明する社説を掲載した。
同紙は「(戦後の)日本は米国や(当時の)ソ連に従ったのに中国や韓国には従わない」と指摘。戦争に絡む歴史問題で「不断に中韓両国に挑戦」しており、「傲慢だ」といら立ちを見せた。 その上で「戦後69年を経て中日両国の総合国力は歴史的に逆転し、中国はアジア最強の国になった」と自賛。一方、技術分野などで日本が優勢な面もあるとして、中国が国力で日本を圧倒し「中国に挑戦するのは絶望的だと日本に確信させる」必要性を指摘した。(共同 3日 産経)。
どうやら、自分たちが世界第二位の経済大国になり、軍事的にも米国にかなり迫っているのに、日本そして世界が、中国の‘偉大さ’に尊敬の目を向けないことに苛立っているものと見える。特に、日本は「敗戦国」であるにも関わらず「戦勝国」中国に平伏さないのはけしからんと言っているようだ。ここに見られるのは、経済・軍事至上主義、いわば「富国強兵」の思想であり、200年も前の古臭い価値観である。そして伝統的な「中華思想」という自分勝手な甘えで駄々をこねている、まるで幼児並みの精神である。なにしろ前近代的で封建的な中華王朝の発想そのままで、金と力で世界を支配しようとしているわけだから、尊敬されるどころか、益々軽蔑されるのは当然のことだ。
中国、すなわち現在の中華人民共和国が「真の戦勝国」でないことは歴史的事実なのだから、日本が中国を「真の戦勝国」と見ていないのは実に正しいことだ。先の戦争で日本と戦ったのは、中華民国であり現在の中国共産党の中華人民共和国ではない。日本が降伏して受け入れたポツダム宣言における中国は中華民国であった。韓国に至っては、独立運動らしいこともせず得意になって日本軍として連合国と戦争した国であるから、戦勝国などであり得るはずもない。それゆえ現在の中国と韓国は、戦後の処理でもそのように扱われている。戦後の日本の責務を受け入れ、東京裁判を受諾したサンフランシスコ講和条約に中国と韓国は参加できなかった。
もっと言えば、中華民国としての中国が「戦勝国」の仲間入りができたのは、日米戦争に日本が敗れたことによって棚ぼた式に得られたものでしかない。韓国が独立できたのもこれまた棚ぼたであった。
中国で日本軍と戦っていたのは中華民国・国民党軍であるが、それも日本の正規軍とまともな戦闘をしたことは少なく、戦っては敗退・後退し、また戦うといったあり様で、中国国内を逃げ回っていたのが実情だ。まして現在の中国政府である中国共産党は、山の中に隠れて、時々ゲリラ戦を仕掛けてくるだけで、戦争とも呼べないことをしていただけなのである。
とは言え、実体はともかくも日本は中国・中華民国に対して条約上は降伏しているのだから、百歩譲って、もし現在の共産党による中華人民共和国がその何がしかの権利を受け継いでいるとすれば、中国は形式的には「戦勝国」となる。そして日本は、降伏の内容を定めたいくつかの条約を締結しているので、日本はこれらの条約の取り決めの範囲内で中国の「戦勝国」を認めている。日本としては中国の「戦勝国」の実態、そして条約の規定に従って認識しておりこれ以下ではないし、またこれ以上でもない。ところが、上記の中国の不満は、彼らの実態以上に、そして条約の規定以上に、中国の「戦勝国」を大きく評価せよとの要求だから、こんな出鱈目な要求に日本が応じられるはずはなく、応じる必要もない。中国のやろうとしていることは、歴史の捏造であり、歴史を修正する改竄なのである。
中国は自分勝手に歴史を捏造するだけでなく、捏造した歴史を他国に認めよと迫るのである。「南京大虐殺」などの捏造と、被害を桁違いに増加させたりしている。たとえば次のような出鱈目もある。
「中国国営新華社通信は1日に配信した「抗日戦争」に関する記事で、旧日本軍150万人を中国で殲滅(せんめつ)し、第2次世界大戦での旧日本軍死者数の70%を占めたと伝えた。 日本側統計では旧満州を含めて約50万人。3日の「抗日戦争勝利記念日」を前に戦果を誇張したようだ。
同通信は「この数字(150万人)はアジア及び太平洋で、20か国以上の国が滅ぼした日本侵略者の数よりもはるかに多い」と評価したが、150万人の根拠は示していない。 日本の防衛省防衛研究所によると、旧厚生省援護局の統計では〈1〉中国本土(香港を含む)45万5700人〈2〉旧満州4万6700人――の計50万2400人。台湾(3万9100人)を含めても戦死者総数(212万1000人)の25.5%だ。」(2日 読売)。
最新兵器でもって正規軍同士が、激突した日米や日英の戦争とは違って、上述のように中国戦線では、正規軍同士の戦争はほとんどやっていないのだから、150万人もの死者が出るはずがないのである。どうやら米国よりも中国の方が強かったと言いたいらしい。そもそも、この50万人の戦死の半分以上が、食糧不足による栄養失調、病気、飢餓で倒れたとされる。これは兵站(補給)能力を度外視した日本軍の無謀な侵攻による誤りであり、つまり日本のオウンゴールによるものであり、中国が描き出そうとしている勇敢で強い中国軍に撃破されたというイメージとは全く異なるものだった。
《「首脳会談」は表面的な現象にしか過ぎない 習主席の言う「関係改善」とは、日本の譲歩のことであり、日本を騙すための便法でしかない! 真の友好関係は、外交、軍事、経済などのパワーバランスの中でしか育たない!》
「一方で、習氏が「中日関係の長期的で安定した健全な発展を推進する」と述べたことは、注目に値する。昨年末の安倍首相の靖国神社参拝以来、日中関係の改善に言及したのは初めてだ。 習氏は7月に北京で福田元首相と会談するなど、対日関係の修復に前向きな兆候も見せている。 この背景には、北京で11月に開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で習氏が議長を務めることがあるようだ。 日本の協力が得られず、日中関係の対立に注目が集まれば、APECが失敗したと見做されかねない。メンツを重んじる中国としては避けたい展開だ。
日中関係の停滞は、日本の対中直接投資を激減させ、中国経済にも悪影響を与えつつある。 安倍政権の長期化を想定すれば、中国もどこかの時点で、強硬一辺倒の対日外交を修正せざるを得ない、との見方は多い。 APECは、前提条件なしに首脳会談を行う好機である。」(同社説)。
一定の‘軟化の兆し’が見えるにしても、これには十分な注意が必要だろう。尖閣での一発触発の事態がそれなりに緩和されることは悪いことではない。11月のAPECで、日中の首脳会談が実現する可能性も無きにしも非ずだ。しかし、「首脳会談実現」を過大評価したり、これを目的化するようなことはあってはならないことである。これは習主席の便法としての一時的で表面的なそれでしかなく、また中国が言う「関係改善」とは、自らが努力することではなく、日本が努力を要求されることだからである。さらにまた、それは日本を騙すための便法でもあるからである。APECが過ぎた来年は、「対日戦勝70周年」として、大々的な反日攻勢に出ることだろう。日本の制圧は、習主席と中国の野望実現のためには、避けて通れない関門なのである。
日本国内には、習主席・中国の狙いを全く理解せず、とにかく中国には気を使っていれば、関係はうまくいくと考えている人が少なくない。あるいは、中国の提灯持ちとなって、中国の日本制圧を手助けするために、悪意を持ってこういう虚偽の言説をまき散らしている政治家、知識人、マスコミもある。首相は、今回の党役員人事で、谷垣幹事長や、二階総務会長など、親中派の重鎮を要職に据えているので、これらの人達が、従来道理の中国への御用聞き外交、朝貢外交を行わないとも限らない。また、元来親中的である公明党が、これまで以上に安保・防衛の足を引っ張る可能性もある。もちろん安倍首相ほか、政府の中枢は、こういうリスクもしっかり織り込んでの人事だったろうし、しっかり管理監督、指導もするだろうから、全体としてはうまくやってくれるものと期待している。しかしいずれにせよ、無節操、理不尽なすり寄りや譲歩には国民レベルでの十分な監視、批判が必要だろう。
この意味では、先の内閣改造、自民党役員人事によって、内閣支持率が大幅に上昇したのは良かった(読売調査では、13%上がって64%へ)。新たな体制に国民の期待が高いことの証左であり、政府・自民党にはがんばってもらいたい。なにしろ、政権の支持率が低いと、必要な政策を実行できなくなるし、また海外からも信頼されず、更には敵対国からの攻撃までをも誘発するのである。国内外の情勢を見ると、政府批判を繰り返していれば良いだけの時代はとっくに終わっており、今はオールジャパン体制でないと、日本の生き残りは計れないほど厳しい状況なのである。
更に、首相の「積極平和主義」、「地球儀外交」が中韓二か国は別として、各国、主要国から支持されているのも非常に喜ばしいことである。特に、先の首相のオーストラリア訪問で同国と「準同盟国」の関係を築き、今回のインドのモディ首相の来日で同国とも「準同盟国」関係を築けたのは非常に心強いことである。これは海洋進出を進める中国を牽制し、日本にとっての生命線である南シナ海やインド洋などの海上交通路(シーレーン)を守ることに大きな力となるのである。
「安倍首相は海洋安全保障強化を図るため、日本とハワイ(米国)、オーストラリア、インドの4カ所をひし形に結ぶ「安全保障ダイヤモンド構想」を提唱しており、今回の会談は構想実現に向けた大きな一歩となった。」(2日産経)。
日本の平和と安全を守るためには、情勢認識とパワーバランスを見極めた冷徹な外交、軍事戦略が必要であり、民主党などの気分的、情緒的な議論だけの対応では話にならない。政策は現実的なものでなければならず、それを具体的にどんどん実現していくことが必要だ。11月の沖縄知事選、来春の地方選での勝利による政権基盤強化、そして、来年の通常国会で予定されている集団的自衛権の法整備などを、確実にこなしていくことが重要だ。そしてここにはオールジャパンでの支援が必要なのである。
「中国の習近平政権は3日、北京・盧溝橋近くで抗日戦争勝利69年記念式典を開いた。習国家主席以下、共産党政治局常務委員7人全員が出席する異例の対応で、記念日を重視する姿勢を見せた。…略… 習政権は今年から、3日を法定の戦勝記念日に決めた。 これに伴う反日キャンペーンや公式記念行事は、来年以降も続くだろう。日中間の摩擦を長期にわたり固定化させる恐れがある。」(5日 読売社説)。
今頃になってわざわざ国の「反日デー」を作ったのは、「中国の世界制覇」という狂気の野望を実現するための準備と見るしかあるまい。中国が世界制覇に乗り出すためには、その最大の障害の一つである日本をまず叩きつぶさねばならないということなのだろう。日本牽制のための軽いジャブなどと見るのは脳天気に過ぎる。来年は戦後70年になるが、歴史認識問題をネタにもっと激しい「反日」攻勢をかけるつもりであるはずだ。そのために今回仕掛けたネタで、政権に対する国民の不満や怒りを、日本に向かわせ、自身の権力基盤を強化すると同時に、日本たたきを本格化させるつもりなのだ。日中間の摩擦の固定化は ‘恐れ’ではなく、十年単位の関係冷却化を意味するものであるように思う。習主席の一時的な便宜としての‘軟化’はあり得るかもしれないが、それはなんら路線の変更を意味しない。この習主席の妄想のシナリオが狂うのは、中国経済の破綻、あるいは国内民主派・改革派の巻き返しなどが考えられるが、いずれも中国国内問題であり、これらに期待することはできない。日本としては、近いうちに予想されるもっと激しい衝突に向けて、外交・安保、軍事、経済面での準備をしっかり積み上げることだ。
《覇権主義的、軍国主義的拡張政策を、日本批判で覆い隠そうとする中国 「関係改善」は騙しの方便にしか過ぎない!》
「習氏は記念集会で演説し、「侵略の歴史の否認や歪曲(わいきょく)、軍国主義の再来を許さない」と、日本を批判した。戦勝国として「戦後国際秩序」を守る、とも強調した。国際社会から高く評価される戦後日本の平和国家としての歩みを無視しており、容認できない発言だ。最近、「戦後国際秩序」を脅かしているのは、東・南シナ海などで「力ずくの現状変更」を仕掛ける中国の方である。」(同 社説)。
まったく正しい意見だ。これは、自分たちの軍国主義化、侵略主義を隠すための虚偽プロパガンダでしかない。中国は、批判が高まると蛮行を一旦は中断するも、批判が弱まると、すぐに蛮行を再開することを繰り返している。彼らは、国際的な「法と正義」で行動するのではなく、「中国の考えが法であり正義だ」という考えと力による威嚇でもって行動するのである。
これを地でいく次のようなことも起きている。
「ベトナム外務省は4日、中国と領有権を争う南シナ海のパラセル(中国名・西沙)諸島で、中国が開始した観光ツアーについて、「ベトナムの主権に対する深刻な侵害」と批判する声明を発表した。 中国国営新華社通信によると、観光船ツアーは2日に始まった。中国南部の海南省三亜市を出発した約200人は、約12時間かけてパラセル諸島に到着、3泊4日の日程で、中国が実効支配するパラセル諸島で、釣りやビーチバレー、結婚写真撮影を楽しむ。…略… 中国の習近平国家主席は8月27日、訪中したベトナム共産党書記長の特使と会談、中国によるパラセル諸島での石油掘削強行で亀裂が生じた両国関係の修復に意欲を示したばかり。」(5日 産経)。
これからわかるように、中国にとって「関係修復」なる言葉は相手を騙すための方便でしかない。また、現在、欧米は、ウクライナやイラクなどに忙殺されているから、この「力の空白」を狙った行動と見える。先の石油掘削の強行と言い、今回の不当な実効支配の強化と言い、要は、中国は本気で領土を拡張しようとしているのである。
《「日本は中国を真の勝者と認めたことがない」 中国紙が社説で不満表明! しかし、実体のない「戦勝国」など認められるはずもない! 在るのは虚偽、見栄、妄想、低劣さのみ!》
「3日付の中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は同日の抗日戦争勝利記念日に合わせ「日本は中国を真の勝者と認めたことがない」と強い不満を表明する社説を掲載した。
同紙は「(戦後の)日本は米国や(当時の)ソ連に従ったのに中国や韓国には従わない」と指摘。戦争に絡む歴史問題で「不断に中韓両国に挑戦」しており、「傲慢だ」といら立ちを見せた。 その上で「戦後69年を経て中日両国の総合国力は歴史的に逆転し、中国はアジア最強の国になった」と自賛。一方、技術分野などで日本が優勢な面もあるとして、中国が国力で日本を圧倒し「中国に挑戦するのは絶望的だと日本に確信させる」必要性を指摘した。(共同 3日 産経)。
どうやら、自分たちが世界第二位の経済大国になり、軍事的にも米国にかなり迫っているのに、日本そして世界が、中国の‘偉大さ’に尊敬の目を向けないことに苛立っているものと見える。特に、日本は「敗戦国」であるにも関わらず「戦勝国」中国に平伏さないのはけしからんと言っているようだ。ここに見られるのは、経済・軍事至上主義、いわば「富国強兵」の思想であり、200年も前の古臭い価値観である。そして伝統的な「中華思想」という自分勝手な甘えで駄々をこねている、まるで幼児並みの精神である。なにしろ前近代的で封建的な中華王朝の発想そのままで、金と力で世界を支配しようとしているわけだから、尊敬されるどころか、益々軽蔑されるのは当然のことだ。
中国、すなわち現在の中華人民共和国が「真の戦勝国」でないことは歴史的事実なのだから、日本が中国を「真の戦勝国」と見ていないのは実に正しいことだ。先の戦争で日本と戦ったのは、中華民国であり現在の中国共産党の中華人民共和国ではない。日本が降伏して受け入れたポツダム宣言における中国は中華民国であった。韓国に至っては、独立運動らしいこともせず得意になって日本軍として連合国と戦争した国であるから、戦勝国などであり得るはずもない。それゆえ現在の中国と韓国は、戦後の処理でもそのように扱われている。戦後の日本の責務を受け入れ、東京裁判を受諾したサンフランシスコ講和条約に中国と韓国は参加できなかった。
もっと言えば、中華民国としての中国が「戦勝国」の仲間入りができたのは、日米戦争に日本が敗れたことによって棚ぼた式に得られたものでしかない。韓国が独立できたのもこれまた棚ぼたであった。
中国で日本軍と戦っていたのは中華民国・国民党軍であるが、それも日本の正規軍とまともな戦闘をしたことは少なく、戦っては敗退・後退し、また戦うといったあり様で、中国国内を逃げ回っていたのが実情だ。まして現在の中国政府である中国共産党は、山の中に隠れて、時々ゲリラ戦を仕掛けてくるだけで、戦争とも呼べないことをしていただけなのである。
とは言え、実体はともかくも日本は中国・中華民国に対して条約上は降伏しているのだから、百歩譲って、もし現在の共産党による中華人民共和国がその何がしかの権利を受け継いでいるとすれば、中国は形式的には「戦勝国」となる。そして日本は、降伏の内容を定めたいくつかの条約を締結しているので、日本はこれらの条約の取り決めの範囲内で中国の「戦勝国」を認めている。日本としては中国の「戦勝国」の実態、そして条約の規定に従って認識しておりこれ以下ではないし、またこれ以上でもない。ところが、上記の中国の不満は、彼らの実態以上に、そして条約の規定以上に、中国の「戦勝国」を大きく評価せよとの要求だから、こんな出鱈目な要求に日本が応じられるはずはなく、応じる必要もない。中国のやろうとしていることは、歴史の捏造であり、歴史を修正する改竄なのである。
中国は自分勝手に歴史を捏造するだけでなく、捏造した歴史を他国に認めよと迫るのである。「南京大虐殺」などの捏造と、被害を桁違いに増加させたりしている。たとえば次のような出鱈目もある。
「中国国営新華社通信は1日に配信した「抗日戦争」に関する記事で、旧日本軍150万人を中国で殲滅(せんめつ)し、第2次世界大戦での旧日本軍死者数の70%を占めたと伝えた。 日本側統計では旧満州を含めて約50万人。3日の「抗日戦争勝利記念日」を前に戦果を誇張したようだ。
同通信は「この数字(150万人)はアジア及び太平洋で、20か国以上の国が滅ぼした日本侵略者の数よりもはるかに多い」と評価したが、150万人の根拠は示していない。 日本の防衛省防衛研究所によると、旧厚生省援護局の統計では〈1〉中国本土(香港を含む)45万5700人〈2〉旧満州4万6700人――の計50万2400人。台湾(3万9100人)を含めても戦死者総数(212万1000人)の25.5%だ。」(2日 読売)。
最新兵器でもって正規軍同士が、激突した日米や日英の戦争とは違って、上述のように中国戦線では、正規軍同士の戦争はほとんどやっていないのだから、150万人もの死者が出るはずがないのである。どうやら米国よりも中国の方が強かったと言いたいらしい。そもそも、この50万人の戦死の半分以上が、食糧不足による栄養失調、病気、飢餓で倒れたとされる。これは兵站(補給)能力を度外視した日本軍の無謀な侵攻による誤りであり、つまり日本のオウンゴールによるものであり、中国が描き出そうとしている勇敢で強い中国軍に撃破されたというイメージとは全く異なるものだった。
《「首脳会談」は表面的な現象にしか過ぎない 習主席の言う「関係改善」とは、日本の譲歩のことであり、日本を騙すための便法でしかない! 真の友好関係は、外交、軍事、経済などのパワーバランスの中でしか育たない!》
「一方で、習氏が「中日関係の長期的で安定した健全な発展を推進する」と述べたことは、注目に値する。昨年末の安倍首相の靖国神社参拝以来、日中関係の改善に言及したのは初めてだ。 習氏は7月に北京で福田元首相と会談するなど、対日関係の修復に前向きな兆候も見せている。 この背景には、北京で11月に開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で習氏が議長を務めることがあるようだ。 日本の協力が得られず、日中関係の対立に注目が集まれば、APECが失敗したと見做されかねない。メンツを重んじる中国としては避けたい展開だ。
日中関係の停滞は、日本の対中直接投資を激減させ、中国経済にも悪影響を与えつつある。 安倍政権の長期化を想定すれば、中国もどこかの時点で、強硬一辺倒の対日外交を修正せざるを得ない、との見方は多い。 APECは、前提条件なしに首脳会談を行う好機である。」(同社説)。
一定の‘軟化の兆し’が見えるにしても、これには十分な注意が必要だろう。尖閣での一発触発の事態がそれなりに緩和されることは悪いことではない。11月のAPECで、日中の首脳会談が実現する可能性も無きにしも非ずだ。しかし、「首脳会談実現」を過大評価したり、これを目的化するようなことはあってはならないことである。これは習主席の便法としての一時的で表面的なそれでしかなく、また中国が言う「関係改善」とは、自らが努力することではなく、日本が努力を要求されることだからである。さらにまた、それは日本を騙すための便法でもあるからである。APECが過ぎた来年は、「対日戦勝70周年」として、大々的な反日攻勢に出ることだろう。日本の制圧は、習主席と中国の野望実現のためには、避けて通れない関門なのである。
日本国内には、習主席・中国の狙いを全く理解せず、とにかく中国には気を使っていれば、関係はうまくいくと考えている人が少なくない。あるいは、中国の提灯持ちとなって、中国の日本制圧を手助けするために、悪意を持ってこういう虚偽の言説をまき散らしている政治家、知識人、マスコミもある。首相は、今回の党役員人事で、谷垣幹事長や、二階総務会長など、親中派の重鎮を要職に据えているので、これらの人達が、従来道理の中国への御用聞き外交、朝貢外交を行わないとも限らない。また、元来親中的である公明党が、これまで以上に安保・防衛の足を引っ張る可能性もある。もちろん安倍首相ほか、政府の中枢は、こういうリスクもしっかり織り込んでの人事だったろうし、しっかり管理監督、指導もするだろうから、全体としてはうまくやってくれるものと期待している。しかしいずれにせよ、無節操、理不尽なすり寄りや譲歩には国民レベルでの十分な監視、批判が必要だろう。
この意味では、先の内閣改造、自民党役員人事によって、内閣支持率が大幅に上昇したのは良かった(読売調査では、13%上がって64%へ)。新たな体制に国民の期待が高いことの証左であり、政府・自民党にはがんばってもらいたい。なにしろ、政権の支持率が低いと、必要な政策を実行できなくなるし、また海外からも信頼されず、更には敵対国からの攻撃までをも誘発するのである。国内外の情勢を見ると、政府批判を繰り返していれば良いだけの時代はとっくに終わっており、今はオールジャパン体制でないと、日本の生き残りは計れないほど厳しい状況なのである。
更に、首相の「積極平和主義」、「地球儀外交」が中韓二か国は別として、各国、主要国から支持されているのも非常に喜ばしいことである。特に、先の首相のオーストラリア訪問で同国と「準同盟国」の関係を築き、今回のインドのモディ首相の来日で同国とも「準同盟国」関係を築けたのは非常に心強いことである。これは海洋進出を進める中国を牽制し、日本にとっての生命線である南シナ海やインド洋などの海上交通路(シーレーン)を守ることに大きな力となるのである。
「安倍首相は海洋安全保障強化を図るため、日本とハワイ(米国)、オーストラリア、インドの4カ所をひし形に結ぶ「安全保障ダイヤモンド構想」を提唱しており、今回の会談は構想実現に向けた大きな一歩となった。」(2日産経)。
日本の平和と安全を守るためには、情勢認識とパワーバランスを見極めた冷徹な外交、軍事戦略が必要であり、民主党などの気分的、情緒的な議論だけの対応では話にならない。政策は現実的なものでなければならず、それを具体的にどんどん実現していくことが必要だ。11月の沖縄知事選、来春の地方選での勝利による政権基盤強化、そして、来年の通常国会で予定されている集団的自衛権の法整備などを、確実にこなしていくことが重要だ。そしてここにはオールジャパンでの支援が必要なのである。
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