弁護士川原俊明のブログ

川原総合法律事務所の弁護士活動日記

フリマアプリについて

2018-03-28 13:40:31 | 日記・コラム
 最近、メルカリやフリル等のフリマアプリを用いて、
 個人間で中古品の売買をするのが流行っているようで、
 CMでもよく見かけますね。
 無料で気軽に参加できる反面、気軽さ故に、
 トラブルに巻き込まれることも多いようです。
 本日は、返品に関するトラブルについて、解説したいと思います。
 フリマアプリで取引されるのは、基本的には中古品であると思われます。
 中古品は特定物として、瑕疵(傷、汚れ等。)があっても
 そのまま引き渡せばいいのですが、
 「隠れた瑕疵」(通常人が注意しても発見できない瑕疵)があり、
 そのために契約の目的を達成できないときは契約を解除できます。
 売主の瑕疵担保責任と呼ばれています。
 そうすると、出品者は、
 いつ返品されるかひやひやしないといけないように思いますね。
 もっとも、この瑕疵担保責任を免除する特約を締結することは
 認められています。
 ですから、出品者の立場からは、予期せぬ返品を防止するため、
 傷や汚れ等の瑕疵については、詳しく説明したうえで、
 瑕疵担保責任免除特約を条件とする旨を明示して出品し、
 購入者の立場からは、同特約の有無や、瑕疵の有無を入念に確認したうえで、
 購入することがトラブル防止になります。
 また、フリマアプリ運営会社は、売買契約の当事者でなく、
 売買の場を提供しているだけという立場をとっている場合が多く、
 決済の方法やトラブルの際の免責、サポートの内容等を、
 運営会社毎に、それぞれ利用規約により定めています。
 規約の内容によっては、利用者に一方的に不利な条項等に
 なっていたりする場合もあり、また、トラブルが起こってからでは、
 それを回復するのは、時間と労力を要するので、利用を始める前に、
 利用規約をよく読んで、
 どのアプリを利用するのがトラブルの際の負担軽減になるか確認したうえで、
 フリマを楽しんでみられてはいかがかと思います。


530-0047 大阪市北区西天満2丁目10番2号 幸田ビル8階  
弁護士法人 川原総合法律事務所      
TEL 06-6365-1065

弁護士 川 原 俊 明 
ホームページ http://www.e-bengo.com

最新の生殖補助医療と親子関係について

2017-12-27 10:20:38 | 家事事件手続法
平成29年12月15日、奈良家庭裁判所において、
夫婦生活を送っていたときに準備していた冷凍受精卵を、
別居後に母(妻)が父(夫)に無断で移植・利用し、
出産したことについて(夫婦はその後離婚)、父と生ま
れた子の間に父子関係が認められるかの判決が出されました。
判決によると、「別居中とはいえ、(今回出産した子の兄
である)男児を交え、夫婦で交流があったこと」を指摘し、
夫婦としての実態が失われていなかったとして「父の同意は
なかったが、当時は婚姻中のため、法律上の親子関係がある」
という判断を示しました。
一方で、すでに最高裁判所によって、「父(夫)の死後に、
夫の冷凍精子を用いて生まれた子と、父との間に、父子関係
は認められない。」と判断し、確立しています。
 上記の2件は、それぞれ別の事案であり、関連するもので
はありませんが、現行民法の「妻が婚姻中に妊娠した子は夫
の子」と推定する民法の嫡出(ちゃくしゅつ)推定規定
(民法772条1項)を基本として判断しているものと思わ
れます。
 しかし、現行民法は、最新の生殖補助医療の利用を前提と
した親族関係について規定しているものではなく、また体外
受精させた受精卵の利用等についても学会の倫理規定などは
存在するものの、法的なルールは存在しません。
 生殖補助医療技術の進歩は、少子化に悩む日本にとって
非常に重要な点ではありますが、それに伴う親子関係につ
いて、法律の整備を急ぐ必要があると思われます。



530-0047 大阪市北区西天満2丁目10番2号 幸田ビル8階  
弁護士法人 川原総合法律事務所      
TEL 06-6365-1065

弁護士 川 原 俊 明 
ホームページ http://www.e-bengo.com

法律上の父親と血縁上の父親

2017-08-07 12:39:21 | 相続
民法772条1項では「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。」と規定され、
婚姻中に妊娠した子について、その父親は夫であると法的な推定がはたらくことになります。
一方で、過去の判例によると、妻の懐胎期間が、事実上の離婚や夫が遠隔地にいる場合
(夫の収監や海外赴任等)など夫婦間の性交渉がおよそあり得ない場合には、
法律上の推定がはたらかないと考えられています。

夫の子であると法律上推定される場合、父子間の親子関係を否定するためには、
夫が子の出生を知ったときから1年以内に家庭裁判所に「嫡出否認の訴え」を提起しなければなりません。
一方で、法律上の推定がはたらかない場合には、父子間の親子関係を否定するためには、
「親子関係不存在の訴え」を提起する必要がありますが、これは基本的には誰からでもいつでも提起することができます。

今回ご紹介する事例においては、妻が婚姻期間中に夫以外の男性の子を妊娠してしまったけれど、
夫婦間で性交渉はおよそあり得ないとはいえない場合で、かつ、夫も自分の子ではないことを認識して、
1年以上がたってしまいました。
その後、夫婦は離婚し、その後子から夫(父)に対して「親子関係不存在の訴え」が提起されました。
このとき、DNA鑑定によると、この夫以外の男性が子の生物学上父親である確率は、99.99……%でした。

しかし、最高裁は、この事案において、「夫と子との間に生物学上の父子関係が認められないことが
科学的証拠により明らかであり、……という事情があっても、
子の身分関係の法的安定を保持する必要が当然になくなるものではないから、
……親子関係不存在確認の訴えをもって当該父子関係の存否を争うことはできない」としています。
つまり、仮にDNA鑑定で99%父子関係はないとしても、法律上の父子関係が推定される場合には、
父親が子の出生を知ったときから1年以内に「嫡出否認の訴え」を提起するしか、
親子関係を否定する方法はないというのである。

確かに、DNA鑑定が法律に優先するとしたら、
いたるところで親子関係を確認するためにDNA鑑定が行われる等の事態となってしまうかもしれません。
しかし、自分の父親が誰であるかという重要な事実を確定させるために、
DNA鑑定を行っても法的な推定を破れないとするのは、子どもにとっては重大なことです。

法的な安定、生物学的な根拠、みなさんはどちらを優先すべきだと思いますか。


530-0047 大阪市北区西天満2丁目10番2号 幸田ビル8階  
弁護士法人 川原総合法律事務所      
TEL 06-6365-1065

弁護士 川 原 俊 明 
ホームページ http://www.e-bengo.com

中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律

2017-05-17 14:22:36 | 会社法


   中小企業において、経営自体は順調だが、
  経営者が体力面等から経営の一線から退きたいと考えた場合、
  どうしたらいいでしょうか?
  廃業という手段もありますが、
  顧客のニーズや従業員の雇用を考えると、
  そうもいかないケースも少なくないでしょう。
   適当な後継者がいない場合には、会社や事業を売却して、
  今後の生活資金を確保するのが相当でしょう。
   推定相続人等に適当な後継者がいる場合には、
  株式や事業用資産をその人に集中させて、
  経営を安定化させることが重要になります。
   しかし、何の対策もしないで経営者が死亡してしまうと、
  相続により、株式や事業用資産が
  バラバラになってしまう虞があります。
   また、生前贈与や相続分の指定は集中の有効な手段ですが、
  他の相続人の遺留分(民法1028条~)
  により必ずしも集中ができない虞もあり、
   また、多額の贈与税や相続税もかかります。
   さらに、他の相続人から株式や事業用資産を買い取るとすると、
  多額の資金が必要になります。
   そのような問題の解決の一助になるのが、
  中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律です。
   この法律では、遺留分に関する特例制度、
  贈与税や相続税の納税猶予制度、
  政府系金融機関からの低利融資制度等の経営承継を
  円滑に行うための制度が用意されています。
   しかし、かかる制度を上手に利用して
  承継を円滑に進めるためには、
  まず、綿密な事業承継計画の作成が必要となります。

530-0047 大阪市北区西天満2丁目10番2号 幸田ビル8階  
弁護士法人 川原総合法律事務所      
TEL 06-6365-1065

弁護士 川 原 俊 明 
ホームページ http://www.e-bengo.com

相続前サポート

2016-07-07 17:31:46 | 相続
相続は被相続人が亡くなってから。
そう思っていませんか?

結論としまして、
それでは遅いと言わざるを得ません。
この場合、遺産分割で揉めてしまうことが
非常に多いといえるでしょう。
(相続は「争続」とよく揶揄されます。)

相続前にできる相続サポートをすることにより、
紛争の未然防止に役立つことになります。

具体的にはどのようなことをしておくべきでしょうか。

①相続人調査
亡くなってから行うことが多いですが、
事前に行っておくことも有用です。
問題を提起してきそうな人物を抽出したり、
未然に合意書を交わすことなど、
相続人調査を行うことで可能となります。

②相続財産調査
資産の管理については、
わかっている部分につきましては、
ある程度まとめておいた方が良いでしょう。
どの不動産や動産(物)に価値があって、
実際に揉める可能性があるのかなど、
ある程度、把握しておけば問題の未然防止になります。

③公正証書の作成
これを一番オススメする理由は、
問題を未然に防止することが目的です。
後々の問題を「法的に」予防することが
可能です。
揉めそうな動産・不動産について
被相続人を含め、
相続人間で決めておけば、
紛争の防止に役立ちます。

以上①、②、③は
弁護士でなければなかなか出来ることではありません。

相続前にでも、
弁護士が入るメリットが多いという点を
ご理解いただければ幸いです。



〒530-0047
大阪市北区西天満2丁目10番2号 幸田ビル8階

弁護士法人 川原総合法律事務所

弁護士 川 原 俊 明

ホームページ http://www.e-bengo.com