2015年12月12日
「政府は11日午前、東シナ海の尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で中国公船が日本の領海に侵入したことを受け、首相官邸に設置中の「情報連絡室」を「官邸対策室」に格上げしたと発表した。」(11日 産経)。
中国の尖閣領海、領空侵犯は常態化しており、中国機に対する空自のスクランブル発進は過去最多を記録している(今年上半期231回)。尖閣ではいつ不測の武力衝突が発生してもおかしくない状態、潜在的戦闘状態にあると言える。だから政府が情報連絡室を対策室に格上げしたのは当然のことである。これは、緊急、非常事態に適切に対応するためのものであると同時に、「尖閣は日本領」という政府の断固たる姿勢を内外に示し、中国の尖閣への野望を牽制する意味も持つはずである。
更に、次の動きも日本政府の断固たる姿勢を示すものとして注目される。
「訪米中の河井克行首相補佐官は11日、ワシントンでコーカー上院外交委員長(共和党)や上下両院議員らと会談し、中国による南シナ海の人工島の軍事拠点化を止めるためには、米軍の「航行の自由」作戦だけでは不十分との懸念を伝えた。会談後記者団に明らかにした。河井氏は、人工島の周囲に艦船を派遣する米軍の作戦継続を求めた上で、「それだけでは今の軍事化を止めることができない」と指摘。さらに、「南シナ海情勢の悪化は、米国の国家安全保障そのものにも甚大な危機をもたらす」と伝えた。(共同 12日 産経)。
これももっともな意見だ。日本にとって南シナ海問題は、一般論としても見過ごせないばかりか、日本のシーレーンを確保する点でも、尖閣の前段の防衛線としても極めて重要である。ところが日本では、昔ほどではないにしても、まだ少なからぬ国民に「平和ボケ」が残っている。民主党をはじめとして自民党の中でさえ「南シナ海問題は日本とは無関係」(自民野田聖子前総務会長)などとボケたことを言う人がいる。しかし、これは現実を知ろうとしない甘ちゃんか、もしくは他の目的のために知っていてもあえて知らないふりをする虚偽の姿勢に他ならない。中国は、太平洋、インド洋の覇権を得るための手始めとして、南シナ海と東シナ海の両方の覇権獲得を狙っている。しかし東シナ海の方は、日米安保という強固な軍事同盟によってタッグを組んだ自衛隊と世界最強の米軍によって守られているので、直ちには手を出しにくい。これに比べ南シナ海の方は、ASEAN諸国内に温度差があるし、個別の防衛力も弱いし、日米安保のような強力な軍事同盟があるわけではない。そこで貪欲な中国も二正面作戦はさすがに無理と判断して、南シナ海の方からケリをつけて行こうとしている。現状の既成事実化が進めば南シナ海は、完全に中国のものになってしまう、否、もうほとんどそうなっている。そして南シナ海が片付いてしまえば、中国は尖閣を含む東シナ海への攻勢を強めるだろう。軟弱で自国のことしか考えないオバマ政権は、ようやく重い腰を上げて「自由の航行作戦」を始めたが、‘遅い’ことと‘不十分’であることは誰の目にも明らかである。日本政府が、米国に上述のような提言をして尻を叩いたのは当然のことと言える。いずれにしても、日本が少しでも油断したり、手を抜いたりすれば、中国はその隙を突いてくるだろう。
更に問題なのは、中国があの手この手で日本の分断工作を仕掛けていることだ。現在のその最前線が沖縄辺野古基地問題であり、辺野古をめぐる沖縄と政府の対立はついに全面的な法廷闘争へと発展した。中国のこれまでの沖縄工作がいま一定の効果を出しつつあるということだ。一部の沖縄県民、国民、そして政治家は、これを過去にまつわる感情の問題、人権の問題と捉え、沖縄の言い分に耳を傾け、沖縄に‘寄り添った’形での決着を主張している(県外移設?→普天間固定化?!)。こういう側面は考慮する必要があるにせよ、これは、あまりにも問題を矮小化した欺瞞的な捉え方であり、この問題の本質から目を逸らそうとするものだ。辺野古問題の本質は、それが日米の利害と中国の利害がぶつかり合っている最前線になっているということだ。中国の尖閣奪取、アジア支配を許すのかどうか、日本は米国と離れて中国陣営に入るのかどうかという問題なのである。これはあまりにも極端だと考える人もいるかもしれないが、今や事態はここまで来ているということだ。その証拠の一つは、翁長沖縄知事は、中国の尖閣領海侵犯によって、同県の石垣市ほかの漁民が出漁できず多大な損害を被っているにも関わらず、このことを問題視していないことである。県内の漁民や国境近辺の離島民が中国の脅威に震えているのに知事がそれを無視するというのは異常である。また、普天間基地の危険性除去という最も差し迫った重要問題についても、何の当てもない「県外移設」を念仏のように唱えるだけである。更には、9月の国連演説では、沖縄県民を「先住民」とする主張を行い、辺野古問題を沖縄と本土との対立図式で説明したりもした。こんな考えは沖縄県民のほんの一握りの人のものでしかないが、彼は、これを不当に拡大して、世界に広めるという虚言を弄したのだ。これは、沖縄をして中国寄りの政治勢力へと転換させようとする試みに他ならない。翁長知事は、中国に取り込まれて、その傀儡になっていると言われても仕方がない状況だ。それを象徴するのが、彼が那覇市長時代から取り組んで来た「龍柱」事業だ。那覇市民団体の反対を押し切って工事を進めていた龍柱がこのほど完成した。これは、那覇市が中国・福州市との友好都市締結から30年の記念事業として平成24年度に設置を決定したものだ。旅客船の停泊場所近くに置かれている。最終的な総事業費は約3億3300万円になった(8日 産経)。「龍は元来、中国皇帝の権力の象徴とされている。「5本爪」の龍の図柄は中国皇帝のみが使用でき、朝鮮など中国の冊封体制に入った周辺諸国は「4本爪」を用いてきた歴史がある。琉球王朝も冊封を受け、首里城の龍柱は4本爪。設置が進められている今回の龍柱も4本爪となっている。」(同)。
さて、この翁長知事の言動の意味をわかりやすく解説してくれるのが、次の我那覇氏の意見陳述だ。
「米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の名護市辺野古への移設をめぐり、政府に「新基地建設を強行しない」と求める意見書を9月に可決した東京都武蔵野市議会で10日、意見書の撤回を求める請願を提出した名護市出身の我那覇真子氏が意見陳述し、「議決は反日工作の後押しをするものだ」と訴えた。 我那覇氏は「沖縄の反戦平和運動が目指すのは中国の支援を受けた『沖縄革命』だ」と指摘。翁長雄志同県知事が9月、国連人権理事会で「沖縄の自己決定権や人権がないがしろにされている」と述べたことに対して「沖縄への領土的野心を隠さなくなった中国の沖縄介入の糸口になる」と批判した。」(10日 産経)。
武蔵野市議会に対する今回の我那覇氏の請願は議会運営委員会で採決され、氏の奮闘にも関わらず野党系会派の反対多数で否決されたとのこと。「地方議会が(国の専権事項の)安全保障に関わる意見書を提出するのはおかしい」(自民党系会派)との意見も出たが、多数派の野党系議員に押し切られたようだ。武蔵野市に限らずいくつかの地方自治体が、辺野古移設反対に同調する立場から議会決議を行って、政府に意見表明している。しかし一体何のために、どういうつもりでこんなことをするのか。人権や人道の衣をまとったパフォーマンスをすることで自己の‘良心’、‘行動力’を確認し、自己満足に浸りたいがためか? それとも、中国のアジア制覇、世界制覇の片棒を担ぐためなのか? 沖縄と日本を中国に差し出したいと思っているのなら別だが、そうでないなら、こんな子供じみた情緒的パフォーマンスはもう止めるべきだ。なにしろ中国の野望は真剣なものであり、体と命を張ってやっているものなのだから、日本国民も もっと真剣に取り組まねば、中国のよいようにやられてしまうだろう。
「政府は11日午前、東シナ海の尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で中国公船が日本の領海に侵入したことを受け、首相官邸に設置中の「情報連絡室」を「官邸対策室」に格上げしたと発表した。」(11日 産経)。
中国の尖閣領海、領空侵犯は常態化しており、中国機に対する空自のスクランブル発進は過去最多を記録している(今年上半期231回)。尖閣ではいつ不測の武力衝突が発生してもおかしくない状態、潜在的戦闘状態にあると言える。だから政府が情報連絡室を対策室に格上げしたのは当然のことである。これは、緊急、非常事態に適切に対応するためのものであると同時に、「尖閣は日本領」という政府の断固たる姿勢を内外に示し、中国の尖閣への野望を牽制する意味も持つはずである。
更に、次の動きも日本政府の断固たる姿勢を示すものとして注目される。
「訪米中の河井克行首相補佐官は11日、ワシントンでコーカー上院外交委員長(共和党)や上下両院議員らと会談し、中国による南シナ海の人工島の軍事拠点化を止めるためには、米軍の「航行の自由」作戦だけでは不十分との懸念を伝えた。会談後記者団に明らかにした。河井氏は、人工島の周囲に艦船を派遣する米軍の作戦継続を求めた上で、「それだけでは今の軍事化を止めることができない」と指摘。さらに、「南シナ海情勢の悪化は、米国の国家安全保障そのものにも甚大な危機をもたらす」と伝えた。(共同 12日 産経)。
これももっともな意見だ。日本にとって南シナ海問題は、一般論としても見過ごせないばかりか、日本のシーレーンを確保する点でも、尖閣の前段の防衛線としても極めて重要である。ところが日本では、昔ほどではないにしても、まだ少なからぬ国民に「平和ボケ」が残っている。民主党をはじめとして自民党の中でさえ「南シナ海問題は日本とは無関係」(自民野田聖子前総務会長)などとボケたことを言う人がいる。しかし、これは現実を知ろうとしない甘ちゃんか、もしくは他の目的のために知っていてもあえて知らないふりをする虚偽の姿勢に他ならない。中国は、太平洋、インド洋の覇権を得るための手始めとして、南シナ海と東シナ海の両方の覇権獲得を狙っている。しかし東シナ海の方は、日米安保という強固な軍事同盟によってタッグを組んだ自衛隊と世界最強の米軍によって守られているので、直ちには手を出しにくい。これに比べ南シナ海の方は、ASEAN諸国内に温度差があるし、個別の防衛力も弱いし、日米安保のような強力な軍事同盟があるわけではない。そこで貪欲な中国も二正面作戦はさすがに無理と判断して、南シナ海の方からケリをつけて行こうとしている。現状の既成事実化が進めば南シナ海は、完全に中国のものになってしまう、否、もうほとんどそうなっている。そして南シナ海が片付いてしまえば、中国は尖閣を含む東シナ海への攻勢を強めるだろう。軟弱で自国のことしか考えないオバマ政権は、ようやく重い腰を上げて「自由の航行作戦」を始めたが、‘遅い’ことと‘不十分’であることは誰の目にも明らかである。日本政府が、米国に上述のような提言をして尻を叩いたのは当然のことと言える。いずれにしても、日本が少しでも油断したり、手を抜いたりすれば、中国はその隙を突いてくるだろう。
更に問題なのは、中国があの手この手で日本の分断工作を仕掛けていることだ。現在のその最前線が沖縄辺野古基地問題であり、辺野古をめぐる沖縄と政府の対立はついに全面的な法廷闘争へと発展した。中国のこれまでの沖縄工作がいま一定の効果を出しつつあるということだ。一部の沖縄県民、国民、そして政治家は、これを過去にまつわる感情の問題、人権の問題と捉え、沖縄の言い分に耳を傾け、沖縄に‘寄り添った’形での決着を主張している(県外移設?→普天間固定化?!)。こういう側面は考慮する必要があるにせよ、これは、あまりにも問題を矮小化した欺瞞的な捉え方であり、この問題の本質から目を逸らそうとするものだ。辺野古問題の本質は、それが日米の利害と中国の利害がぶつかり合っている最前線になっているということだ。中国の尖閣奪取、アジア支配を許すのかどうか、日本は米国と離れて中国陣営に入るのかどうかという問題なのである。これはあまりにも極端だと考える人もいるかもしれないが、今や事態はここまで来ているということだ。その証拠の一つは、翁長沖縄知事は、中国の尖閣領海侵犯によって、同県の石垣市ほかの漁民が出漁できず多大な損害を被っているにも関わらず、このことを問題視していないことである。県内の漁民や国境近辺の離島民が中国の脅威に震えているのに知事がそれを無視するというのは異常である。また、普天間基地の危険性除去という最も差し迫った重要問題についても、何の当てもない「県外移設」を念仏のように唱えるだけである。更には、9月の国連演説では、沖縄県民を「先住民」とする主張を行い、辺野古問題を沖縄と本土との対立図式で説明したりもした。こんな考えは沖縄県民のほんの一握りの人のものでしかないが、彼は、これを不当に拡大して、世界に広めるという虚言を弄したのだ。これは、沖縄をして中国寄りの政治勢力へと転換させようとする試みに他ならない。翁長知事は、中国に取り込まれて、その傀儡になっていると言われても仕方がない状況だ。それを象徴するのが、彼が那覇市長時代から取り組んで来た「龍柱」事業だ。那覇市民団体の反対を押し切って工事を進めていた龍柱がこのほど完成した。これは、那覇市が中国・福州市との友好都市締結から30年の記念事業として平成24年度に設置を決定したものだ。旅客船の停泊場所近くに置かれている。最終的な総事業費は約3億3300万円になった(8日 産経)。「龍は元来、中国皇帝の権力の象徴とされている。「5本爪」の龍の図柄は中国皇帝のみが使用でき、朝鮮など中国の冊封体制に入った周辺諸国は「4本爪」を用いてきた歴史がある。琉球王朝も冊封を受け、首里城の龍柱は4本爪。設置が進められている今回の龍柱も4本爪となっている。」(同)。
さて、この翁長知事の言動の意味をわかりやすく解説してくれるのが、次の我那覇氏の意見陳述だ。
「米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の名護市辺野古への移設をめぐり、政府に「新基地建設を強行しない」と求める意見書を9月に可決した東京都武蔵野市議会で10日、意見書の撤回を求める請願を提出した名護市出身の我那覇真子氏が意見陳述し、「議決は反日工作の後押しをするものだ」と訴えた。 我那覇氏は「沖縄の反戦平和運動が目指すのは中国の支援を受けた『沖縄革命』だ」と指摘。翁長雄志同県知事が9月、国連人権理事会で「沖縄の自己決定権や人権がないがしろにされている」と述べたことに対して「沖縄への領土的野心を隠さなくなった中国の沖縄介入の糸口になる」と批判した。」(10日 産経)。
武蔵野市議会に対する今回の我那覇氏の請願は議会運営委員会で採決され、氏の奮闘にも関わらず野党系会派の反対多数で否決されたとのこと。「地方議会が(国の専権事項の)安全保障に関わる意見書を提出するのはおかしい」(自民党系会派)との意見も出たが、多数派の野党系議員に押し切られたようだ。武蔵野市に限らずいくつかの地方自治体が、辺野古移設反対に同調する立場から議会決議を行って、政府に意見表明している。しかし一体何のために、どういうつもりでこんなことをするのか。人権や人道の衣をまとったパフォーマンスをすることで自己の‘良心’、‘行動力’を確認し、自己満足に浸りたいがためか? それとも、中国のアジア制覇、世界制覇の片棒を担ぐためなのか? 沖縄と日本を中国に差し出したいと思っているのなら別だが、そうでないなら、こんな子供じみた情緒的パフォーマンスはもう止めるべきだ。なにしろ中国の野望は真剣なものであり、体と命を張ってやっているものなのだから、日本国民も もっと真剣に取り組まねば、中国のよいようにやられてしまうだろう。