社会福祉の権威で、多くの審議会や委員会の座長や委員を歴任されている京極高宣氏(現在は、国立社会保障・人口問題研究所所長)が、論文の盗用や使いまわしをしていたと朝日新聞がスクープした。
国立研究所長が論文盗用、使い回しも 社会福祉の権威
http://www.asahi.com/national/update/0107/TKY201001060438.html?ref=goo
国立研究所長が論文を無断引用 厚生省時代に社会福祉分野
http://news.goo.ne.jp/article/kyodo/nation/CO2010010701000426.html
中央法規出版から2003年に出版した著作集(全10巻)のうち、第6巻に収録された「海外の社会福祉」。社会福祉・医療事業団(WAM)の広報紙に連載した内容をまとめたもので、フランスの社会福祉政策について論じた部分の約7割が、国会図書館の調査員の論文「フランスにおける社会福祉の法制と行政組織」から引き写されており、他の4カ国分の論文も内容を参考にしたとのこと。また、その内容を、1987年と1992年の2回にわたって、別の研究事業の報告書として提出していたことが明らかになった。
論文無断引用の国立研究所長「盗用ではない」
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/nation/20100107-567-OYT1T01194.html
京極氏は、厚生労働省で開かれた記者会見で「結果的に無断引用になったが、自分の視点で書き直しており、盗用ではない」「当時は報告書が未公開だったので、あえて引用元を明示しなくてもいいと上司に言われた」などと釈明しているが、社会的信頼の失墜は免れないだろう。
信頼の失墜は、京極氏に限らない。最近では、介護保険制度を始めとする多くの政策の立案に関わられているし、社会福祉学の学問としての創成期から長きに渡って研究領域をリードされてきたことからも、社会福祉研究の土台を揺るがしかねないスクープといえる。
税制と社会保障の一体的な改革は、今からの数年でグランドデザインが描かれ、着実に進められる。「国民の生命、生活を守る」ための政策を論ずるにあたっては、社会福祉学から大きな声を上げていく必要がある。権威と称されてきた京極氏の事件をきっかけに、何がどう変わるのか注視していきたい。
社会福祉学の研究者は、研究者倫理に反することをしていても気づかない(現場を知っていれば、教授になれるから)などと思われがち。実際には、そのような研究者は一部かもしれないが、相対的にみて「甘い」ことも確か。今回の事件を研究領域全体の問題として捉え、いかに信頼回復を図っていくかを関連する学会や研究者一人ひとりが考えるべきだろう。
また、これだけ社会福祉学の研究成果が望まれている時代なのだから、「空白期間」をつくらないようにしなければならないし、社会に発する声が小さくならないようにしなければならない。「次の世代」や「次の次の世代」へのバトンタッチを急ぎ、現在の社会福祉学的な問題に対応するためにも、学問としての建て直しが必要になるだろう。
国立研究所長が論文盗用、使い回しも 社会福祉の権威
http://www.asahi.com/national/update/0107/TKY201001060438.html?ref=goo
国立研究所長が論文を無断引用 厚生省時代に社会福祉分野
http://news.goo.ne.jp/article/kyodo/nation/CO2010010701000426.html
中央法規出版から2003年に出版した著作集(全10巻)のうち、第6巻に収録された「海外の社会福祉」。社会福祉・医療事業団(WAM)の広報紙に連載した内容をまとめたもので、フランスの社会福祉政策について論じた部分の約7割が、国会図書館の調査員の論文「フランスにおける社会福祉の法制と行政組織」から引き写されており、他の4カ国分の論文も内容を参考にしたとのこと。また、その内容を、1987年と1992年の2回にわたって、別の研究事業の報告書として提出していたことが明らかになった。
論文無断引用の国立研究所長「盗用ではない」
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/nation/20100107-567-OYT1T01194.html
京極氏は、厚生労働省で開かれた記者会見で「結果的に無断引用になったが、自分の視点で書き直しており、盗用ではない」「当時は報告書が未公開だったので、あえて引用元を明示しなくてもいいと上司に言われた」などと釈明しているが、社会的信頼の失墜は免れないだろう。
信頼の失墜は、京極氏に限らない。最近では、介護保険制度を始めとする多くの政策の立案に関わられているし、社会福祉学の学問としての創成期から長きに渡って研究領域をリードされてきたことからも、社会福祉研究の土台を揺るがしかねないスクープといえる。
税制と社会保障の一体的な改革は、今からの数年でグランドデザインが描かれ、着実に進められる。「国民の生命、生活を守る」ための政策を論ずるにあたっては、社会福祉学から大きな声を上げていく必要がある。権威と称されてきた京極氏の事件をきっかけに、何がどう変わるのか注視していきたい。
社会福祉学の研究者は、研究者倫理に反することをしていても気づかない(現場を知っていれば、教授になれるから)などと思われがち。実際には、そのような研究者は一部かもしれないが、相対的にみて「甘い」ことも確か。今回の事件を研究領域全体の問題として捉え、いかに信頼回復を図っていくかを関連する学会や研究者一人ひとりが考えるべきだろう。
また、これだけ社会福祉学の研究成果が望まれている時代なのだから、「空白期間」をつくらないようにしなければならないし、社会に発する声が小さくならないようにしなければならない。「次の世代」や「次の次の世代」へのバトンタッチを急ぎ、現在の社会福祉学的な問題に対応するためにも、学問としての建て直しが必要になるだろう。
2010年1月20日
国立社会保障・人口問題研究所 所長 京極 宣
朝日新聞報道に対する声明
1 報道内容
2010年1月7日朝日新聞朝刊31面において,「国立研究所長が盗用」との見出
しの下,私が1986年から87年に発表した「海外の社会福祉」と題する論文にお
いて,1986年に当時の国会図書館の調査員が作成した「フランスにおける社会福
祉の法制と行政組織」という論文をほぼ引き写した上,補助金等を受けていた198
7年と92年の研究事業の報告書にも上記調査員の論文を使い回した等の内容の記事
(以下「本件記事」といいます。)が掲載されました。
2 意見
しかしながら,上記の「フランスにおける社会福祉の法制と行政組織」(以下「本件
報告書」といいます。)は,私が旧厚生省社会局の専門官であった1985年当時
に,私を含む旧厚生省社会局庶務課が上記調査員を含む方々に対して,社会福祉の国
際比較の観点から,調査・作成を依頼したものであり,その後のさらなる社会福祉制
度の研究のために本件報告書の利用することについての許諾も得ていたものです。
もっとも,本件報告書は,フランスの行政制度を紹介するものでしたが,各国の社会
福祉制度との比較・分析の視点が必ずしも十分ではありませんでした。そこで,私
は,当時,厚生省社会局社会福祉専門官として,社会福祉制度の国際比較を行い,そ
の成果を啓蒙すべき立場にありましたので,1986年の論文において,上記許諾の
下に本件報告書の一部を利用した上,新たに各国の社会福祉制度の比較・分析を行っ
たものであり,本件報告書の「盗用」などと呼ばれる行為を行ったことはありませ
ん。
また,「使い回し」との記事についても,1987年,92年の各論文において,私
はその当時ごとの制度の改正についても調査・言及しているのであり,同じ内容を
「使い回し」た事実はありません。
上記事実を含め,私は,朝日新聞の取材に長時間にわたり真摯に対応し,「盗用」等
の事実がないことも説明しました。にもかかわらず,朝日新聞は,本件記事におい
て,あえて,本件報告書を報告書ではなく「論文」と表現し,また,「盗用」,「使
い回し」等の悪意のある表現を用いて,国内外の一般読者に対して,あたかも私が他
の研究者の独自の論文を勝手に使用して,自らの論文として発表した上,これを使い
回すことで不当に複数回の補助金を得たような印象を与えました。
このような行為は,研究者としての私の社会的評価を著しく低下させ,名誉・信用を
毀損するのみならず,私が所長を務める国立社会保障・人口問題研究所の存続基盤を
も揺るがしかねないものです。
3 本件に対する対応
本件経緯についてさらに調査をしておりますが,かかる事態を受けて,私は代理人弁
護士を通じて,本年1月15日付けで,株式会社朝日新聞社宛てに通告書を発送し,
本件記事が私の名誉・信用を毀損するものであること等を厳に指摘した上,今後の対
応についての回答を求めております。万一,同社から誠意ある回答がない場合には,
民事訴訟等の法的措置をも辞さない所存です。
関係者の皆様におかれましては,何卒ご理解を賜りますよう,宜しくお願い申し上げ
ます。
以上
検察の情報リークによる「世論操作疑惑」が問題視されているように、何らかの意図があってのことかと邪推してしまいます。
何の根拠もありませんが。
思うのですが、まず現物の論文を読んでみてはいかがでしょうか?京極先生の業績目録にある論文は…
①「海外の社会福祉」《フランス》(1986年11月、単著)など
②「三国比較-独仏瑞の視察をふまえて」国会図書館 請求番号EG51-E646 (1992年3月)
いずれも、先生の単著とされています。②は三カ国分なのですが、問題のフランス以外も①の雑誌のほかの号に掲載になっていました。西ドイツがドイツになったり、EUが加わったりしていますが、ほぼ同じ文章です。「1975年から昨年までの10年間に…」というくだりなど、発表時期が違うのにそのまま。外国語のスペルの間違いも同じところを間違えているらしいのですが、私の語学力では見つけられませんでした…。
知人によると、地方自治協会発行の「先進諸国の社会福祉施策体系に関する国際比較研究(ひまわり財団女性事業、87)も同じ内容。
著作集は2003年、業績目録を載せた社会事業大学さんの紀要は、うちの学校の図書館にもありました(これは2005年)。
もとの文章は知らないのですが、うーん、少なくとも、まったく同じものです。これで、出張とか執筆料とかいってるなら、「盗用」以前に、ダブルプリンティング(同じ論文をちょっと手直しして、業績を水増しすること)でアウトではないかしら?
ですが、でもとがわからない。先生が学長をされていた社会事業大学の学部長のメールに添付されているもののようなのですが、大学が発表するなら学校のHPできちんと広報すべきと思います。民事訴訟については、情報源になった者も訴えるという話を厚生労働省にもしていて、社会保障・人口問題研究所でもそのような文書が出回っているそうです。
私は一介の研究者ですが、私の学校にもそのような話が伝わりました。それで「声明文」をネットで探しました。
拝見した限りでは、「許諾」というのですが内容がはっきりしません。国の事業でやった研究報告書を、大学教授という個人の立場になってからも利ようするのは、理屈がたつのでしょうか?。先生の業績目録(社会事業大学の紀要にあり)には、問題の文書は先生が一人で書いた(単著)論文として掲載されています。2005年の紀要ですが、社大さんでは倫理指針でこのような業績水増しは禁止しており、モラルに反するはずです。社大さんはこのような声明文を流布させながら、自ら検証をされていません。このような声明文が出回り、恐怖を感じているのは私だけでしょうか
に新たな盗用・はりつけ
京極氏は学生の論文も!!
http://plaza.rakuten.co.jp/yossan110/diary/201001070000/#201003062153559314
先日は、東京大学の助教が「悪質な盗用」で博士号を剥奪されました。文章を多少いじって自分の成果のように装った部分があり、悪質と判断したとのこと。
ついには身近な社事大学長時代の右腕の弁護士に今朝日新聞を訴えているから、訴訟の経緯を見守るべきだと言わせています。しかし、朝日新聞に問い合わせても、東京地裁のデータにも訴訟を起こした事実はありません。
とうとう3月31日巨額な退職金をもらって退職しました。その後も事実上の天下りで全社協から給料をもらっています。血税です。脅しに屈するとは民主党政権にもがっかりです。。
上の記事からクリックするとだめですが、打ち込めば開けました。
ありがとうございました。
ひどいと思いました。