弁護士川原俊明のブログ

川原総合法律事務所の弁護士活動日記

高次脳機能障害の「高次脳機能」とは何か

2011-11-22 17:52:03 | 交通事故
最近、交通事故などが原因で高次脳機能障害に陥っていると判断されることがありますが、この「高次脳機能」とは一体何でしょうか。
脳は、大きく分けて4つの部位に分けられます。①運動・意欲・思考を司る前頭葉、②記憶・聴覚・味覚・嗅覚を司る側頭葉、③知覚・連合野を司る頭頂葉、④視覚中枢を司る後頭葉の4つです。
例えば、あなたが、有能なテニス選手で、相手サーブを打ち返すときのことを考えましょう。
あなたは、まず、相手選手がサーブした際の打撃音を、耳で聞き取ります。その情報は側頭葉に伝わり、脳が打撃音を認識します。
同時に、あなたは、相手選手がサーブしたボールを目で追いかけるでしょう。あなたが目で見たその視覚情報は後頭葉に伝わり、脳がボールの位置を認識します。
これらの視覚情報や聴覚情報の認識は、脳が最初に認識する原初的な機能ですので、一次脳機能と呼ばれます。
次に、移りゆくボールの位置と打撃音の情報が、頭頂部にある連合野に伝わり、統合され、現在どのようなスピードでボールが動いているかを認識します。これが、脳の二次的機能です。
そして、現在のボールの位置やスピードの情報に加えて、過去何度も経験したボールの動きに関する記憶(情報)が連合野に伝わり、それぞれの情報が統合され、今後どこにボールが来るかを予測します。言うなれば、これが三次脳機能です。
このように脳の中では段階的に情報が集約され、高度な情報ができあがっていき、その全ての情報が最終的に前頭葉に伝わります。そして、前頭葉が、これらの情報(知覚、記憶、判断、感情、想像)を統合して、その人の人格を作り上げます。この脳の動きが高次脳機能と呼ばれるものです。
高次脳機能障害とは、この人格を作り上げる脳の機能に障害が起こるものですから、その症状も社会的行動障害や注意障害、人格障害等、知的で高度な行動に障害がでるのです。

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