弁護士川原俊明のブログ

川原総合法律事務所の弁護士活動日記

自賠責保険の保険金等の請求権の消滅時効期間が2年から3年に変わりました

2011-11-18 17:08:00 | 交通事故
 旧商法に定められていた保険に関する法律が、商法から独立し、新しく「保険法」として独立して制定され、平成22年4月1日から施行されました。
 それに伴い、交通事故の際の自賠責保険の請求権について、2年の消滅時効の期間が設けられていたものについて、事故日が保険法の施行日以後に発生したものについては、3年に変更となりました。
 従来、自動車損害賠償保障法第19条において、被害者請求(同法16条1項)や仮渡金請求(17条1項)などの規定による請求権は、2年を経過したときは、時効によって消滅すると定められていました。
 他方で、いわゆる自賠責保険金の請求ではなく、加害者らに対して、直接損害賠償請求の裁判をする場合の時効期間は、民法724条で、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知ったときから3年で時効消滅するもの(但し、事故時から20年経過によって消滅する除斥期間という制度もあります。)と定められています。
 そのため、私達弁護士も、交通事故の損害賠償の依頼を受けたときには、被害者の代理人として自賠責保険の保険金請求をする場合には、2年で時効にかかるのに対し、加害者らを被告として、裁判所に直接損害賠償請求訴訟をする場合には、その請求権の時効期間は3年と、時効期間が異なるために注意が必要でした。
 しかし、今回、保険法の改正に伴い、自賠責保険金の請求権の根拠となる自動車損害賠償保障法も一部改正され、従来2年と定められていた時効消滅期間について、3年へ改められたため、損害賠償請求訴訟をする場合と時効期間を統一的に考えることが可能になりました(保険法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律の第15条参照)。
 但し、交通事故の日が保険法の施行日(平成22年4月1日)より前の場合には、従前のとおり時効期間は2年のままですので、注意が必要です(保険法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律の第16条第1項参照)。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。